第五百六十七話
鬼神国の人型戦闘機へ向けて突撃。
プローンの士官学校生、イザークくんが俺に続く。
「大公陛下! ご命令を!」
「俺に合わせて! テキトーに攻撃!」
「あんたアバウトすぎるだろ!」
「しかたないじゃん! 戦況はリアルタイムに変化するの! いいから、俺を後ろから撃たなければ許すから!」
ということで共闘である。
「どうなっても知らないからな!」
イザークくんがライフルを撃つ。
この子、戦術はエディ寄りか。
でも鬼神国も猛者ばかり。
来るとわかってる攻撃はシールドで防御してしまう……。
そこで俺の突撃である。
要するに来るとわかってる攻撃じゃなきゃいいのである。
後ろから撃たれるのを覚悟で突撃。
イザークくんは当然容赦なく撃ちまくる。
ここでビビって射撃止められたら困るところだった。
はっはっは、信用されてるじゃん!
「な! 突っ込んで来やがった!」
と敵がビビったところで、スッと横に移動。
すると俺のいた場所からライフルのビームが飛んできた。
ナイスタイミング!
あわてて敵は防御する。
その隙に剣で一撃!
手首を斬り落とす。
試合だからこれで勝ち!
「な……嘘だろ! こいつら……普通じゃない!」
鬼神国人もどん引きレベルの連携。
イザークくんの攻撃をかいくぐりつつ、敵が反応できない攻撃を繰り出していく。
「レオの兄貴に集中しろうわあああああああああああッ!」
だめなんだなー。
俺に集中した瞬間、イザークくんに撃たれるのよ~。
案の定、イザークくんの射撃を回避できず行動不能である。
やっぱりレンやクレアやイザークくんと組むと楽だわー。
俺はさらに突っ込んでわざとわかりやすい攻撃を繰り出す。
「は! 盾でパリィして……」
パリィなんかさせるかよ!
当てた瞬間力を抜いて手首をクルッと回す。
するとぶん殴ろうとした盾は空振り。
隙ができた瞬間、俺は蹴りをぶちかます。
慣性で滑った敵をイザークくんが撃って行動不能。
俺は蹴った勢いのままバーニアフルスロットル。
流れるように最後の敵に接近。
「う、うわあああああああああああ!」
敵はあわてて盾で受け止めようとする。
はい居着き。
止まった方が負けなのよ~。
俺は盾を駆け上がって。
頭をチェストォッ!
カメラロストで俺の勝ち。
試合はいいわー。
全方面ビームとか理不尽展開が少なくて。
ゆっくり減速しながらイザークくんの機体に手を振る。
「ナイスアシスト!」
するとイザークくんブチギレ。
「あんた動きが化け物すぎるだろ!」
「シミュレーター繰り返してればこのくらいできるようになるって」
「そういう問題じゃねえ!」
「なれちゃえ~♪」
「うわああああああああああああッ!」
なんでマインドブレイクしてんのよ。
「なんでプローンが完全敗北したかわかってきた……いや資料で納得してたつもりだったんだが……遙かに上を行く理不尽さ……」
ブツブツなにかつぶやいてる。
「俺は常に被害少なくなるような選択肢を選んでるだけだぞ」
「ハイリスクすぎるだろが!」
もー、真面目なんだから!
イレギュラー起こったらその場でどうにかすればいいじゃん。
行動してから考えようぜ!
「恐怖心のブレーキが壊れてやがる……」
「恐怖を乗りこえるのが成長ってやつだぞ」
「あんたは恐怖を感じなさすぎだっての!」
「はっはっは!」
「聞けえええええええええええッ!」
さーてカトリ先生と合流しなきゃ。
進んでいくとカトリ先生の機体がレーダーに映った。
「先生、来たよ~」
「おう、来たか」
辺りには鬼神国人型戦闘機の残骸だらけ。
そのパイロットを救出しようとする救助船が集まっていた。
うわーお、どれも一撃で葬られてる。
「レオ、なんだ後ろのは」
「俺の護衛だって。士官学校のエース。はいご挨拶」
「銀河帝国士官学校クロノス分校! イザーク学生です!」
「おう、カトリだ。よろしくな」
いまやカトリ先生はイザークくんも知ってるくらい有名人のようだ。
「イザークくん、今度カトリ先生に稽古つけてもらいな」
にっこり。
「それはありがたく思うのですが……大公陛下。なにか別の意図でも?」
「ソンナコトナイヨ」
「イザーク、気にするな。そいつの言うことは半分デタラメだ。耳を貸したら負けだと思え」
「ご忠告肝に銘じます」
あれ……なんか結託してない?
俺ピンチ?
するとゾクッとした。あ、殺気。
「レオ……来るぞ」
「へーい、今度は殺し合いだから、イザークくんは待機。巻き込まれないでね」
「おい、俺も!」
「待機。命令だ」
「……クソ」
はいはい、イザークくんステイ。
学生のうちから殺し合いなんかしなくていいんだよ。
これ本当に、心から思う。
濃密な殺気を放つのはパーシオン機だ。
さーて、やりますかね。
「カトリ先生」
「移動だな」
俺とカトリ先生は救助活動が行われてないエリアに移動。
パーシオン機を待つ。
パーシオン機は5機。
おそらく精鋭だろうね。
はい撮影開始っと。
いざ尋常に……。いきなり撃って来やがった。
「やっぱり撃ってきた!」
「さあ面白くなってきたなレオ!」
カトリ先生が暑苦しく笑う。
「作戦はわかってますね?」
「二度と刃向かえないくらい相手を完膚なきものまでに倒すんだよな?」
「ぶぶー! 違いますぅ! 相手に反則させるんですっての! もうドーピングまでは証拠つかんでますんで」
「手加減しろってことか?」
「一撃で倒さなきゃいいっす。そのうち卑怯な手使ってくるでしょ」
そもそも、俺には多数で挑んでも卑怯じゃない判定だからな!
カトリ先生も同じだろう。
冷静に考えると……卑怯な手って難しいよな……。
まあいいや。
何かやって来たらそれを延々卑怯呼ばわりすればいいし。
剣術+操作技能+盤外戦術=威力。
これを叩き込んでくれる!
そして俺の懸念は杞憂でしかなかった。
いきなりのミサイル。
いや使ってもいいんだけどさ。
パイロットの技能大会で使うのどうなのよ!?
いきなりそれをしてきたのだ。
よっしゃ! 反則の意思あり!
当方はミサイルよけつつ、さらなる醜態を誘発するようにする所存!
へへーん!
俺を相手にしたのが間違いだったと思い知らせてやるぜ!




