第六百話
レプシトールに嫁たちにタチアナとワンオーワンを連れて戻る。
なんか座敷童ちゃんが木をくれた。
末松さんが神籬ちゃんを剪定して増やした木だって。
神籬ちゃんはすかし剪定が必要だったのか……。
間引いた枝を水につけて鉄イオン系の活力剤で根が出るようにしたんだって。
で、根っこがでたら種まき用の土に植えたものである。
……末松さん本当になんでもできるな。
嫁ちゃんとシーユンはお留守番。
いや来させるわけないじゃん。
そもそも嫁ちゃんもシーユンも「そろそろ本国にご帰還を」って言われてるのに。
ま、いいや。
目の前のタスクをこなそう。
せっかくタチアナがいるので首都星のマイク&ハマー社の土地に無許可で結界を設置。
はっはっは!
もうやりたい放題である。
神籬ちゃんの分体も植える。
外来種を植えるな?
気にすんなって。
こうしてレプシトールに平和が……財閥幹部の失踪が相次いだ。
それが答えだろう。
そしてこれはとばっちりだろうが、パーシオンの大使館から一夜にして人が消えた。
一人残さずパーシオン人スタッフが消えたのだ。
彼らが屍食鬼だったとまでは言えないが……関連性を疑っちゃうよね?
この財閥幹部にパーシオン大使館スタッフの失踪はレプシトール国内を揺るがした。
流言飛語が飛び交い、口コミで陰謀論が広がっていく。
レプシトール政府というか四大財閥が公式声明を出さなかったことも影響してるのだろう。
企業が責任追及を恐れて沈黙したのだ。
行政と営利企業を分離しないからこうなる。
完全にセキュリティーホールだわ。
なるほど。
営業停止とかの行政罰って企業を守るためでもあるのね。
うーん、こうやって実地で行政の経験積めるのって素晴らしい。
そりゃ平時なら企業が権力を牛耳ってる方が強いんだろうけどね。
企業独裁体制も決して万能ではない。
ちょっと俺が引っかき回しただけでこの有様である。
結局、中庸というか塩梅が重要ということである。
そういう意味ではフランチャイズ型封建制の銀河帝国は外部からの攻撃にクソ強いわけである。
社長である皇帝が無能なら殺しちゃえばいいわけだし。
ただ公爵会のせいで中が腐ったから滅亡しかけたんだけどね。
それでも完全に腐りきるまでかなりの時間を要してる。
低位領地からの搾取を和らげ、中の新陳代謝をうながせば銀河帝国は持続可能だろう。
うーん、統治って難しい。
さて、俺たちはマンションをお引っ越し。
適度に古くやたら居心地良かったマンションだった……。
新しい住居は会社近くの高級マンションである。
まー、広い。
財閥勤務のファミリー向けじゃないかな?
恐ろしいのはこの部屋に嫁たち全員で住むのではないことだろう。
このマンションに嫁たち全員で住むのだ。
……嘘だろ。
金の使い方が俺の想像を飛び越えた。
一人一部屋でやんの。
ただし、最上階スイートの俺の部屋だけタチアナとワンオーワン、それにリコちが住むことになった。
タチアナとワンオーワンは軍での共同生活にも慣れてる。
さすがに汚部屋にはしねえだろと思うのだが……。
あ、はい。俺が面倒見るのね。
さっそくタチアナがカーペットを自分の部屋の壁に設置してる。
「いつも思うんだけど、なんでカーペット床に敷かないんよ?」
「寒いから」
なんでもタチアナのコロニーでは断熱と防音のために絨毯とかカーペットを壁にかける風習があるそうだ。
壁がコンクリでしかも薄いから寒いし防音性能が低いそうである。
壁掛け専用のカーペットが売ってるほどである。
タチアナのも壁掛け専用で模様が細かい。
世の中は知らないことで満ちあふれてる。
なお床にはクソ安い毛足の長いカーペットを敷いてる。
「……ここでスナック菓子食うなよ。虫わくからな!」
「えー……」
「誰が掃除すると思ってるんだ!」
「もちろんレオの兄貴!」
ひどい!
なおワンオーワンも同じ部屋だって!
本当に仲良しだな!
「シーユンがいないのでさびしいであります」
……本当に仲良しだな。
トレーニングルームに行くと……このマンションなんでもあるな。
トレーニングルームにはクレアにメリッサにリコちがいた。
リコちと俺は、本とゲームくらいしか荷物はない。
あとこたつと鍋セットか……。
なので家具配置で悩むことなく運動できるわけである。
三人ともランニングしてる。
俺は懸垂でもするか。
はーい、限界まで懸垂開始。
回数に科学的根拠なーし。
軍の懸垂って科学的筋力増加よりも根性を養う方が重要だよね。
たしかに実戦では筋力より気合と根性の方が重要だけどさー。
うーん物足りない。
木刀の打ち込みがしたい。
「どうしたのレオ」
ランニングが終わったクレアに声をかけられた。
「も、物足りない……木刀の打ち込みしないと手が震える」
「いままでどこでやってたのよ?」
「寿司バーの地下にあるニンジャ隊の訓練施設で……あ!」
行けばいいのか。
みんなでマイク&ハマーの寿司バーに向かう。
寿司バーの前には人だかりができていた。
人混みをかき分けて寿司バーに行くとアーマードリキシの集団がウンコ座りしてた。
電子煙草吸ってる。なんかイラっとする。
アーマードリキシの一人が俺に気づいた。
「あ、いたぞ! カワゴンだ!」
あ、俺に用事。
なんすか?
「てめえがニンジャの親玉かああああああああああッ!」
親玉違うが。
下っ端ニンジャでマイク&ハマー社のオーナーだが。
「やっちまえええええええええええ!」
リコちがアーマードリキシを片手喉輪で持ち上げてた。
クレアは普通にぶん殴り、メリッサも木刀で一撃成敗。
俺はというと……。
「垂直落下式ブレーンバスターだ!」
なぜかギャラリーがわいた。
恥をかかせようと魅せ技で仕留めまくる。
全員ぶん投げて事情を聞く。
「それでなんの用だ?」
「戦いにすらならなかったでゴワス!」
ムカついたのでアイアンクロー。
「いだだだだだだ! 言うから! ニンジャカワゴンの首に四大財閥が賞金をかけた」
「はい?」
「だから! カワゴンこそが危険だと四大財閥が」
「ほう……」
とりあえずまたブレーンバスターで持ち上げる。
「や、やめ……」
「ふんッ!」
そのまま手を離してからパイルドライバーに変化する。
スタイナースクリュードライバーである。
そこに愛はない。
もし愛があればもっと美しい技で仕留めていただろう。
アーマードリキシが地面に突き刺さった。
「……えっとそういうことみたい」
愛する妻たちとリコちがヤレヤレと呆れてる。
「結局レオってこうなるのね……」
クレアさん……今回は完全に知らなかったのです。
いや本当に。




