表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
614/618

第六百十四話

 きなこちゃんをなでてたらだいふくちゃんも来た、

 当然もふり散らかす。

 うちの子が一番かわいい。


「子どもできたら甘やかすタイプだわこの人」


 クレアに呆れられた。

 クレアはばっちり教育するタイプだと思う。


「クレア様。今から不安ですか?」


 西条くん酷い!


「そうねえ……男の子だったらぜったい重機の免許取らせると思うの……それがいまから不安だわ……」


「なして!」


 王様家業だって民に嫌われたら失業よ!

 生きてくために手に職は必要だろ!?


「レオ……落ち着いて聞いて。私たちの知ってる文明で重機免許持ってる王様はレオだけよ」


「な、なんだって! じゃ、じゃあ……フォークリフトも」


「残念ながらもってないわ。人型戦闘機はサリアくんもシーユンちゃんも持ってるけどね」


「な、なんだって! そんなことが許されていいのか!?」


「うん!」


「な、なんだってー! 飛行機と大型特殊車両の免許も取らせようと思ってたのに!」


「陛下だけですって」


「えー……」


 なんて話をしてたらレプシトールから連絡が入った。

 カレンさんだ。


「はいはい」


「レオ陛下。政変が始まりました」


 とうとう始まったようだ。

 反政府軍によるクーデターだ。

 ただし、「経済破綻してることを認めろ! 選挙でこの国のリーダーを決めろ!」というものである。

 反政府軍というか国軍も賃金未払いが続いてる。

 しかも「国に逆らうならもう払わないもんね~」ってどこかのバカが言い出したから、さあたいへん。

 本気の軍事クーデターが秒読みだった。

 だけど軍のクーデターが市民に歓迎されるかというと……。

 とりあえず政治的正当性を主張するためにも選挙はした方がいい。

 それには憲法……レプシトールに憲法典ないけど慣習で民主制に移行するつもりだ。

 それまでは国軍の給与はマイク&ハマー社で給料出してる。

 レプシトールはもともと豪族が集まって王を決める形式だ。

 それが形骸化して企業による話し合いで国の役職決めてたって感じか。

 カレンさんも企業の話し合いで外務担当だったらしい。

 ただその辺はいいかげんで、個人の責任を回避するためにコロコロ役職や担当者が代わるらしい。

 今まで経済大国だったから周辺国はぶち殺さないでやった感が強い。

 金がなくなれば他の大国のおもちゃになる運命だ。

 うーん……諸行無常。

 景気がいいときは恐ろしく強いし、粉飾決算と不良債権問題が隠し通せれば無限に金がわいてくるシステムなんだけどね……。

 周辺国すべてから恨み買うけどね!


「それで、軍の要求が通ったらどうします?」


「クロノス式の総選挙で国の中枢を組織して、憲法改正……というか憲法作成をして民主制に移行します」


「ではクロノスも総選挙のために兵を出しましょう」


 ちゃんと選挙を行うための監視だ。

 もちろん我らと同じく財閥経営権の三分の一ずつを持つラターニアに太極国も兵を出す。

 総選挙開始である。

 いやー今度は俺関係ないから安心だわ~。

 ……って思うじゃん。

 変な公約を掲げるおもしろ泡沫政党が出現するのは世の常。

 今回も同じだと俺たちは思ってた。

 そうカレンさんから送られてきたライブ映像を見るまでは……。


「クロノス併合党」


 いや……お前、いらねえよ。

 そんな本音が漏れそうな党である。

 主張はクロノスの一部になること。

 バカじゃないの?


「クロノスの一部になってレオ王の臣民になりましょう!」


「断じて要らん!」


 思わずツッコミを入れてしまった。

 でもさー、恐ろしい勢いで支持を集めてるの。


「いやだからさー、なんでクロノスなのよ?」


「周辺国で一番の穏健派だからです。その……他の国は主張が強火ですので……」


 そりゃそうなんだけど。

 そもそもラターニア人を不法に奴隷にしたのが悪いんであってだな……。


「とにかく様子見かな? うちは併合しないけどね!」


「わかりました。そのように」


 カレンさんとの通信終了。

 きなこが心配してスリスリしてくれた。


「かわいいなー。君たちは」


「なーん」


 さすがに抱っこするには大きくなりすぎた。

 でも俺もスリスリ。

 だいふくもスリスリ。

 このように心の補充してたわけ。

 で、近衛騎士団の休みも終わって引き継ぎするんで、西条くんのお疲れ会してたの。

 ほら久しぶりに会った同期なわけじゃん。

 西条くんは年下だから俺らを先輩呼びしてるけど、それでも大事な仲間なわけ。

 だからみんなでカウントワンツースリーのクラス会貸し切りプランでパーティーしてたのよ。

 このくらいの贅沢は許されるよね?


「ほいビール」


 イソノたちがビールを配る。


「ほい、今日の主役」


 今日の西条くんは甘ロリ。

 誰もツッコミを入れない。

 ただワンオーワンとシーユンが「かわいいであります! どうするでありますか!」と熱心に話を聞いてる。

 レンも話に加わってメモを取ってる。

 タチアナは「アタシは絶対に着ねえからな!」とシャーしてる。


「タチアナちゃん、パンクファッションもあるよ」


「え、本当?」


 あ、取り込まれた。

 タチアナもおしゃれ自体には興味あるんだよね。

 ただガーリーすぎるのが嫌いなだけで。

 普段は軍服で公式な場ではクロノスやラターニア、鬼神国の伝統衣装。

 普段はパンクである。

 自分でオシャレしたことないシーユンは真剣である。

 その点、メリッサは余裕だ。

 最近ではモデルさんと友だちになってるらしくメキメキ腕を上げてる。

 クレアは少し遠慮がち。

 クロノス大公妃として女官さんにいじられまくってるもんね。

 立場的にあまり冒険できない。

 嫁ちゃんも同じ。女官さん任せだし、あまり冒険できない立場だ。

 二人とも上品か、伝統衣装かの二択だ。

 うーん、好きにしてもいいのよねって言いたいけど、フォーマルな場が多いからね。

 俺?

 シャツとパーカー上下。

 仕事のときは軍服と戦闘服と背広と作業着をTPOごとに。

 靴だけは鉄板入ってるやつ。

 ユリちゃんとリコちが少し前にヒットしたポップスを歌う。

 二人とも歌うまいなあと思ってたらいきなり画面が切り替わる。


「おっとぉ?」


 アナウンサーが焦った様子で一報を伝える。


「クーデター成功しました! 主要財閥幹部は投降、ラターニアに引き渡される予定です!」


 おっとぉ。

 予定よりはやくね?


「クロノス併合党、支持率五十%に到達です!」


「はいいいいいいいいいいいい?」


 やめれ!

 本当にヤメレ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
併合という名の寄生だもんなぁ…
金の切れ目が縁の切れ目。 粉飾で給与が払われないから労働争議なのに、ロックアウトしたら革命されるのは当然でしょう(笑) しかも、マイク&ハマー社(クロノス国の企業)が代わりに給金を出すって言えば、付い…
クロノス併合党と支持者「「真っ当に働けて真っ当にお給料貰えるから」」 レオ「( ̄▽ ̄;)」 いや、リアル現実でもコレができてないブラックのなんと多い事か。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ