第五百四十七話
人型戦闘機の部品として改造されたパイロット。
いやゾークや屍食鬼のやったことと同じなんだけど……なんだろう……この気持ち悪さ。
どう考えても本人が望んでないからかも。
俺は考える。
この状況からオーゼンが現在どういう状態なのか、それを考えろ。
これ実質滅んでますよね?
だって国家としての復活の目ないもん。
相手がゾークで絶滅戦争になるならギリギリあるかな?
でも話し合いができる国家との戦いでここまでする理由はない。
そう考えると仕掛け人はオーゼン人ではない。
……つまりだ。
オーゼン人はすでに絶滅したと考えた方がいい。
だって亡命者すらいないんだもん。
ゾーク式に殲滅作戦を決行して皆殺しってところだろう。
で、遺体か、もしくは生きてる人間を兵器にした。
やりかたが戦争ではない。
駆除だ。
イナゴテロと同じ連中だろうね。
で、俺たちも駆除しようとしてるわけだ。
「ラターニアと太極国と鬼神国に通告。これは絶滅戦争である。オーゼンはすでに滅亡! なにものかが我々を駆除しようとしてる!」
「了解」
イソノが外交部を通して各国に通告した。
その間も戦闘は続く。
オーゼン側の人型戦闘機が機雷を撤去するため宙域を確保してこようとする。
その動きはできの悪いAIのようだった。
意図が丸わかりだ。させるわけがない。
クロノスの優秀なパイロットが攻撃する。
そしてここでエースが出撃する。
「行くぞ!」
エッジである。
エッジは銀河帝国でも上位のパイロット。
例のシミュレーターでソロクリアはもちろん、マルチでも活躍できる。
エッジにアリッサに村の連中に、そしてそれぞれが隊長として育てたクロノス軍パイロットを率いる。
「こちらエッジ、作戦地点付近に到着。戦闘開始します」
エッジ隊が飛んでいく。
エッジは攻撃特化型超能力者だ。
エッジの専用機『蛇を倒すもの』には超能力増幅装置がついている。
タチアナの機体と同じように浮遊砲台から絶え間ない攻撃が可能である。
近接戦も得意で双剣での素早い連撃が可能だ。
要するにクッソ強い。
やっぱあとから作られた方が最新技術ガン盛りだ。
「殺戮の夜たんもそろそろ改修の時期かな?」
「レオくんの機体は最新技術云々よりも応答速度と自壊しない頑丈さ全振りですぅッ! そもそもレオくん移動砲台動かせないでしょ!」
妖精さんにツッコまれた。
そうなんだけどさー。
ああいう超能力兵器って憧れるよね!
エッジは中距離から浮遊砲台で攻撃する。
その連射力は異常。
全方面からの波状攻撃はよけることが不可能なほどだ。
ゾークマザーを倒したことで獲得した技術の恐ろしさよ。
問題は異常なほどの集中力が必要なことだろうか。
さすがは原作主人公、問題点など感じさせないスピードで敵機体を撃墜していく。
相手になにもさせない。
たとえ敵が複数体だとしてもだ。
敵機が攻撃をする前に圧倒的連射力と攻撃スピードで制圧していく。
出会ったら終わりの怪物である。
またアリッサたちも独自に進化していた。
アリッサの機体は標準機。
アリッサはジェスターとしての特性が未だに謎。だから専用機の製造が保留されている。
ただ運用実績から俺と同じ傾向、つまり仲間の能力の底上げと推測されている。
ただ作業スピードや恐怖心の減衰のようなわかりやすい効果じゃなさそうだ。
未だに謎である。
そういやアリッサの仲間たちって成長が早いような……。
まさかー経験値ブーストじゃ……。
検証の要望あげとこう。
だがアリッサは俺と同系統。
つまりさー、強いのよ。
近接が。
アリッサの武器は戦斧。
我が部下の女子たちはみな男らしい武器が好きなようだ。
エッジが仕留め損なった敵を斧で真っ二つにしていく。
そしてアリッサ隊の隊員は隊長のサポートがメイン。
中距離から銃撃する。
どんどん敵機が減っていく。
「いやー、安定してるわー」
これにはクレアも安堵する。
「そうだね……ここで負けるわけにはいかないよね」
敵が人道無視の禁止カード切ってきたのだ。
こちらは負けてはならない。
正しい方が負ける。
それだけは避けねばならない。
指揮ががた落ちする。
いやそりゃバックにいるゼン神族にも主張はあるのだろう。
だがあいつらはやりすぎだ。
許してはおけない。
「レオ、サンプル回収完了」
ケビンから連絡が入った。
「サンプルを分析に回して」
「了解」
するとエッジから通信が入る。
「オーゼン艦主力がやってきました」
さーてオーゼン艦の登場である。
でもさー、機雷の除去できてないのに意味ある?
「エネルギーチャージしてます」
「はーい、人型戦闘機は一時撤収。あとは艦隊バトルね」
まずは機雷。
これは自動だから放っておけばいい。
オーゼン艦に貼りついて爆発。
ただ兵士が機械化されてるって考えると隔壁壊したくらいじゃ止まってくれない。
機雷はこいつだけで撃沈ってより、中の乗組員にダメージを与えるものだからだ。
いまのオーゼンなら空気なくても動けちゃうよね。
艦隊戦は基本ビームとミサイルの撃ち合いだ。
『いい感じのポジションを取って一方的に攻撃するのが基本』って言えば簡単なんだけど、実際は難しい。
結局、攻撃力と速度と防御力頼りになっちゃう気がする。
他にも乗り込んで直接乗っ取るとかもあるけど今回はやめとこ。
標準戦略でいく。駆逐艦がミサイルを発射。ついでにミサイルに紛れ込ませてデコイも発射。
さらに蜘蛛型ドローンも発射。
ケビン以外もチラホラ使えるものが出てきた。
敵も主砲とミサイルを撃ち返してくるが、すでに機雷でダメージを負ってる。
狙いがガバガバだ。へいへーい。
ほとんどはバリアーを貫通できず、当たったものもゾーク加工された装甲に弾かれていく。
ミサイルも撃墜……そう、勝てそうな勢いだった。
だけど俺たちは学習してた。
そう、いままで何度も死にかけた爆発コントが待っている。
みんなオチがわかっていた。
「絶対近づくなよ!」
みんなうなずいていた。
もう敵のパターンは見抜いてた。
執拗にチマチマ攻撃していったのだ。
蜘蛛型ドローンで内部に侵入して制御系を壊して航行不能にしていく。
そして敵が限界を向かえたとき……次々と船が爆発していった。
クレアが呆れた声を出す。
「……ワンパターン」
ですよねー。




