第六百八話
王様になってしまった。
王様なのだが実態は雇われ店長の身である。
権限は大きいがなんでも好き勝手できるわけじゃない。
例えば入管である。
汚染地域に潜入したので帰ったらまた隔離と検査入院である。
法の支配は甘んじて受け入れよう。
法の支配はいいぞ。
法に従ってさえいれば全責任を法律作った議会と国民になすり付けられる。
それでもわけわからない革命で殺されることもあるけどね~。
そこも俺は問題ない。
クビになるだけである。
はっはっは!
クロノス王誕生の祝辞が大量に届く。
宮殿から食器を買い換えの通知が来る。
晩餐会用のはお高いので。
普段使いのやつは安いので。
どうせ壊すから。
軍で使ってる金属の食器でいいぞ。
小学校でも使ってるやつ。
箸は樹脂製のな。
どんぶりだけは陶器のやつな。ふた付き。
うーん贅沢。
ラーメンどんぶりも……。赤い雷紋ついてるやつ。
なんという贅沢だ!
え? そうじゃねえ?
じゃあ、お高いお店で使ってる鳳凰ついてる方のどんぶりで。
そうじゃねえ?
え……?
なにもかも難しい。
しかたないのでマグカップも買おうと思う。
真空保温で冷めにくいやつ。
レンのお茶は陶器のカップだけど、自分でコーヒー入れるときはこれ。
あ、そうだ。コーヒー買わねば。
カミシログループの通販で……えっと1キロのやつ。安い順に並べて……。
え? ぶち殺すぞ?
なんで侍従さんリモートでキレてるの?
え?
キロ……4000クレジット……マジかよ……。
いつも2000クレジットのやつだぞ……。
え? 違う?
100グラム4000クレジット!
嘘だろおい!
そんなことが許されていいのか!
え? いい品だけど庶民用のグレード?
公爵会や麻呂なら桁が違う?
嘘だぁ~! またまた~……。
嘘だろ……?
ということで俺のコーヒーはお高いやつになった。
あとでレプシトールで使う分は海賊ギルドが配達してくれるって。
やだ……怖い。
新作ゲーム余裕で買い放題じゃないですか!
カフェインジャンキーのワイ……途方に暮れる。
あ、クロノスのお安いインスタントコーヒーも大好きです!
それはいいとして、レプシトールである。
反政府団体は反政府軍にクラスチェンジ。
というか給料未払いが常態化してた国軍が反政府軍に合流した。
……軍人の給料とメシはケチるなって統治の基本だよね?
企業の軍よりは弱いらしいが……かわいそうなのでマイク&ハマーで給料払ってやった。
そしたら獅子奮迅の活躍を見せた。
映像を再生っと。
「てめえ未払い分の給料払え!」
「金持ちをぶち殺せ!」
「ビルにロケランぶち込むぞ!」
中富銀行グループの本社ビルにロケットランチャーが着弾。
窓ガラスが吹き飛んだ。
かつてないほどやる気に満ちあふれた軍人たちが中富本社ビルを制圧。
……将来への不安を抱えたような気がするけど見なかったことにする。
そこは反政府組織の皆さんとカレンさんにがんばってもらいたい。
俺は知らん。
中富は解体してラターニア銀行の元で再建かな。
どうせ異常なほどの不良債権抱えて破綻してるのはわかってるし。
証券化されたゴルフ場会員権ローンの売買市場とかバカじゃないの!
なんでも証券化すんなボケが!
つまりだ。現在、レプシトールはバブル崩壊一歩手前なのである。
もうみんな破綻してる空気は感じてるんだけど、チキンレースやってる状態。
もともとレプシトールは経済大国である。
軍用品ではなく民生品の工場がたくさんあった。
組み立てに小さなパーツに。
クロノスは軽工業、服とかをテキトーに輸出。
レプシトールからは電子パーツやバッテリーを輸入。
別に制限かけてないのでそんな感じであった。
知らないところでレプシトール製があるみたいな国だったようだ。
でもラターニア全面撤退で死亡確定。
いまのクロノスなら自国生産の方がいいよねって話にもなってる。
銀河帝国基準での環境負荷への規制はクソうるさいけど解決方法は用意してあるし。
うーん、一つの時代が終わりを迎えた感。
「旦那様お茶でございます」
「あざっす!」
レンが来た。
「レプシトールの未来についてレンはどう思う?」
「……衰退や没落は世の常。役目を終えた企業は退場してもらえばいいのでは?」
「ですよねー」
ということで反政府組織とカレンさんにレプシトールの運命を委ねる。
反政府軍は中富銀行を制圧。
すでに「反政府組織の一員です」って名乗っても不利益がないところまできた。
だって軍と警察が反政府組織の仲間だもん。
流れるようにラターニア銀行のチームが中富銀行グループを監査。
消費者金融と証券会社で大量の不正が発覚。
レプシトールの法律的には許されるんだけど、会計的にはアウトなやつね。
はい破産処理!
これで連鎖倒産が起こる。
運転資金のショートならいいんだけど、ほとんどの企業が不正の連鎖と。
もうとっくのとうに破綻したゾンビ企業でやんの!
恨まれてもいいから強制的に潰して債務処理と。
給料安いから思ったよりも庶民に嫌われててのは笑った。
でも銀行の闇は深い。
肝心の持ち株会社は逃げ切ろうとしていた。
うーん……うまく隠したなあ。
と、思ったら中富のニンジャが裏切った。
機密情報入手。
やっぱり経営破綻してた!
はっはっはっはっは! ネズミ講にまで手出してるじゃねえか!
直球の詐欺でやんの!
経営者一族と親族まとめて逮捕ぉッ!
アホどもは逮捕よ~っと。
さーて、クレアにリコちとマイク&ハマー社のニンジャ隊で調査に行く。
目的は中富の水道施設に。
下水処理場も行くけどね。
「ニンジャの皆さんは書類の奪取を、俺たちは機材を見てきます」
さー、問題は野生化した屍食鬼がどこから来たのか?
それが一番の問題だ。
水道でばら撒いた。
短絡的すぎるか。
下水処理場かもなーとは思う。
水道は高度処理で……オイコラ待て。
なんだこのいいかげんな施設は……。
「なんの処理もしてない」
クレアがつぶやいた。
「ケチったのかー……水道水飲んじゃったよ……」
そうなにもしてなかったのである!
塩素処理もなにも……してなかったのである……。
オイコラ、生水飲んじまったぞ!




