第五百八十六話
ミコシの新会長はミコシ・ミソゾー。
「味噌蔵?」
って妖精さんに聞いたら、
「三十三」
と答えが返ってきた。
表意文字の文化っていいよね。
漢字じゃないのが残念だけど。
でもさー、番号表記ってなんかさ……嫌な予感しかしないよね?
「顔写真送りますねー」
案の定、送られてきた首と同じ顔。
「ふ、双子の兄弟とか……?」
「もー、わかってるくせに!」
クローンだわ……。
「もしかしてクローンに意識を移す技術!」
「たぶん普通のクローンだと思います。そこまでコストかける必要ありませんし」
三十三番目のクローンか……。
つまりミコシ商事は侵略を繰り返し、失敗したらクローンが腹切って終わりにすると。
で、本社の守りは常に固めてるから無敵と。
支社にたいした資産は残してないわけだ。
戦法が汚すぎる。
ミコシ本社ビルに到達。
そこは対空砲がガチガチに固める……本社ビルぅ……?
普通に要塞だろが!
「ハジメマシテ! ツマラナイモノデスガ!」
ラターニア製ライフルで狙撃。
おっと、クセあるな!
ビルに一発当たるがバリアで弾かれる。
でもさー、これは長くはもたんのよ~。
攻撃してると増援のヤクザカラーの機体がわんさかやって来る。
軍艦よりは数そろえるの楽なのか。
「このガキャーッ!」
誰もが同じ罵倒する……。
なんかムカついたので一体を斬り捨てる。
「オカクゴ!」
他の連中も……と思ったら海賊カラーの近衛騎士団が到着。
圧倒的暴力で制圧した。
「カワゴン……私の言いたいとわかりますよね?」
レイブンくんの後釜、クロノス近衛騎士団団長にめっちゃ怒られる。
「一人で出かけちゃダメだって言いましたよね!」
もう幼児扱いである。オレ……カナシイ。
「はー、てんてー♪」
「誰のせいだと思ってるんですかね?」
ドアップで怒られる。
あ、はい。
これからはたぶんディスティニー無理だと思うけど、なるべく自重します。
「それで、どうしますか?」
「うーん、とりあえず破壊して。たぶん中にいる会長もクローンで……本体は……ねえ、妖精さん」
「地下に広大な施設があります」
妖精さんナイスゥッ!
「ということなんでクローンを確保しつつ……おっとぉ?」
ゴゴゴゴゴゴと巨大な水槽というかプールが割れ、中から駆逐艦が出て来た。
夜逃げですね!
「ほいさ!」
出て来たところを白刃捕りして、抱えてからの……引っこ抜きスープレックス!
地面に叩きつける。
離陸中だったので逆に軽かったまである。
ダメだよ~。夜逃げは相手にわからないように出なきゃ。
そうじゃないから出力全開にする前にぶん投げられるのよ。
「カワゴン……様。なにかいま異常な行動が見られましたが?」
「だって出て来たら撃墜するでしょ! 中の人捕まえたいから、こう、パーンって!」
そのね。人型戦闘機でも戦艦でも同じだけど、動作の前には起こりってのがあってね。
そこをパーンすれば最小限の力で倒せるじゃん。
「いいから中の人捕まえて!」
「地上部隊。駆逐艦内部に侵入し敵を捕縛せよ!」
「爆発するかもだからケガしないでね~♪」
「組長を助けろ!」
またもやヤクザ。
「カワゴン大首領をお護りせよ!」
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
斬り合いが始まった。
俺はそっと離れて基地を壊しに行く。
夜逃げってのはこうやるのさ……。
「あんぎゃー!」
怪獣気分で施設を壊していく。
もう資料なんてないもんねー。
支社のサーバーから本社のデータまでぶっこ抜いたもんねー!
戦車が出てくるがもう遅い!
こういうのはあらかじめ配備しとかないと。
移動に時間かかってる間に手遅れになるのさ。
「ぽいっとな」
グレネードで戦車を蹴散らす。
おっとラターニアのパルスライフルはグレネードランチャーついてるのか。
おっし、グレネード。
戦車を蹴散らしていく。
「ぐはははははははー!」
戦車を蹴散らしたら装甲車やヤクザたちが出てくる。
一生懸命撃ってくるけど豆鉄砲だよね~。
ロケランはぺい!
爆発前に手で払う。
すると跳ね返ったロケットが敵の近くで爆発した。
戦闘機や戦艦のミサイルより遅いんだから当たるわけないよ。
なんて遊んでたら近衛騎士団が「カワゴーン!」と怒鳴りながら加勢に来た。
もう敵はほぼ全滅だけどね。
「はい制圧して~」
サクサク侵略完了。
うーん楽勝。
「カワゴン様! ミコシ会長を発見……ですが」
「え……なに?」
嫌な予感しかしない。
いままで何度も同じ展開があったような気がする。
画像が送られてくる。
予想どおり水槽に浮かんだ脳味噌であった。
自ら望んで脳プカ状態になったおっさんは悲劇じゃなくて喜劇なのよ。
「あーうん、殺さないように確保」
こうして我がマイク&ハマーはミコシ商事を吸収合併したのであった。
ガラスが散乱した家に帰る。
掃除せねば。
と思ったらすでに会社の人が片付けてくれてた。
布団と食器しかない我が家を哀れに思ったのか、お高いマットレスが追加されてた。
あ、これ、カミシログループで扱ってる高級マットレス!
すると玄関のチャイムが鳴る。
誰かと思ったら隊長だった。
手にはスーパーの袋が握られてる。
「カワゴン、寿司買ってきたぞ」
「ドモドモ~、タイチョサン」
「襲撃されるなんて災難だったな」
「ソレホドデモ」
いつものことである。
寿司はカリフォルニアロール。
圧倒的カリフォルニアロール。
意地でも海苔は外側に巻かないようだ。
あと寿司なのに刺身を避けやがる……。
だったらクロノスにあるうちのワサビ田の葉わさびで稲荷寿司作ったら儲かるんじゃないかな?
チェーン店でも作るか。
おにぎりも売ろう。葉ワサビの佃煮もほしい。
うーん、夢が広がる。
「ところでカワゴン……お前なにかやっただろ」
「ヤッテナイヨ」
ぷい!
目をそらす。
「だったらなんでいきなりミコシ商事が消滅したんだよ!?」
「偶然ヨ」
そしたら隊長さんが斜め上の話を始める。
「お前……実はマイク&ハマーの監査官だろ?」
「ハイ?」
「実はマイク&ハマー社はクロノスに本社機能を移転したらしい。そこから派遣されたエージェント、つまり上忍がお前だな?」
……どうしよう。
考えてない方向に話が飛んだ。
たしかに監査官と言えば監査官なのだが……。
「オーナーです!」なんて言えない!
「タイチョサン……ナイショヨ」
俺はとりあえずごまかすことにした。
「わかった。全力でサポートするぜ!」
さあ、カオスになって参りました!




