第五百六十八話
ミサイルがやって来る。
一応説明するか。
「カトリ先生……ミサイルの回避は……」
「ヒャッハー!」
カトリ先生はミサイルを斬り捨てていく。
回避すらしない。
爆発なんてさせない。
突撃して真正面から斬る。
……やだ怖い!
と思ったら今度は俺がロックオン。
ミサイルの雨あられ。
もー、やだー!
俺は回避。
よく見て~、……加速してきたとこを回避!
ほいさ! あらよ!
爆発になんて巻き込まれない。
何本ミサイルが来ようともすべて回避する。
だってビーム兵器より遅いもん。
ミサイルなんて当たるわけないじゃないですかー!
「このド変態野郎が!」
カトリ先生が怒鳴る。
「なんで俺、怒られてるの!?」
「そのスピードで回避とかお前にしかできんわ!」
「はっはっは、育てたのは先生ですよ! ねえ師匠!」
「そんなの教えたことねえ!」
今度はライフルの一斉掃射。
こっちも当たらないよーだ!
だいたいさー、照準オートで撃ってくる時点でどこ狙ってくるか丸わかりじゃん。
マニュアルで偏差射撃しようよ~。
そうじゃないと当たらないっての!
狙いはわかってる。
だからそこさえ回避してしまえばいい。
よけられなきゃシールドを信じる。
と思ったけど反応速度が遅いわ。
近づいて一刀両断っと!
殺しちゃわないように手加減手加減と。
「こちらイザーク、なんの参考にもなりません!」
「種を明かしてやろう。オートモード、だけどパーシオンちゃん、俺を殺そうと思ってるわけよ。だからコックピット狙いなわけ。あとはタイミング」
「聞いても再現できる気がしません!」
「大丈夫だよ。君ならできる」
「いまテキトーなこと言いましたね?」
「カトリ先生と遊んでもらって。そのうちできるようになるから」
「おう、道場で俺と握手だ!」
なんかイザークくんが納得できないといった渋い顔してる。
はっはっは。こっちの世界においで。
さーて殺そうとしてる時点ですでに反則なんだけど。
まだボクシングで後頭部殴るくらいの反則だ。
クリンチのどさくさにグローブで相手の目をこするとか。
フックに見せかけた肘打ち……は食らう方が間抜けか。
どちらにせよ、たいしたインパクトじゃない。
できればタイトルマッチで投げ技使うか、セコンドが乱入して相手選手を殴るくらいじゃないと困る。
続々とパーシオン軍が集まってくる。
そしてとうとう言い訳できない反則がやってくる。
それは軍艦だった。
「キタキタキタキター!」
俺はもう笑顔である。
「カトリ先生、仕留めますよ! 狩りの準備は?」
「できてるに決まってんだろ!」
戦艦は機雷をばらまき、エネルギー魚雷をぶっ放してきた。
はっはっは!
バカめ!
人型戦闘機みたいな小さな機体に軍艦持ち出しても無意味!
魚雷も機雷も全部よけちゃうもんねー!
どうせやるなら砲台全部向けて全方面攻撃よ!
こんな大きいの、よく会場に入れたねって言われそうだけど……わざとに決まってんでしょ。
海賊ギルド経由でレオくん大首領就任反対派の海賊に情報を流した。
警備計画の穴とかも噂としてね。
突如決まったイベントで警備に穴があるってね!
パーシオンだって疑ってなかったわけじゃない。
ただ上手く行きすぎた。
気がついたら引き返せないとこまで誘い出されてたわけだ。
なにもかもお膳立てしたしね。
それと俺が自らを囮にすると思わなかったってのもあるだろう。
俺はやるもんね!
「はーい、ルーちゃんママ撮影大丈夫ですか?」
「はい、すでにライブ中継を流してます」
すでに放送済みだった。
ただ、この程度で中止するはずない。
さらし者は覚悟のうえの暴挙なのだ。
俺を殺せれば帳消しだ。
「妖精さん、クレアたちの援軍は?」
「一分後に到着予定です」
一分耐えればいい。
さーてミッションはわかった。
じゃあ一分……。
「カトリ先生! 一分後に援軍が来て止められちゃいます!」
「その前に墜とすぞ!」
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
俺たちは突っ込んでいく。
1ラウンドもないのか……カナシイ!
パーシオンの人型戦闘機がやって来る。
ライフルを乱射してくるが、そんなの当たりませんよーだ!
すべて回避。盾で一体をぶん殴る。
10体以上のパーシオンの機体が剣を抜いて襲いかかってくる。
よし、戦闘ルールを接近戦に切りかえることに成功。
一人が剣を抜いたら全員つられて抜いちゃう!
こういうときを想定して訓練してないからこうなる。
「ひどいものを見た」
「悪いのは俺じゃないですよ」
なんて軽口を叩きながら囲まれる。
へいへーい。
すると直感が働く。
あ、バカこの野郎。
戦艦が主砲を撃って来やがった。
仲間ごと灰にするつもりだ。
クズすぎる!
俺は全回線オープン。
「逃げろ! 戦艦はお前らごと撃ち抜くつもりだ!」
数体は離脱。
俺は戦艦に突っ込んでいく。
カトリ先生も素早かった。
もう肉薄してる。
「てめえ! 勝負を汚しやがって!」
カトリ先生はもう一本刀を抜いた。
二刀流で砲台に斬りかかる。
そこに無人ドローンが迎撃しようやって来る。
俺はライフルで撃ち落とし……ちまちまやるのめんどくせえな。
パルスグレネードぽいっとな。
爆発した瞬間、撃ち抜いていく。
だいたいさー、ドローンなんてオペレーターやAIの動きはパターンが決まってる。。
ケビンみたいにすべてを群れとして動かすようなのはできないのだ。
ありゃゾークの特殊能力だろうな。
だからどんどん撃ち落としていく。
カトリ先生は砲台をぶち壊す。
俺たちを止められるものなどいなかった。
仲間に見捨てられたパイロットたちはすでに意欲を失っていた。
そりゃねー、トカゲの尻尾だもんね。切られちゃったらやる気なくすよね。
そりゃさ、友軍を守るための崇高な犠牲なら我慢できるけど、俺の邪魔をしただけのクソ作戦で死を強制とか心が折れるに決まってる。
人間を駒として見てるからこういう失敗する。
俺たち兵士は駒じゃないのだよ。バカめが!
「兵士の皆さーん、投降すれば悪いようにしませんよ~。あ、指揮官。お前は許さねえからな」
兵士の皆さんは給料分の義理を果たしたら降伏してね。
指揮官は生きて帰れると思うなよ。テメエコラ。
ドローンの動きが停止した。
オペレーターがやる気なくしたな。
俺も剣に持ち替えて砲台へ攻撃開始。
「ぐはははははははははー! はい一つ無力化! はーい兵士の皆さん、脱出艇で避難してね~」
カトリ先生も壊していく。
「おらオメエら! 給料安いんだろ! さっさと降伏しちまえ!」
一方的に戦艦を壊しまくった俺ら。
一分後に味方が到着する前に戦艦を拿捕したのである。
はっはっは!
そして敵の救助が行われる中、カトリ先生と俺は向かい合ってた。
「おう、移動するぞ」
「へーい」
エキシビジョンのラストは一騎打ちなのである。
ちょっと疲れた。




