第六百三十一話
「我々パーシオンは侵略者クロノスに抗議する!」
レプシトールのパーシオン領事館をパーシオン人が放火したのに、関係ないクロノスが抗議された。
なにを言ってるかわからねえと思うけど、ここ二十四時間で起きた出来事だ。
「レプシトール大使館に火を放ったクロノスを我々は許さない!」
何一つ道理が通ってない。
放火したのパーシオン人だろうが!
でもさ、国どうしの互助会や会議がなければそうなるのよ。
この銀河じゃ力こそ正義だ。
パーシオンがそこまで力を持ってるとは思えないが、クロノスに勝てる計画があるのだろう。たぶん。
ただ一つパーシオンくんに残念なお知らせ。
銀河帝国皇帝の嫁ちゃん、クロノス王の俺、ラターニア王、太極国皇帝のシーユン、レプシトール大統領のカレンさん、それと鬼神国とバトルドーム代表としてサリアが定期的に会議を行うことを表明。
友好国で相互に諸問題を話し合う会議だ。
将来的にはプローンの代表者やバトルドーム加盟の小国なども会議に参加する予定だ。
……冷静に考えるとバトルドームって先進的取り組みだったんだな。
鬼神国恐るべし。
そりゃ中規模国なのに一目置かれるわけだわ……。
で、その会議でパーシオンの問題も議題になってるってわけ。
つまり、パーシオンくんの寝言を聞いてくれる勢力はいないってわけ。
悲しいね。
うちらはこういうのが得意なのよ。
会議はまだ先だ。
今日は休日嫁ちゃんとまったり。
「婿殿~。それ取ってなのじゃ」
「へーい」
ジョージョジョの四十巻を渡す。
イソノの野郎に借りパクされてたのを取り返したものだ。
こういう日もいいよね。
最後にちゃんと休日になったのリコちと同棲してたときだし。
すると部屋のドアが開く。
「やっほー、借りてたジョージョジョ返しに来たよ」
珍しく私服のリコちである。
「おお! でかしたリコ。ちょうど読んでたとこなのじゃ」
「ヴェロニカちゃん、なにか貸して」
「いいぞ。その辺が妾の本棚じゃ」
リコちが嫁ちゃんの収納スペースの前に立つ。
「おおう……全部ラブコメ?」
「うむ!」
「あ、これ映画になったやつ。借りるね」
「うむ、布教するのじゃ!」
するとドアがカリカリされる。
おっと、きなことだいふくが来た。
きなこは大きすぎて部屋に入らない。
「うーん、神社でピクニックしようかの」
漫画を置いてピクニックへ。
昼飯作る時間ないので宮廷料理人に弁当頼んだら泣いて喜ばれた。
他の休日勢にも弁当いるか聞いてくれるって。
なんかスマン。
「天気いいねえ」
ぴよぴよと小鳥が囀る。
そしてなぜか俺の頭や方に乗る。
そして俺をつつく。
「なんかくれって」
「へーい」
前にも動物にカツアゲされたので小鳥のエサをまく。
小鳥たちが食べはじめる。
鷹は来てない。だから小鳥たちもゆったりごはんを食べてる。
小鳥たちがご飯を食べ終わり、砂浴びをするとどこかに飛んでいく。
「うむ、婿殿は相変わらず動物にモテモテなのじゃ」
「なんでだろうね?」
本当に謎。
するとレンが宮殿内移動用のターレットトラックでやってきた。
「旦那様お茶ですよ~」
お茶とお弁当を運んできたようだ。
「レンは今日非番だっけ?」
「私は宮廷内の総責任者ですから。休みとプライベートの違いなどありません」
「それでいいのか?」
一瞬思ったけど、それほど真面目じゃないレンなので大丈夫そうな気がする。
クロノスは結構グレーな運用をしている。
ほら、俺自身、銀河帝国皇帝の婿なわけで。
クロノスも独立国なんだけど、銀河帝国の支援なしでは滅亡してたわけで。
というわけでクロノス宮殿に銀河帝国皇帝が住んでるのとか、いろいろツッコミどころが多い状態だ。
嫁ちゃんもクロノスじゃ人気者なんだけどね。
ほら、俺たち、地元の商店で普通に買い食いしてるし。
国民の皆様と同じもので同じ料理食べてるわけね。
そりゃ外国人だから昼飯は故郷の料理だけど、銀河帝国の料理はばんばんクロノスに入ってきてるわけ。
要するに同じもの食べてるし、偉そうな感じもしない。
クロノス人を尊重してるって評判だ。
そもそも俺たち男子は長屋で暮らしてたしね。
その結果、みんな翻訳機なしでクロノス語話せるし。
嫁ちゃん含めた女子はさすがに違うけどさ。
ということで好感度がやたら高いわけである。
第一世代はそれでいいんだけど、問題は次よね。
最初はいいんだけど、新卒就職率でコケて革命起こされた政権は歴史上数多く存在するのだ。
金と生活がそこそこ満足なら革命を起こす必要などないのだ。
お茶を飲む。うーん、これからがたいへんだ。
俺はあくまでコンビニの雇われ店長。これを胸に刻もう。
緊張感だいじ。
弁当を食べながらまったり。
リコちもまったりしてる。
きなこは俺にべったり。
だいふくは嫁ちゃんにかまってもらってる。
タチアナとワンオーワンはまだ仕事中。
ケビンと同じ病院で看護師やってるんだって。
タチアナを拝みに来る人も多いらしい。
シーユンは普通に太極国のお仕事。
三人ともあとで来るみたい。
きなこにくっついて横になる。
パーシオンのアホのせいで寝不足気味だったからすぐにまどろみに……イン!
「婿殿寝てしまったの」
「ね、寝てないぞい」
「片目つぶった状態で無理しないの!」
リコちが膝枕してくれた。
だんだん頭が働かなく……。
「リコ、そういや婚姻届どうした?」
「名前書いたよ~」
「実家はなんと言ってる?」
「そりゃクロノス王の嫁なんて言ったらびっくりしてたよ。レオくん有名だし」
「うむ、我らは姉妹じゃ」
あ、もうちょっと聞きたいけどもうらめ……。
ぐーすぴー。
起きるとリコちと結婚してた。
なにを言ってるかわからねえと思うけど、大きな陰謀に巻き込まれ……。
「婿殿指紋借りたぞ」
犯人は嫁ちゃんだった。
ま、嫌がってるわけじゃないんだけどね。
こないだ話が出たとき結婚することになると思ってたし。
「これからよろしくッス!」
そう言うとリコちがほほ笑む。
「了解!」
というわけで家族が増えた。
パーシオンのアホは忘れて、しばらくまったりすごそうと思う。
さあ、来いやああああああああ!




