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第五百六十話

 スタジアムはすでに建築済み。

 各国で予選会が開かれる。

 鬼神国の首都の虎的なチームはリーグ戦で悲惨な成績を残した。

 鬼神国人はカウントワンツースリーのマスコット「サンダー大佐」の呪いであるとうわさした。

 知らんがな。

 なおサンダー大佐であるが微笑み眼鏡ではなくむしろ寿司屋の社長風……いえなんでもないです。

 とにかく呪いのせいで敵チームにけちょんけちょんに負けたと。

 キレた鬼神国有志が二階建てのチームカラーの山車を引いて街中を疾走。

 コントロールを誤り商店兼民家にぶち当たって民家、山車ともに倒壊したとのことである。

 キミらなにやってんの?

 そんな力こそパワーな鬼神国はいったん置こう。

 ラターニアは長命種ゆえの詰め将棋みたいな試合で代表チームが勝利。鬼神国と違って和むわ。

 意外なのは太極国。

 普段はたいへん大人しい国民であるが……。


「ぶち殺せー!」


 太極国の首都チームへの声援は凄まじいの一言だ。

 ちなみに……いま俺がいるのはクロノスの太極国人経営の野球バー。

 シーユンに招待されたのだ。

 そのシーユンも普段穏やかな姿はどこへやら。


「てめ、引っ込んでろ! いまの捕れただろがよ!」


 目が血走ってる……。

 俺やワンオーワンやタチアナが隅っこで小さくなるくらいの応援をしてた。


「あ、ポテトフライおかわり」


「はいよ王様!」


「自分も欲しいであります」


「あいよワン嬢ちゃん!」


「あたしはクリームソーダお願いッス」


「あいよ聖女様!」


 いやこの店内にいるのって太極国の近衛兵や外交官だよ。

 なのに皇帝と肩を組んで首都チームの応援歌を歌ってる。

 ガチすぎる!


「今日はサッカーじゃなくてよかったですな」


 オーナーがつぶやいた。

 ……サッカーのときは招待されても遠慮するッス。

 その後、試合を最後まで見て全員分の支払いをすませて、「まだ帰りたくないです」とぐずるシーユンを「未成年だからダメ」となだめて宮殿に帰る。

 つうかさ! 近衛の禁軍! お前らさ、任務中に酒飲んでじゃねえよバカ!

 俺軍人だからここだけはうるさいからな!


「面目次第もありません……」


「お兄ちゃん……あーたも酒臭いですよね?」


「まことに申し訳なく……」


 シーユンのお兄ちゃんすらこれ!

 いや太極国人って普段問題起こさないけど、これだけは気をつけておこうと思う。

 ちなみに太極国人の他のスポーツバーでは乱闘が発生。

 警察にお泊まりしてもらった。

 さらに次の日には太極国では大規模な乱闘が発生したニュースが報じられた。

 ガス抜きなんだろうけどね。

 代表が決まるともっとすごかった。

 あらゆる企業が金を投じて派手な遠征パレードを行う。

 太極国の国家があちこちで歌われ、大衆は涙した。

 ものすげえ熱量である。

 ビビった俺たちはイソノに話を聞く。


「さすがに同時開催するわけねえだろ。サッカーは野球終わってからな。だけどよー、問題があってよ~」


「なによ……怖いからさっさと言って」


「格闘技もやってってさ」


「イヤでゴザル」


「なんでよ!」


「絶対カトリ先生が絡んでくるだろ! 俺絶対にイヤだからな!」


 カトリ先生の獲物になるのだけは回避したい。

 俺は、絶対に、格闘技大会は開かない!


「そもそもだ。ガチの格闘技はつまらない」


「いきなり全方面に喧嘩売りはじめたな」


「そもそも剣術だって真剣でやったらただの残酷ショーだろが! 虚実入り混じってる方が圧倒的に面白い!」


 そもそもだ。防具付けたり、木刀や竹刀使ってる時点で実戦ではない。というか実戦にする意味ある?

 安全に競技スポーツ化したものでいいのだ。

 実際そっちの方が強いんだし。

 過激なルールなどいらんのだ。

 俺の秘書的ポジションで資料をまとめてるクレアさんの耳がピクピクしてる。

 残念だったなクレアよ! 俺は君が命と同じくらい大事にしてる文化へ言及なんかしねえぞ!

 あれはルールがそういうもので扱いが難しいのだ!


「とにかくやらねえからな!」


 俺は逃げるように去る。

 でさ、愛するクロノス大公妃クレア様はなにをしたかって?

 先に言い訳させてもらう。俺は悪くない。

 こっちの世界では超絶有名人のザウルス先生にタンク先生を招集。

 宇宙統一団体を設立。

 元から団体はあったのよ。

 それを超絶拡張した。……豊富な資金力でね。

 そもそもさー、プロレスやってるのなんて全員がタンク先生とザウルス先生の弟子なのよ。

 だから横の繋がりはとても強い。

 試合に欠員が出たら他の団体が補充するなんてのは頻繁に行われてる。

 つまり統一団体を作るのは簡単だった。

 すでに銀河帝国側が頭下げて参加する規模だもん。

 でさー、彼らは箱を作るのが得意なのだ。

 サッカーも野球も俺たちは法人を文官たちと協議しまくって苦戦して作った。

 ラターニア、太極国、クロノス、鬼神国のお偉いさんを入れて予算と政治的正当性を……なんてモタモタしてたのよ!

 でもプロレス勢は法人をあっという間に作ってすでに稼動、収益からプロモーションまで整えてたのだ。

 野球の代表がそろった頃には「全宇宙大会開催準備中!」なんてポスターまで作ってた。

 そのころになるとカトリ先生に「どういうことかな?」って捕まって詰められた。


「し、知らにゃい! クレアに聞いてくださいよ!」


 武道場には縛られたエディもいた。


「剣術大会。開いて」


「エディ頼んだ!」


「バカ! 鬼神国人に聞こえたらたいへんなことになるだろが!」


「ということで無理でゴワス!」


「却下だ。やれ!」


「ふええええええええん!」


 ということで、もうね、興行主みたいになった俺たちは剣術大会の回避を話し合う。

 こんなの絶対にコントロールできないヤツじゃん。


「やはり……ここはルール策定でもめて空中分解したていでごまかすしか……」


 エディが真剣な顔で言った。


「それしかない!」


 俺は賛成。


「女子は「婚期が遅れるのでイヤです」と意見が出てます」


 リコちが真面目な顔で言った。


「それリコちだけじゃね?」


「るせえ! レオくんさ……あたしの結婚……責任取れんの? ああ、コラ!」


「……スンマセン」


 すでにリコちは霊長類最強女子として有名になってしまった。

 結婚は……ホントどうするんだろうね?

 嫁ちゃんも考えてはいるんだろうけど。

 スポーツ大会の計画は進む。

 そう、びっくりするくらい妨害がなかった。

 ただ俺たちは剣術大会の阻止だけは徹底して行っていた。

 カトリ先生につき合ってられるか!

 そう思っていたのだ……。

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― 新着の感想 ―
ガチの格闘技の方が面白いと思うけどなぁ… 少なくとも今の地球準拠ではだけど プロレスはもう格闘技とは言えないコントみたいなもんだから白けるし カラテはフルコンタクトだとしてもルールに縛られすぎでなん…
ガチの格闘技はつまらないは至言ですね。 観客に魅せる技って本当に凄いと思います。
レオの「合法的に失敗する」ための根回しは、その時点で根回しが失敗することが約束されてるのでは?
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