第五百六十六話
カトリ先生は悪い顔をした。
大人げないおっさんとの共闘作戦である。
なお俺は畳の座敷牢にいる。
大昔の牢屋風、木の格子つきが腹立つ。イラッとするわ!
トイレはちゃんと別。
この恨み忘れない。
捜査が終わり大会が始まる。
一部プログラムの変更がアナウンスされた。
「大公と遊ぼう♪ カトリ師範VSレオ・カミシロ・クロノス大公に飛び入り参加しよう! 君も宇宙最強に挑戦だ!」
俺はCMの撮影もする。
「僕と公都ゆうえんちで握手だ!」
スポンサーの遊園地のCMと一緒に流す。
実際、遊園地で握手会するもん。
上様の格好で。
暗殺? 来いやボケがああああああああああああ!
あと大公ソーセージも売るか。
高い方はカミシロ隊専用機フィギュアつき。
安い方はカミシロ隊専用機とパイロットカードと。
ヨシ。
握手会は暗殺の懸念もなし。
だって市民と鬼神国人有志が自主的に警備してるし。
子どもに色紙渡して握手。
はっはっは!
エディやメリッサも巻き込んだ。
イソノ中島は大会運営で死にそうになってるから免除。
横ではプロレス大会の予選が行われてる。
なぜかクレアさんが運営でいるけど見なかったことにする。
レンはいつものように俺のメイドさんをしてくれてる。
さて俺の暗殺であるが……はっきり言ってどうでもいい。
やれるもんならやってみろ。
だが嫁ちゃんの悪口は許さない。殺す。
嫁ちゃんは余裕ぶってるが繊細なのだ。
特に麻呂親父からの心理的虐待で心が傷ついてる。
麻呂はサイラス義兄さんが始末してくれてよかったと本気思う。
そんな嫁ちゃんを売女呼ばわりとは生かしておけぬ。
俺は自分のことなら笑って許すが、嫁ちゃんへの攻撃は許さない。
ビキビキビキビキ!
思い出すだけで血管が浮かび上がる。
絶対に仕返ししてやる。
俺が仄暗い陰謀をめぐらせてる中、大会は順調に進んだ。
俺とカトリ先生が特別枠のため、銀河帝国の剣術代表は男子はエディ、女子はメリッサになった。
クロノス代表はイソノとリコち。
マゼランは今回はパス。
まー、しかたないよねって感じだ。
鬼神国はわらわら個人参加。代表なし。お前らそれでいいんか?
ラターニアは代表を送り込んだ。ラターニア剣術の有名選手だ。
というわけでトーナメント方式で進む。
初戦はリコち。
「ちょっと待って、私、女子代表ですよね? なんで男子の部に出場なうえに武器が丸太なんです?」
いきなり審判団に抗議が入る。
「ハンデですがなにか?」
「嫌がらせかな!」
いいえ、実力差を考えての正当な評価です。
リコちが女子の部に出たら面白くないじゃん。
フルアーマーだし。
「私、一回戦で負けますからね! いいですか!」
はい一回戦。
相手は鬼神国の力自慢。
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
「俺がクロノス憲兵隊総隊長リコ・サカザキじゃああああああああああッ!」
カッキーン!
ホームラン!
丸太で一閃である。
うん知ってた。
こうなるのはわかってた。
エディが死ぬほど嫌そうな顔してる。
「俺……アレと戦うの?」
「がんばれ……むしろクレアがプロレス大会に行ってることをラッキーだと思おうぜ」
どうせ決勝で戦う。
エディの発言は傲慢ではなかった。
すべて開始数秒で一本を取り、鬼神国人では相手にならない。
サリアが大会から逃げたことも大きいだろう。
もうね、不可解判定なし。
すべてわかりやすい技術で終わらせる。
さすが雪原の悪魔は強いのである。
リコちも次々と勝ち進んでいく。
なおラターニアの有名選手は普通に二回戦敗退。
ごく普通の戦いであった。
で、決勝。
リコちとエディの戦い。
数々の鬼神国人を葬った丸太がエディを襲う。
エディも嫌な顔して回避、回避。
受けたら終わるエディは回避に専念なのだ。
逆にリコちは行け行けドンドンと攻撃しまくる。
だがなんということだろうか……。
丸太に限界が来てしまった。
べきり。
数々の兄貴たちを葬った丸太ボルグ。
それがへし折れた。
一瞬の沈黙……そして……。
「参りました」
リコちが降参した。
素晴らしい試合だった!
実際、会場では「アレをよけたのぉッ!?」って感じだった。
そして女子の部。
メリッサ無双である。
もうね、メリッサに勝てるわけがない。
「にゃははははははー!」
一瞬で終わり。
はい、格闘大会終わり。
帰ろ帰ろ……。と思ったのに人型戦闘機に乗ってた。
ラブ&ピースで生きてきたのに!
参加者はオーゼン軍残党に、多数参加のパーシオンの軍人に、鬼神国の正規兵に……。
殺意が高いな。
そして意外なもう一人はプローンの少年。
銀河帝国士官学校、クロノス分校の成績優秀者である。
すげえよ。俺より成績いいの。
人型戦闘機の免許も取得。
彼は標準機で参加。
おいおい、やべえな。
それぞれの意図が複雑に絡み合ってる。
どうすんだこれ。
とりあえず宇宙港から殺戮の夜で出撃。
試合会場は宇宙空間。
所定の場所について……。
「死ねええええええええ!」
フライング勢、識別IDはパーシオン。
あははははははは!
本当に殺しにやって来やがった!
ぶぁーか!
と殺そうと思った次の瞬間だった。
敵機は後ろから蜂の巣にされる。
撃ったのは士官学校の標準機。
プローンの少年だ。
通信が入る。
「レオ大公陛下をお護りしろとの命令です」
「君はそれでいいの?」
「まだ大公陛下には勝てませんから。……レオ・カミシロ・クロノス。貴様を倒すのは俺だ。その日まで無敗でいろ。誰にも負けるな」
いまちょっとゾクッとした。
俺……とんでもねえライバルを育てちゃったかも。
……この子……現段階でも相当強いぞ。
「護衛いたします」
「まずはカトリ先生と合流して」
「よろしいので?」
「話し合いはできてる。先にアホども蹴散らしたらゆっくり戦おうってね」
「了解しました」
こうして俺はヤンデレと一緒にカトリ先生と合流しに行こうとするのだった。
「あ、レオの兄貴みっけ!」
「あ、兄貴だ! おい、やるぞ!」
「うひょー! 兄貴だ!」
……俺、カトリ先生のとこまで無事にたどり着けるかな?
俺らは鬼神国人を蹴散らしていくのであった。
パーシオンどもに恥かかせるのだー!




