第五百五十九話
パーシオンからはその後会談申し込みなし。
嫁ちゃんにもないんだって。
ま、いいか。
とりあえず生き残りを各首都に集めて支援開始。
まずはお祈り気分でタチアナの結界設置。
イナゴコロリも撒いてッと。
組み立て式の仮設住宅の設置もする。
地元住民も雇ってなんとかね。
クロノスの建設業は大規模なプロジェクトに大歓喜。
作業員を引き連れてやってきた。
もちろん地元住民の雇用優先だけどね。
特にオーゼン人はみんな家族や友人知人が機械に改造されたトラウマを抱えてるけど、動いてる間は忘れられると思う。脳筋理論だけど。
マゼランと同じようにオーゼンにも暫定政府を作ってもらう。そこと取引な。
クロノスの経済支援って話になるだろうけど。
金は天下の回りものってことでサクサクお仕事。
俺は各所に根回しして予算決めてもらうだけ。
仕事増えるんだから文句もなし。
クロノスの景気はとても良好である。
結局、政府のコントロールで需要を維持できるのって建築業しかないのよね~。
大きな金が動くから利権で腐らないようにしないとね。
「なあイソノ!」
「なんだ突然?」
俺は一番買収されそうなやつに声をかけた。
「一応言っておくが、俺はスポーツ団体のためなら賄賂も辞さないぞ」
言い切りやがった!
でも用途がわかってるってことは対処は簡単か。
そりゃね買収なんて個人資産を増やすのにやってるのはアホオブアホだ。
世の中の大型賄賂のほとんどは仲間を食わせるための金だ。
小さなところじゃ一族への利益誘導。
大きなのだと近所や地元の有権者、自分の仲間の業種。
順番に仕事を受注するためにする談合や価格調整とかね。
ミルフィーユ状の下請け構造とかもね。
すべてを自由競争にすりゃいいってもんじゃない。
一見すると無駄な金が消えてるように思えるけど、その無駄な金はたいてい子分を食わせるために消えているのだ。
貴族の使途不明金なんてたいてい軍事や親戚付き合い、上役への上納金に使われてるものだ。
公爵会みたいな連中の一人勝ちと、能力で成り上がることができない社会がだめなだけで。
というわけで書類を各所に送ってから、スポーツ団体との協議はイソノに押しつける。
俺は経済団体と会合。お仕事お仕事。
なんか俺の支持率100%近いんだけど……大丈夫かこの国……。
話し合いもサクサク終わる。
向こうの持ってきた工事計画を承認するだけだし。
「くれぐれも事故や公害の隠蔽はしないように。もしなにかあっても早期に改善すれば被害は少なくなりますので」
「かしこまりました」
この程度の話よ。
隠蔽するから歴史に残るような悲惨な結果になるわけである。
隠蔽しないで早期解決すれば問題ない。
で、経済団体と話し合いが終わったら銀行と話し合い。
銀河帝国の都市銀行なんかとも打ち合わせ。
銀河帝国にクロノス公国にラターニアの銀行システムの統合を話し合う。
すでに銀河帝国までラターニア銀行が進出してる。
もちろん銀河帝国の法律に則って破産制度を認めさせてる。
保険なんかも参入。
相互で商売してる。
最近ではカウントワンツースリー経由でラターニアや鬼神国、クロノス公国に太極国の品が銀河帝国に入ってきてる。
クロノスのバッグやラターニアの化粧品が人気だ。
ラターニア人は長命種。
長命ゆえのスキンケアの重要性があるそうで。
化粧品は銀河帝国では考えられないくらい執拗に、ねちっこく考えられた品々がそろってる。
ぽく男の子だからよくわかんない。
ただ、労働後の荒れた手に塗ったら翌日つるつるになってた。
……というのをインタビューで言ったら恐ろしい勢いでハンドクリームが売れた。
かかとがひび割れたおっさんまで買いあさった。
そこからラターニア化粧品の人気に火がついた。
あのメリッサやタチアナまで買ってるのだから恐ろしく品質がいいのだろう。
ラターニアの化粧品会社から女子たちにサンプルが送られてくるくらいだ。
一応、「賄賂になりませんよね?」ってクロノス政府に聞いたら「もらったことを申請すれば大丈夫です」と言われた。
公人って難しいよね。
とはいえ、我ら士官学校勢、本来なら高校や大学くらいで憶えるメークをまるっとスキップしてしまった哀れな生き物なり!
女子たちが嫁ちゃんに泣きついて女官さんに教えてもらう日々である。
……ケビンも行くの?
「なんか文句ある?」
「ないッス。きれいになってね」
なぜか照れたケビンに脇腹をデュクシされた。
メリッサも最近では薄く化粧してる。
「ま、人妻だし化粧くらいはしないとね」
「おいどんのために、さらにキレイになっていただきありがとうございます」
「おー、おー、褒めろ褒めろ!」
みんな変わっていくのね。
俺も成長しないとね……と思ったらリコちがフルアーマーでやって来た。
「警備交代しますって……レオくんなにその顔?」
変わらないって本当にいいよね。
俺は満面の笑みで両手の親指をあげる。
するとメリッサとケビンの両方からデュクシ。
痛いッピ!
「なんかムカつく!」
「ムカついたよ!」
「なぜだー!」
俺は叫ぶ。いつものじゃれ合いだ。
「な、なに?」
リコちだけが困惑してた。
いいのいいの。リコちはそのままでいて。
スポーツ団体との協議が終わったイソノがやって来る。
スポーツ団体との協議が終わったようだ。
「おう、リーグ戦決めてきたぞ」
「野球だっけ?」
銀河帝国に鬼神国にラターニアに太極国にクロノス。
各国家のチームとの国際親善試合である。
みんな放送しても恥をかかないくらいに上手になった。
こちらの銀河の国家は復興したことを見せる試合である。
試合は全宇宙で放送される。
ただのスポーツの興行じゃない。
これは外交だ。
「サッカーもやりたいってさ」
「俺は手伝えないけど大丈夫?」
仕事が多すぎて手がまわらない。
「おう、まかせろ!」
こういうのはイソノにまかせれば大丈夫だろう。
興行には海賊ギルドを意図的に参入させた。
地下経済でやらなきゃいいのよ。こういうのは。
というわけで体育祭からの久しぶりのイベントである。
今度こそトラブルがありませんように。




