第五百六十五話
全宇宙の賞金首。
チョコバナナから不動産、大盛り焼きそばからからエッチなお姉様まで。
皆様の総合商社海賊ギルド大首領レオ・カミシロ・クロノスです。
お米に醤油に海苔にマヨネーズ。勝ったな。
バチくそ勝利したな!
大会はクロノス大公暗殺事件の捜査で一週間延期。
スタジアムは閉鎖されてる。
その間、俺は宮殿の外に出ることすら禁止。
暗殺の当事者なので仕事すらさせてもらえない。
なので体を鍛えて食堂で料理をする日々である。
あと動物とのふれあいな。
猫がちょいちょい俺の背中をチョップする。
うちのラブリーベイベこときなこである。
「はーい、おやつね」
「なーん♪」
お魚フードをあげる。
俺たちの食べてるものをあげたいが……寿命に直結するんだよね……。
だから獣医師推奨のフード。
「なーん♪」
きなこは美味しそうに食べてる。
だいふくにもフードをあげる。
「ぴい♪」
そして鷹もやってくる。
「あ! またレオのところに逃げて!」
士官学校の女子がやって来る。
女子にご飯もらってたところで脱走したみたい。
この鷹は飼育してるわけじゃなくて、野生でご飯だけもらいに来る状態だ。
「ぴい! ぴい! ぴい!」
スリスリされる。
「もーレオくん! ハーレム築くのやめて!」
「待って、俺悪くないよね?」
「レオくんずるいー!」
なぜか怒られた。
世界は理不尽に満ちている。
いいもんねー。
すーはーすーはー。
きなことだいふく吸うもんねー。
「なーん♪」
「きゅう♪」
なお鷹であるが、だいふくを襲わない。
だいふくも警戒してない。
むしろ鷹が背中に乗せてる。
果たして野生で生きられるのだろうか?
「あ、そうそうレオくん報道見た?」
「なになに?」
女子に言われてニュースを見る。
ストリーミング放送。
「どこの報道?」
「パーシオン国営放送。吹き替えからラターニア語にできるよ。レオくんのことが話題みたい」
「へぇ~」
もう士官学校同窓のほとんどがクロノス語とラターニア語ができるようになった。
軍を辞めても通訳で食べていけるだろう。
俺はパーシオンの国営放送を見る。
例のおっさんと若いキャスターが討論番組に出てる。
おっさんが声を上げる。
「クロノス大公はチキンホークである! 自分は戦場に出ないクセに若者を戦場に行かせようとする悪魔だ!」
……俺も若者なんですけどぉ。
そもそもチキンホークって、俺前線出るけど。
「やつは銀河の均衡を崩し、緊張をもたらした!」
それは否定しない。
安定……というかプローンと屍食鬼が崩す寸前でギリギリ保ってた均衡。
それを俺らが引っかき回した。
それは事実だ。
ただ俺らが引っかき回さなければラターニア、太極国、クロノスにマゼランにオーゼンが滅んでたわけだ。
鬼神国はギリギリ放置かな?
鬼神国は命より名誉の方が重いから敵に回すと面倒なのよ。
仲良しだからお笑いヤンキー集団に見えるけど、支配領域が狭いだけで心は鎌倉武士。
倒そうと思ったら自分たちの死は覚悟した方がいい勢力だ。
俺だったら戦わない。
プローンとにらみ合いさせて放置だ。
こういう敵の立場になって考えるメタ認知って重要よね。
だから腹も立たない。
パーシオンの立場になれば国内世論向けにそう言うしかないのだ。
俺にはメンツなどない。
なにを言われてもいいフリー素材なのだ。はっはっは! アホめ!
好きに言ってろ!
「大公閣下!」
内務副大臣のおっさんから緊急連絡。
「なにかありました?」
「国民が怒り狂ってます!」
「もしかしてパーシオン国営放送の?」
「ええ……ご覧に?」
「いま見てるところですけど」
「大変だ! 近衛騎士団! 陛下を止めてください!」
「なになに? どうしたの?」
するとパーシオンのおっさんが汚い笑顔になる。
「銀河帝国皇帝とかいう売女も」
「あんッ?」
バキバキバキ。
手に持ってたきなこのブラシを握りつぶしてしまった。
俺がキレた瞬間、もう動物たちは逃げてた。
女子たちもね。
「あー! 聞いちゃった! 騎士団! 暴れる前に確保!」
副大臣のおっさんが焦る。
深呼吸して冷静に。
「キレてないよ」
「嘘だー!」
顔が鬼みたいになってた。
俺の悪口は許す。なに言ってもいい。
だが嫁ちゃんの悪口は許さん。殺す。
俺はキレながら海賊ギルドとの直通回線をオープン。
「海賊ギルドきゅん。金に糸目つけないからパーシオンのトップに賞金首かけて」
「だ、大首領様! 落ち着いてぇーッ!」
海賊にまでツッコミ入れられた。
「わわわわ、ワシャのう! 嫁の悪口言ったやつだけはぶち殺すと決めてるんじゃ!」
「うわーん! あ、ヴェロニカ皇帝陛下! 大首領を止めてください!」
すると嫁ちゃんがやって来た。
「落ち着け婿殿!」
「アイラブユー!」
「……お、おう……いつになく壊れたの……近衛騎士団。婿殿を捕縛して閉じ込めるのじゃ。焼き芋を忘れるな。食べrて腹がいっぱいになったら冷静になるじゃろ」
ということで両脇をつかまれて宇宙人スタイルでドナドーナ。
営倉代わりの部屋に監禁されたのである。
オレ……パーシオン……許サナイ……。
どうやってパーシオンに嫌がらせしようか考え中。
ムカつきすぎたので芋を食う前にスクワットに腕立て伏せ。
それが終わったらバービージャンプ。
血行が良くなって脳が動く。
30分は芋食べられないけど……まあいいや。
頭が働いてくるとふと思う。俺下剋上されてね?
クロノス大公やめてもいいんじゃね?
そしたらおっさんぶち殺しに行くもん!
地獄見せるって決めたもんね!
30分して芋を食べる。
タンパク質補給で栄養ブロックもね。水も飲んでっと。
「ねえねえ! いつまでいればいいのよ!」
見張りに声をかける。
「内務大臣閣下の命令解除後にございます!」
「これクーデターだよね!」
「いえ、陛下の御身を守るためにございます!」
くそ!
すでに詭弁のセキュリティーホールは塞がれてたか。
俺の扱いに慣れやがって!
しかたないので考える。
パーシオンが一番嫌がるのはどんなことだろう?
いきなり攻撃?
うーん、国内の結束固めそう。
俺への攻撃も国内向けだしね。
……あ、そうか。
格闘大会で恥かかせればいいのか。
あくまで俺はルールを守ったていで。
クロノス大公の品位を保ちながら、パーシオンのメンツをぶち壊す。
俺はカトリ先生にメッセージを送るのだった。
羅刹の銀河①
発売日にございます!
よろしくお願いします!




