第五百三十五話
「クロノス軍進軍!」
さーて今回の作戦について説明するよ。
ラターニアであるが今回は欠席。
奴隷制が残ってる国だからね。
ただ奴隷制自体はほぼ滅亡してる。
使い捨てできる派遣社員や非正規社員の方が使いやすいよね~。
当然ではあるが子どもの売買は禁止されてる。
そんなことしてたら友好関係なんて築くわけがない。
ただ、ラターニア人が見つかったら協議をしてほしいと打診されてる。
いやさ、自分の子どもを売るような親もいるからね~。
子どものその後が一番大事だよねって話。
幸いラターニアは約束事にはうるさいが、少なくとも子どもを交渉材料にするほど愚かじゃない。
プローンだって子どもは救う余地を残してたし。
なのであくまで「話し合いしてね」って打診だ。
だけど奴隷制は今の政権でも触りたくないので表向きは作戦不参加とのことだ。
やはり大国ともなると面倒な話やタブーが大量に出てくるのである。
でだ。クロノスの一部になったマゼランは参加。
別に強制したわけではない。正義の側にいたいという願望があるのだろう。
クロノスのお隣さんである太極国は高確率で自分とこの国民がいるので参加。
帝国士官学校の座学を履修中のシーユンも今回実技枠で艦隊を指揮する。
プローン人の士官学校生はシーユンの補助で参加。
操船実習の単位になる。
鬼神国勢は喧嘩を見逃すはずがない。
喜んで参加。
「レオの兄貴! 行きますぜ!」
「喧嘩じゃ喧嘩じゃ♪」と大喜びしてる。
そりゃねー、今回の作戦はどう言い訳しても俺たちが正義なわけでな。
クロノスと銀河帝国の児童相談所と救急医療チームが待機。
でだ、作戦は人型戦闘機……って言いたいんだけど、子どもの救助が優先。
一番潜入任務向きの人材を……当然俺だ。
俺がバイクで大気圏突入してワンマンソルジャー……あ、一人で突っ込むな?
はい。みんなで向かいます。
ということでメリッサとクレアとエディ、それにレンで班分け。
俺が人質を奪還したら正面から乗り込む係。
嫁ちゃんやシーユンは戦艦とのタイマンバトルっと。
軍務卿のレイブンくんはクロノス艦隊の指揮。
副隊長以下が俺の近衛騎士として潜入任務に参加する。
まずはケビンのドローンで偵察。
ケビンは偵察隊の総指揮で医師チームの見習いも兼任してる。
過労大丈夫かな?
でも他に人材いないのよね。
ケビンは小型ミサイルに積んだ各種ドローンを大気圏に打ち込む。
そしたら惑星軌道上でミサイルを解体。
ドローンが惑星にばら撒かれる。
かなりの数のドローンが損傷するが、それは想定内。
惑星に侵入したら鳥に偽装したドローンで大まかな地形と建物を把握。
マップを作成し、今度はトンボに偽装したドローンでアジトを索敵。
そこまで来たらさらに小型になった蜘蛛型ドローンで侵入。
「レオ、人質発見」
「はいよ~」
俺は銀河帝国宇宙海兵隊名物バイクでの大気圏突入。
これさー、たしかにレーダーで捕捉するの難しいし、効果的な手段なんだけどさー。
兵士への人命軽視の極みだよね~。
たしかに事故少ないんだけどさ~。
鬼神国人ですら嫌がるもん。
ブツブツ不平不満を並べながら大気圏突入。
できてしまう自分が嫌である。
バイクで施設に接近。
相手が捕捉できない位置で停車。
徒歩で施設に入る。
中には海賊が大量にいた。
「……ッたくよ。なんだあのクロノス大公ってやつはよ。商売の邪魔ばかりしやがって」
数人が倉庫でブツブツ文句を言いながら荷物を運んでる。
運んでるのが臓器だったら裁判なしでその場でぶち殺してたところだった。
でも荷物には数字とラターニア文字で識別番号が振られてた。
ラターニアに画像を送ると『麻薬です』と回答があった。
麻薬ならしかたないよね~。
うーん麻薬ならしかたない……ってなるかー!
その場で燃やしてもいいが我慢。
代わりにマーカーをつけとく。
あとで押収して裁判の証拠になる。
それはいいんだけど通路をふさいでブツブツ文句言ってるアホが邪魔だ。
なんとか回避して……。
おっと通風口あるじゃん!
通風口から人質が囚われてる区画に侵入。
俺の近衛隊にはその場を制圧するように指示。
副隊長たちだけが俺についてくる。
「大丈夫? ついてこれる?」
「も、問題ありません」
ま、本人がいいって言うならいいか。
通風口から人質がいる区画に侵入。
ついでにクレアたちにも指示を出す。
「クレア、人質のいる区画に侵入したよん。海賊討伐お願い」
「了解」
わうわうわうわおーんと声がした。
レンと愉快な仲間たちが侵入したのだろう。
人質の区画は檻だらけで子どもたちが囚われてた。
うーん、こんなに子どもあつめてさー。
儲かるのかな?
そりゃ麻呂みたいな変態は一定数いるんだろう。
でも表に出せないような商売じゃ大規模な商売は無理だよね。
まだ危険地帯の運送業やった方が勝ち目がある。
それがわからないくらいのバカなのかな?
子どもたちの保護を近衛に命じて俺は端末を開けてコネクターを繋ぐ。
「妖精さん、やっちゃって」
「はーい」
中のデータをぶっこ抜いて俺は撤退を指示。
はーい、お子さんを運んでね~。
今回の子どもたちはケガ人は少なかった。
死にそうな子もいない。
よかったよかった……。
って思うじゃん。
「レオくん……覚悟して聞いてください。子どもたちは人体実験の材料にされてました」
ピキッとこめかみの血管が浮かび上がった。
「ルーちゃんですが……この施設から売られてあの姿になったようです」
「待って、古代遺跡じゃないの?」
「最近まで使ってたんですよ! あの施設の技術を復活させるプロジェクトだったんです!」
「ちょっと待って。想定より凶悪犯だった……クレア、聞いてた?」
血圧上がりすぎて脳の血管切れそう。
「うん! ぶち殺すね」
ドカドカドカと爆発音がしてる。
もう容赦なんかしねえ。
「全軍攻撃!」
もう容赦しねえ。
貧困の果てに売り払ったとか、借金のカタに取られたとか考えてた。
でも違う。
敵がやりたい放題してただけだ。
「嫁ちゃん」
「ああ、逃がさん」
海賊も襲撃を察したのか軍艦が飛び立っていく。
俺は例の木刀を抜いてドアを破壊しながら敵の前に出る。
「う、うわあああああああああああああッ! 大公が来たぞおおおおおおお!」
お、俺有名人?
海賊にまで顔を知られてる。
「ぬははははー! かかってこいやー!」
剣を振り回し海賊どもを成敗していく。
手足どころか鎖骨から肋骨までへし折りながらギリギリ殺さないようにしていく。
「じゅ、銃が当たらない!」
「見えねえ! どうやってこんなの倒せって言うんだよ!」
「俺は逃げへぶッ!」
俺はドアをぶち破り銃を持った連中をボコボコにしていく。
壁を突き破ってもの多数。
天井にめり込んだものも多数。
そして最奥の豪華そうな部屋でアホのボスを見つけた。
肉団子みたいなおっさんだ。
「て、てめえ! なめやが……ぎゃああああああああああ!」
手足を瞬時にへし折って、追撃でホームラン。
『ギリギリ死なないけど一生俺の悪夢を見続けろコンボ』がきまる。
お前がボールになるんだよ。なんて余裕は残さない。
取り調べと裁判のために口は残してやるが他はいらないよね?
「言え、バックは誰だ?」
「こ、ころしゃないで……」
「殺さないよ。お前はちゃんと裁判にかけて死刑にするんだからな」
「た、たしゅけ……」
「いいやダメだ。お前は死ぬ。だがバックを言えばそいつらもぶっ殺してやる」
野郎は涙を流して叫ぶが同情する気は起こらない。
「しゃべらないならここで殺すか」
俺はゆらりと木刀を構え……。
「ちょ! レオ様、やめ!」
俺は近衛兵に羽交い締めにされた。
メリッサも来たようだ。
するとメリッサは俺の顔を両手で挟む。
「落ち着いて隊長、ジェスターの能力が低くなってる。いい? ジェスターは希望を力に変換するんでしょ? 殺しちゃダメ!」
メリッサに言われてようやく理性が戻ってきた。
「そうか……俺は怒ってたのか」
「うん、隊長のそういうとこもカッコいいけどね!」
婚約者にそう言われちゃ、納めるしかない。
「ありがと。全員確保!」
俺が冷静になると嫁ちゃんから連絡が入る。
「全艦拿捕したぞ!」
さすが嫁ちゃんである。
どうやら俺は……彼女たちいないとだめな男のようである。




