第五百五十五話
オーゼン大統領を倒すと敵はいずこかへと去って行った。
大統領を倒して……占領するのめんどくさいよおおおおおおおお!
いらねえよ、こんな領地!
オーゼンの生き残りを捜索。
旧マゼラン暫定政府領もね。
下水道なんかに逃げて抵抗運動やってた人たちを救助する。
最後まで残って戦ってた人は信用できる。
そりゃ救助したら文句言われたこともあるけど「悪いのオーゼン大統領ッス」で終わりである。
オーゼン大統領の一族もほとんど残ってない。
それでも粛正されるみたい。
オーゼンのことはオーゼン人にまかせる。
正義の味方ぶって助け……助けるメリットないな。
大統領の一族の人は運が悪かったということで。
「大統領の親戚が会いたいって言ってますよ~」
妖精さんが聞いてきた。
「国籍は?」
クロノス国籍なら助ける。
護衛もつける。
これは国民を守るという約束だし国内問題だ。
「マゼラン暫定政府ですね。難民扱いもなしですね」
「じゃ引き渡して」
だが外国人なら知らん。義務はない。
法律上問題なければ知らない。
そもそもこの判断は俺の仕事じゃない。
自動で決まるものだ。
わざわざ俺に聞いてきたってことは特別扱いを望んでるってことだろう。
「助けてくれるのなら財産を差し出すと言ってますけど?」
「イラネ。差し押さえて目録はオーゼンの責任者に渡して」
と言ってもオーゼンは民兵組織なんだよね。
法律的に正当な組織かは有識者会議でも結論が出ず。
とりあえず政府(仮)として扱うことにした。
1万人しかいないけどね。
俺はオーゼン人の未来には責任はない。
マゼラン暫定政府の連中の未来もね。
生き残りは両国合わせて3万人程度。
機械化された人たちであるが、治療は不可能だった。
脳を計算機にするために自我の部分を除去し……やめとこう。
俺やタチアナの超能力でも回復できなかった。
体を作っても自我がすでに消滅してる。
機械化されても自我が残ってた大統領は、たしかに特別扱いではあったのだろう。
バカだから扱いやすかったんだろうけど。
こんな感じで戦後処理は進んでいく。
俺たちはある程度の援助をする代わりに宇宙港の使用許可と通行権をもらった。
逆に言えば支配もしないし、仲間として扱うこともない。
商売相手になるのも時間がかかるだろう。
ということで休日をもらう。
嫁ちゃんやペットとまったりすごす。
ゼン神族の動きは気になるが、状況証拠しかない。
様子見だよね。
そうそう、どうでもいい話としてはアマダの野郎が結婚した。
相手はセレネーちゃんである。
下位の皇族ということで普通に結婚式。民間で行うものだ。……これは前フリである。
俺はクロノスの観光地に屋敷をプレゼントしてやった!
嫌がらせですがなにか?
復興途中でなにもない場所だし、クロノスに来るのも許可が必要だし。
うけけけけけけ!
どうよ! この完璧な嫌がらせ!
「レオ、ナイスアイデアだったよ! 銀河帝国宇宙海兵隊にクロノス軍とカミシログループで借り上げて皇族の生活費にするなんて!」
クレアさんがニコニコしてる。
あっれー?
「えっと……使えない土地を支給されたうえに固定資産税が発生する嫌がらせだったのですが?」
「え? 降嫁した皇族の生活費を捻出したんじゃなくて?」
なんてことだ……。
嫌がらせのはずが普通に役立つプレゼントになってしまった。
つまらんが……ま、いいか。
で、アマダの結婚式だ。あくまで民間の行事だ。
民間だ。これを強調したい。
……場所は帝都のサッカースタジアムである。
帝都の帝都地方行政長官、いわゆる帝都知事が場所を用意したんだって。
「お色直しで神前式もやるんだって」
「……なして?」
「そりゃレオの友だちなんだから、みんなやりたがるでしょ」
なんだかな……。
「じゃ、俺たちのはどうなるん?」
それが気になった。
巨大な建物を建設してるのは知ってるが……。
「規模をめぐって会議が紛糾中。まだ計画すら決まらない状態だよ。場所も建設中だし。結婚式だけで銀河帝国帝都とクロノス公国首都でやるみたい」
思ったよりも修羅場であった。
アマダの野郎の結婚式に目を移す。
帝国の有名な女性シンガーが国歌斉唱してる。
もうお祭り騒ぎだ。
銀河規模のさらし者である。
アマダは「どうしてこうなった!」って顔してる。
「これ民間なんだよね……」
そうつぶやいたクレアの顔も引きつってた。
スポンサーの看板にカミシログループをはじめとする大手企業が名を連ねてる。
なんか手がつけられないほど大きなイベントになってるな……。
「夜まで中継だって。合間合間で総勢二十組の歌手が歌うみたい」
「それ完全に音楽フェス……」
「チケットをめぐって貴族の血で血を洗う争いが起きたみたいよ」
嫁ちゃんメッセージが読み上げられた。
次に俺のメッセージが読み上げられる。
式に参加できないカミシロ一門からのメッセージが読み上げられる中、男性アイドルグループが歌う。
そりゃ嫁ちゃん以外のメッセージなんて聞いてられねえわな。
でもさー……カオスの極みだよね。
アマダの気持ちを考えると共感性羞恥で死にそうになる。
実際アマダの目が泳いでた。
結婚式はすでにフェスと化していた。
式場であるサッカースタジアム前の中継には正月の有名神社くらいの人が集まっている。
さらにそこでは歌手の中継の合間に他の歌手やアイドルたちがライブを行う。
彼らも有名どころばかりだ。
これ民間の行事なのよ!
信じて!
「クレア……ぽくたちの結婚式は地味婚でいいよね」
「レオ……もうあきらめなさい」
銀河帝国民は公爵会による圧政が終わったのだと喜んでいた。
新しい時代が来たのだと。
セレネーちゃんとアマダの結婚は解放の象徴だった。
次は俺たちの番か……。
いや結婚式はいいのよ。
派手すぎてどん引きしただけで。
アマダの野郎がオープンカーに乗せられて目をグルグルさせながら手を振ってる。
その前で有名バンドが歌いまくる。
もはやアマダ本人も夢としか思えない状況だ。
ひでえものを見てしまった……。
「ねえレオ……」
「なにクレア……嫌な予感しかしないけど」
「私たちのはプロレス興行してもらっていい?」
「嫁ちゃんの許可もらったらね」
「はーい」
俺はさらし者になるアマダを見て、次は自分の番なのだと覚悟をした。




