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第五百三十八話

 だーかーらーさー!

 いつも食い物で深刻なダメージ負うのなぜぇ!

 ケビンの白いご飯発言から皆の様子がおかしくなった。

 どいつもこいつも米……米ェ……と繰り返す。

 はい、クロノスのなんか残念な陸稲。

 茹でて食べるやつ。

 ドライカレーとかビリヤニ用。


「ちがーう!」


 イソノにドロップキックされ、よろけたところをクレアに卍固めをかけられた。

 ギブ! ギブアップ!


「レオ……帝国の米……炊くやつ」


 クロノス大公妃に就任したクレア・カミシロ・クロノス様まで壊れた。。

 ポストの押し付け合いという嫁たちのくじで負けて大公妃にされたのだ。

 これで嫁ちゃんが俺の嫁なのは当然として、クロノス内での正妻はクレアになった。

 意味わからんだろ?

 俺もわからん。

 嫁ちゃん的にそれでいいの?

 一応聞いたら、「別にかまわん」と言われた。

 嫁ちゃんの頭の中がわからん。

 メリッサとレンだって側妃ではある。

 むしろクロノス人の嫁を取れとせっつかれてる。

 嫌でゴザル。

 俺が望んだハーレムではない。

 俺は恋愛したいのであって「ゲハハ! 女だー! ヒャッハー!」というタイプではない。

 知らん子を嫁にもらう気はない。

 そもそも次の選挙で民主制に戻って追い出されるつもりだ。

 などと考えながらクレアをタップしてた。

 すると解放してくれる。

 だがその目には涙をためていた。


「お米……納豆……なめたけに……海苔に……アサリに……アミエビ……とにかく佃煮……。おかか昆布も……」


 塩分が高そうなラインナップである。


「塩昆布……」


 ヨロヨロとクレアが崩れた。

 そう俺たちは限界だったのだ。

 お米様……それは日本人を支えるマストアイテム。


「えっとビリアニ作る?」


「それじゃだめ!」


 リコちとメリッサは大喜びなのだが……。

 かと言って米はない。

 ラターニアも少量作ってるが茹でる方の米だ。

 マゼランだけが炊く方の米なのだ。

 収穫まであと少しなんだから我慢……ってもうかなり我慢してるのか。

 銀河帝国からの救援物資も少ない。

 戦艦で製造してる水耕栽培の品種もあるが……あれはまずい。


「しかたないか……クレア行こうっか」


「どこに?」


「個人資産で買った田んぼ」


「え?」


 俺はイソノみたいに高級車の趣味はない。

 好き放題やっても、いままで使った資産は倍以上になって戻ってくることが多い。

 そう、お金の使いどころが問題だった。

 だから嫁ちゃんと妖精さんと相談して完全に無駄になってもいいプロジェクトに投資してたのだ。


「妖精さん、嫁ちゃんと連絡して。このままじゃ空中分解する」


「えー……いいんですか? 極秘プロジェクトですよ?」


「しかたないじゃん」


 ということで嫁ちゃんがやって来た。

 士官学校の同窓連中も何事かとやって来る。

 中島が先頭に立って叫んだ。


「一揆か? 一揆だな!? レオを吊すんだな! 米よこせ!」


「ちょ、お前ら! クーデターかよ!」


 なぜ俺は毎度死ぬほどくだらない理由でバッドエンドを迎えそうになるのだろうか?


「いいからお前らも来い!」


 もう、バカしかいねえ。

 レンなどのパン食文化勢も面白がってやってくる。

 うちはトウモロコシと米どちらもって感じだ。

 だいたいはそんなもんか。

 ついでに実験体ちゃんの散歩もしよう。

 今回はクレア様を正気にするため手早く輸送船で向かう。

 発着場はないけど俺の所有する空き地に着陸。

 道の駅建設の予定地だ。

 そこからバスで田んぼに向かう。

 俺の田んぼ、所有者だけど管理は商社にまかせてる実験場だ。

 カミシログループを噛ませなかったのは、過剰に期待されるのを防ぐためだ。

 ほら作ったあとで「これ食べられないよねえ……」ってのがあるじゃん。

 カドミウムが検出されちゃったりとか。

 イナゴのせいでいまだに汚染状況が予想できないのよ。

 クロノスで少数作ってる陸稲もカドミウムが原因で廃棄になったのもあるし。

 なおクレアを噛ませなかった理由であるが……。


「お……お米様……」


 うわごとのように繰り返す。

 するとクレアのつぶやきに感染した連中が「米ェ……」とゾンビ状態になる。

 要するにこのテンションが怖かったのである。

 ここにクレア噛ませたらどんなディストピアを構築するかわからない。

 俺の田んぼは商社が雇った銀河帝国の農家の方が管理してる。

 ゾーク戦争で土地を失った方々だ。

 農業指導員として雇った。

 商社と銀行に頼んだらすぐに見つけてくれた。

 恐るべし……。

 田んぼは米が黄金色に実っている。もう収穫間近だった。

 商社の人が農業指導員のリーダーを連れて来てくれた。


「皇帝陛下、ならびにレオ陛下。このたびは……」


 作業着姿のおっちゃんが無理して丁寧な挨拶をしようとした。


「よい。楽にせよ」


 嫁ちゃんは麦わら帽子姿で笑う。

 こういうところが嫁ちゃんのすごいところだろう。


「ねえねえ、おっちゃん。収穫できそう?」


「ためしに一枚収穫してみました。検査結果は出てませんが、重金属やカビも大丈夫じゃないかって話です」


「手前は水田。あっちはクロノス風の陸上栽培で帝国の品種を作ってるんだ」


 俺は奥を指さした。

 するとクレアが人間に戻る。


「どうして陸上栽培してるの?」


「実験かな? 結局、土の中の微生物とか藻も含めた水中の生物の関係があるから、栽培してみないとわからないんだよね。水田で未知の毒が発生するかもしれないし。だからクロノスの栽培法も試してるんだわ」


「へー……たいへんだねえ」


 パンでも茹でる方のご飯でも困らないメリッサは他人事だ。

 リコちもどうでもよさそうな顔してる。


「そこの興味なさそうな二人。来いよ。とっておきがある」


 実はこの場所は海の近くである。

 近くといっても潮風の影響がある距離じゃない。

 バスで海の方まで行く。

 なんかみんなもゾロゾロついてくる。

 今度は本当に海の近くの工場に着く。


「なんの工場?」


 クレアも興味津々だ。


「水産加工場なんだけどさ……ちょっとこれ食ってみ」


 さっきの農家のおっちゃんの嫁さんがプラスチックの容器を持ってくる。

 おっちゃんの嫁さんは水産加工場のボスである。

 その容器を見てクレアを始めとするお米様至上主義者たちが声を上げる。


「海苔の佃煮!」


 くっくっく……正確にはアサクサノリとかじゃなくてバクテリアの塊らしいんだけど、味は同じだ。

 危険性もないとのことだ。

 俺の勝ちである……。

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― 新着の感想 ―
そのままクーデターされてイソノを大公にすれば逃げられたのに…w
水耕栽培で何処でも安全に米を製造できそうな気がするのだが拘りなのか。 無性に米食いたくなるのはとてもわかる。辛子明太子うまぁ
安全が確認できなかったら暴動しそうだけど。
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