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第五百二十九話

 実験体ちゃんをクロノスに運んだ。

 約束したお散歩である。

 俺は約束を守る男である。

 実験体ちゃんはワンオーワンと仲良くなったようである。

 ワンオーワンとシーユン、それにタチアナと一緒に散歩する。

 あと公園内に社を作った座敷童ちゃんも一緒に散歩する。

 知らない間に座敷童ちゃんや後輩組と仲良くなったようだ。

 庭と言ってもクロノスの国立公園なのでかなり広い。

 実験体ちゃんは重量があるので俺が運転する車両で移動だ。

 ゴルフカートみたいなやつで荷台をつけたものだ。

 そこに実験体ちゃんの入った容器を固定して移動。

 自転車よりもゆっくりくらいのスピードで公園をぐるっと一周する。


「寒くなってきたのであります!」


 ゾークの女王であるワンオーワンが喜ぶ。

 んー、なんか最近、三人と妖精さんでなにか企んでるんだよね。

 怖いよねー。

 この四人だとなにが起きるか予想ができない。

 自然を見ながらゆっくり走っていく。


「なー、レオの兄貴。アタシたちがなにやってるか聞かねえんだな」


「……ふ、結果の予想ができないから怖くて聞けない」


「そっちかよ!」


 だって怖いんだもん。

 聞いたら終わり感がある。

 だってやろうと思えば銀河帝国を滅ぼせる妖精さん。

 やろうと思えばラターニアとクロノスを滅ぼせる聖女タチアナ。

 やろうと思えば数多の国を滅ぼせるワンオーワン。

 やろうと思えば近隣国巻き込んで滅亡からの銀河の大混乱を起こせる大国の皇帝シーユン。

 そしてたぶん神様、いちばんなにするかわからない座敷童ちゃん。

 年少組……もう年少でもないか。

 後輩組と妖精さん、それに座敷童ちゃんはマップ兵器レベルの攻撃力なのだ。

 みんな彼女らの評価を低くしすぎてる。

 本当に世界を滅ぼせる存在なのだ。

 聞いたら終わりの怪異よ!


「じゃあ言うわ」


「やめろ聞きたくない」


「あのよー。ルーの体作ってんだよ」


 やめろー!

 ……ってルー?


「ルー?」


 するとタチアナが実験体ちゃんを指さす。

 実験体ちゃんは容器の中でシュタッと触手をあげた。


「ルー」


「名前つけたん?」


「うん、ルーと決めた。ルイーザのルー」


「えっと妖精さん、市民登録」


「もうしました」


「後見人は?」


「私ですよ」


 最強の後見人である。


「続柄は?」


 さすがに娘ってことはないだろうけど。

 ただ後見しただけかな?


「妹にしましたが?」


 やっぱり思いっきり家族にしてた。

 嫁ちゃんもそうなんだけど、妖精さんの系統は義理堅いのだ。

 この場合の義理ってのは……俺か。


「嫁ちゃんがプロパガンダに使い倒してる悲劇の皇女ルナ。その妹、最強すぎる……」


「細けえことはいいんですよ」


 たしかに。

 細かいことを考えるのはやめよう。

 というか嫁ちゃんに丸投げしよう。

 たぶん嫁ちゃんは信頼してるレイモンドさんあたりに投げるだろう。

 レイモンドさん……ごめん。


「それで~、なに企んでのよ。体作るって? だって機械で作るの失敗したでしょ?」


 プロトタイプは機械で作ったらしい。

 だけどシミュレーションの結果、10年以上の寿命を確保できなかったため凍結。

 どうしても機械の体はストレスが大きいようだ。


「いまはゾークテクノロジーがありますし」


 そうなのだ。

 我が帝国の変態気味の医学が、ゾークのテクノロジーで飛躍的に進歩したのだ。

 だって、ゾーク戦争からの二年で人間をゾーク化して失った手足を再生する技術まで誕生したのだ。

 いままでのナノマシンによる修復だとリハビリに時間がかかっていたが、ゾーク化による再生は完全に同じものを作り直せる。

 リハビリ不要である。

 それだけじゃなくて先天性の障害のいくつかもゾーク化で治療可能である。

 もはや意味わかんない。

 カトリ先生の目も治せるみたいだけど、本人が嫌がってる。

 ぷぷー! 怖いんだ!

 でも気持ちはわかる。

 まだ研究段階の技術だからね~。

 認可まではクソ面倒な手続きを経なければならないのだ。

 それなのに最前線は体丸ごと作り直すところまで来てる……。

 すげえ……。


「永遠の命……?」


「いや現状でもデータ化すればできますし」


 そうか。冷静に考えたら妖精さんは不老不死の存在か。

 妖精さんはむしろ老いと自然な死を望んでる。


「肉体がないとできないことが多いんですよ。レオくんの料理食べるとか」


「なるほど」


 なんか納得した。


「とはいえ、私は世界への責任が多い身なんで。まずは私のコピーにやってもらおうかと」


「コピー……ってアマダのとこの」


 アマダの個人秘書と化してる妖精さんのコピーだ。


「ええ、アマダくんもそろそろ身を固めてもらわないといけませんし」


「……お、おう」


 俺は思考を放棄することにした。

 よかったなアマダ!

 ということで宮殿に帰って計画を見る。

 生命倫理に関することなのでシーユンも一緒に書類を見る。

 銀河帝国でやるとしてもオーバーテクノロジーの極みみたいなものだ。

 不老不死欲しさに銀河帝国を目指す年寄りの群れみたいな地獄も考えられる。

 まだ長期的な影響がわからないのに銀河帝国に押し寄せかねない。


「シーユンどう思う?」


「危険ではありますが……魅力的な技術です。それで……成功率は」


「そこは嫁ちゃんに……嫁ちゃん大丈夫?」


「おう、こちらも国内の調整終わったぞ。不老不死はなし。クローンの代替措置として認可する方向で行こうと思う」


 まー、後にとんでもないことになるのが予想されるけどね。

 それでも踏まないとならない技術だと思うんだよね。

 ダイナマイトや飛行機、原子力とか同じでね。

 どうせ別の勢力が踏むだけだし。

 それにおそらく……ゼン神族は似たような技術持ってるはず。

 それが問題なんだけどね。

 ラターニアも医療技術としてはありという方向で話を通した。

 そもそも銀河帝国の国内で内緒でやっちゃえばいいだけなのだが、わざわざ話を通したのだ。

 要するに「みんな共犯者だヨ」という意味である。

 イナゴを見ればわかるように、対抗する手段はあれど敵のテクノロジーは自分たちより上だ。

 僅差であっても負けるわけにはいかない。

 ゼン神族がビビリ散らかしてるうちにテクノロジーで追いつきたい。

 それは各国も同じだった。

 その最初の一手が体の作り直しだ。

 こうして実験、当日がやって来たのだった。

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― 新着の感想 ―
予想通り友達かいw
座敷童子ちゃん居るから成功率は因果率操作レベルで上振れの成功だろうなぁ 極秘で真似して逆に肉塊になるヤツ
>ゼン神族は似たような技術持ってるはず ちなみにこれ系の技術って某コズミック害鳥のまんがみたいな教科書で教育が行き届いていないと絶対ろくでもないことになるわけだけど、ろくでもないことになってるんやろう…
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