表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
534/651

第五百三十四話

 さすがに怒ったぞい。

 まずは子どもたちを保護。

 輸送船で病院まで連れて行く。

 治療はケビンと衛生兵チームに任せる。

 帝都の大学病院に輸送しながら治療する。

 食糧はあまり与えていなかったようだ。

 栄養状態が悪い。

 体内にナノマシンも取り込んでない年齢の子ばかりだ。

 点滴で対応。

 さすがに俺は衛生兵までは網羅してない。

 俺とタチアナが使える長老から引き継いだ超能力が回復ってだけだ。

 だからまずは症状を見て、重傷の子は俺とタチアナの超能力で治療する。

 普通の医療でなんとかなる子はケビンにがんばってもらう。

 俺とタチアナの負担が大きすぎるからだ。

 具体的には内臓破裂で意識不明者が一人。これは俺が治療。

 これは暴行を受けたんだと思う。

 もう一人は骨がつぶれてた子がいた。

 おそらく車にひかれたんじゃないかな。

 これは俺の能力を借りて、元の能力よりも効果を高くできるタチアナ。

 治療は力を使い過ぎる。

 さすがに超能力なれした今なら、即脳死まではいかないけどさ。

 血圧上がるわ、心臓弱るわで一回やったら半日はドクターストップがかかる。


「ふひー。疲れた……」


 ジェスターでも攻撃力特化タイプなのでこれが限界。

 俺は怒れる嫁ちゃんの輸送艦にある控え室のソファーに横になる。

 まだ心臓がバクバク鳴っていた。

 タチアナは超能力特化タイプなので一度に何人も治療できる。

 それでも治療したら疲れてた。


「兄貴、スポーツドリンク持ってきたぞ」


「あざっす!」


 なんとか死なずにすんだが……。

 それでも予断を許さない状態だ。

 疲れまくってるケビンが必死に治療してる。

 あと30分ほどで大学病院につくはずだ。

 到着したら小型の垂直離着陸機でヘリポートに着陸し搬送する。

 これは専門のパイロットと衛生兵に任せる。

 免許は同じでも彼らの方が俺よりも上手だ。

 ケビンはそのまま大学病院で手伝い。

 医師免許持ってるだけのひよっこ……と言うには戦場での経験値が大きい。

 軍の看護師として戦場でバリバリ働いていた人間に医師免許が生えてきただけだ。

 おそらく現場の邪魔にはならないだろう。

 実際病院の事務長に「ああ、あの有名なケビン先生ですか!」と言われた。

 クロノスでかなり有名みたい。

 イナゴテロでの救助活動やってたしね。

 病院への搬送完了の通知が来るとみんなでため息をついた。

 神経がすり減った……。

 さすがに子どもはダメだろ。

 俺がため息をつくと海賊ギルドから連絡が入った。

 執務室で会談。

 大幹部が雁首揃えて縮こまってやがった。


「俺、言ったよな? 通行料取って護衛するのはちゃんと傭兵の会社作れ。売春は有史以来あるものだから根絶なんてできねえ。商品守ってちゃんと管理するなら表の商売にしてやる。ただしガキに手出したらぶち殺すぞって」


 傭兵として護衛するのなら適法だ。

 治安の悪い地域の貨物配送サービスだって必要なものだ。

 売春だって病気の防止とかの公衆衛生を肩代わりして、会計をクリーンにすればいい。

 そういう表の商売でやれとは言った。

 だがガキには手を出すなってキツく言ってある。

 勧誘するな。搾取するな。傷つけるなと言ってある。


「ガキは国の仕事だ。なあコラ、国のシマ荒らすんじゃねえぞ。荒らしやがったら戦争だぞテメエ!」


 あらかじめ、ちゃんと相手にも伝わるような言葉遣いで釘を刺してある。

 今の俺はバッティングセンターで「お前がボールな」レベルで気分が悪い。

 俺は執務室の机を蹴る。

 ドカッと音がして机がバラバラになった。

 うっわ、粗悪品!

 あ、蹴る用に入れたスチール机ッス。

 本命は蹴ると痛いから安い方で演出。


「誰がやりやがった!」


 俺は怒鳴り散らす。


「た、大変申し訳なく……その人身売買の廃業を嫌がって破門されたグループのようで」


「ほう……じゃあ軍を差し向けていいな? テメエらのとこも一切合切洗ってやんぞ!」


『どさくさ紛れに海賊ギルドの施設も攻撃しちゃうぴょん♪』という意味である。

 ただの脅しだ。もうカタギの商売もしてるのだ。

 だが、この手の連中になめられてはいけない。

 気合だ。

 気合で押し切る。

 論理破綻してようがかまわない。

 相手を殺すつもりで言葉をぶつける。


「どうすんだてめえら! おうコラ戦争か! てめえら戦争してぇのか!」


 ビクッと幹部一同が震えた。


「じ、自分らでやります!」


 よかった。

『破門したから知りません』って言ったら全力でぶっ潰してたところだわ。

 もう今回の出来事は報道されまくってる。

 市民にそっぽ向かれた犯罪組織が存続できるとでも?


「おう、生かして捕まえてこい。いや、場所教えろ。クロノスが直接殴り込む」


 口封じなんかさせねえぞ。


「我々が知ってる限りではこの辺をナワバリにしてました」


「よしわかった! 出撃する。すぐ用意しろ!」


 さーて新兵も含めて大軍で行こうっと。

 いいのいいの。旧クロノス軍の精鋭は置いてくから。

 今回は新兵や若い士官候補生の訓練だ。


「そ、それで……あの……我々は?」


 ギルド幹部どもが小さな声で聞いた。


「大人しくしてろ。絶対に手出すなよ」


 殺気を放っておく。

 指をボキボキ鳴らす。

 さあ狩りの時間だ。


「さーて今回の作戦は『クロノスのみなさんに実戦を経験させようのコーナー』です」


 と……ふざけたのにペンを握りつぶしてしまった。


「ごめんね。交換」


 俺以外の高官たちがみんな黙ってる。

 その迫力もあるが、どこに突撃するかはもうみんな知ってた。

 だってずっと報道されてるもの。

 いいのいいの。逃げても。

 宇宙の果てまで追い回すだけだから。

 今回は俺たちが絶対正義。

 兵士たちもやる気に満ちあふれている。


「はい。皆さん、がんばってクロノスを救いましょうね」


 俺がそう言うとクレアが補足説明をしてくれた。


「今回は敵アジトに子どもがいる可能性があります。人質の命を最優先でお願いします」


 このやる気に満ちた目。

 クロノス軍のボーナスステージである。

 そして嫁ちゃんは嫁ちゃんで自分の艦隊に指示を出す。


「今回の作戦はクロノス軍の補助じゃ。クロノス軍には間違って犯人を殺してもいいと確約を取った。自由にやれ」


 兵士たちも満面の笑み。

 それを見てため息をつくギルド幹部ども。


「なにか?」


「いえ、もう降参です」


 だろうね。

 ま、共同作戦にはちょうどいいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
たとえ便所に隠れても見つけ出してコ⬜︎してやる
絶対身内守るマンか゚、ジェット噴射でサンジョウ。
もう助からないぞ♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ