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第五百九十七話

 レプシトールの反体制派との出会いについて語ろうか。

 正直言って偶然だ。

 いま考えれば当然なのだが、我々のやってる寿司バーに安全な寿司を求めた客が押し寄せた。

 生魚がダメなんだから、当然ちらし寿司やいなり寿司、海苔巻きになる。

 野菜寿司に岩国寿司やこけら寿司、蒸し寿司までラインナップに加えた。

 テイクアウトもバカスカ売れるわけで笑いが止まらない。

 この辺の寿司は冷凍でもいいわけで、工場で生産。安全性を高めた。

 調理師から屍食鬼に感染するのを避けたかったのだ。

 常温解凍すればいいようにした。

 海苔巻きは自分で巻くタイプ。

 茶きん寿司なんかをメインに据えた。

 俺の好きなバッテラは禁止。悲しい。原因は光り物で中毒起こした俺なんだけど!

 屍食鬼が死ぬ温度で冷凍処理。

 結界のある惑星で作ってるから元から入ってないんだけどね!

 そしたらさー、四大財閥のアンジョー財閥が丸パクリしてきた。

 といっても海賊の航路を押さえてる我々と同じ事をできるはずもない。

 嫌がらせしてるわけじゃない。

「元同じ組織で友好関係のある我々の通行料とご新規さんの通行料が同じなはずないでしょ」って話だ。

 さらに言えばクロノスに工場建てても現地人教育難しいでしょって話だ。

 カミシログループはマゼラン人やオーゼン人の出稼ぎ労働者を使うことでその辺をクリアしてる。

 米文化だもの。

 それに作業工程をタスク分けて単純化してるので生産量爆上がりで安く作れる。

 人件費ケチりたがるレプシトール企業には難しいんじゃないかな?

 うちらは国民の仕事増やすのが目的で、人件費高くてもいいやって感じだし。

 そんな状態の中、俺とリコちは当番で用心棒をやってた。

「お前ら管理職じゃねえか!」って思うかもしれないけど、俺たちは若くて、しかもよそ者だ。

 こういう仲間内のつきあいは率先して行わねば干されるのは当然である。

 だって体育会組織の軍人だもの。この辺はわきまえてる。

 隊長は「タイチョサン」と敬意を持つし、他の忍者たちも「パイセン」と呼んで持ち上げる。

 若くして成り上がった我々の処世術である。

 偉そうにしても何一ついいことないもんね!

 というわけで「酒飲めないからひたすらつまんない」と評判の用心棒もちゃんとやるわけである。

 黒服で門番やるのは警備員兼俺らの護衛だ。

 俺たちはなにするかというとカップルを装ってカウンターでお菓子食べてるだけだ。

 いやこれ本当に。

 パイセンたちだともうちょっといかつい感じで立ってるのだが、俺たちはこういう役ができる。

 俺は髪を軽薄な感じにセットしてスカジャンみたいな謎和柄のジャケットにパーカと革ズボン姿だ。

 靴はスニーカー風だけど鉄板入りのコンバットシューズ。

 耳にはラターニア人がよくつけてるイヤーカフ。

 これをつけると純粋なレプシトール人じゃないなって見られる。

 ただし珍しくもない。

 かつて奴隷だったラターニア人の血を引く人間はどこにでもいるのだ。

 リコちはウロコを貼り付けるのはやめて、クロノス教徒がよくつけてるペンダントだ。

 服装は俺とおそろい。髪の毛はピンクのエクステをつけてる。

 化粧は地雷系ゴスパンク。

 ギリギリ無職じゃなさそうなヤンキー風に仕上げた。

 実際、レプシトールではこういう姿のヤンキーが真っ昼間から酒飲んでる姿が見られる。

 ……それにしてもリコちって化粧で化けるね。

 美人とかって意味じゃなくて印象がガラッと変わる。

 潜入工作員できるわ……。

 というわけでカットフルーツをダラダラ食べる。

 徹夜仕事なのよね。

 変な動きをしてるのがいたら無線で通報。

 俺たちが動く必要はない。

 近くで喧嘩始まったときくらいか。


「おらあああああああああああッ!」


 ホラね。飲み屋にありがちな喧嘩が勃発。

 近づいて「キュッ!」。

 リコちも相手を締め落として警備に引き渡す。

 警備は酔っ払い扱いでお外に捨てて終了。


「なにも起きないね~」


「ね~」


 ナイフも持ってない相手だ。

 なにも起きてないのと同じだ。

 スイカを食べる。

 農産物は安全だ。

 従業員も安全を確保したし、頻繁に検査もしてる。

 リコちはサボテンの実を食べてる。

 惑星カミシロでも食べるが……まずい。

 水分補給にはいいけど味がない印象だ。


「美味しいよ。食べる?」


「いい。リコちが食べて」


「なにその生暖かい顔」


 だって故郷の美味しくない方の味なんだもん。

 そんな会話をしてたら声をかけられる。


「やあ、キミら用心棒かい?」


「そうですよ~。アルバイトッス」


 別に隠せとは言われてない。

 ただニンジャであることは隠せと言われてるのでアルバイトということにする。

 相手は純粋なレプシトール人特有の背の高い女性だ。


「私はシノ。レプシトール大の学生だ」


 レプシトール大はレプシトール最難関の大学だ。

 私立大学で……ってここが帝国と違うのか。

 企業による独裁制のレプシトールでは公立は貧乏人の行くところ、私学こそ至上という考え方である。

 レプシトールじゃ俺は成り上がれなかっただろう。

 あたいそういうの嫌いだわ……。

 つまりシノさんはいいところのお嬢さまだろう。

 もしくはとんでもなく優秀な奨学生か。

 レプシトールは奨学金制度自体が借り入れだけ、企業の奴隷決定なのでおそらくいいところのお嬢さまだ。


「俺はカワゴン、こっちは……」


「リコ。よろしくね」


 あ、本名でいくんだ。

 まあいいか。


「キミ、ラターニア人?」


『何分の一かはね』


 ラターニア語で答えてやる。

 レプシトール語は発音困難なやつだけ機械で発音する装置をつけてる。


「すごい! ラターニア語できるの?」


「うちのババア、ラターニア語でしゃべらねえと返事しねえのよ」


「レプシトール語は。そうだね。声帯が同じじゃないからね」


「そういうこと、な。リコ」


「私に振らないでよ。私は出稼ぎ」


「クロノス教徒?」


「うん、家がね」


「でも彼はラターニア教徒でしょ? 同棲してるんでしょ?」


「……な、なぜにわかったの……ですか?」


 ギギギギギギ……とリコちが固まった。


「いやだってそういう雰囲気だし」


 洞察力が高いようだ。

 気をつけようっと。


「それで、何の用?」


「これ」


 チラシを渡された。

 なるほど。

 反体制派の学生団体か。


「集会に来ない? 私、いまのレプシトールは間違ってると思うんだ」


 というわけで反体制派と接触。

 で、集会に参加した結果……。


「地区長どの!」


 シノさんが尊敬の眼差しを俺に向ける。

 どうしてこうなった!


「まー、レオくんオーラあるもんね」


「オーラってなんぞ!」


 そう、反体制派の幹部の一人になってしまったのである。

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― 新着の感想 ―
どこでもあっという間に成り上がんなぁカワゴンw 新種のウィルスかな? いや、ウィルスみたいなもんだったわ元々w
……なんで幹部入りしてんだよwてか誘った奴から尊敬されてるやん!? ………そらまぁ…命狙われるわな、こんな奴いたら直ぐ足元に迫られるわ体制をひっくり返されるわしそうだし、可能だからなぁ(滝汗)
カワゴン、反体制派の幹部になるってばよ……の巻。
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