第五百二十四話
「リコち、気をつけろ。パルスライフルの効果が低い!」
エディくんからの通信が来た。
アンドロイド、たしかにアンドロイドだ。
引き裂いた胴体に臓器はない。
人間の部分がない。やはり人間じゃない。
機械化されたサイボーグ手術は肉体強化目的で行うのは良くないとされる。
一定よりも機械化した場合、手足くらいならいいけど臓器を入れ替えた場合、どうしても寿命が短くなる。
免疫の低下に突然死。
機械科した部位が多ければ多いほど寿命は短くなる。
これは逃れられない運命だ。
だからゾークは人間を機械化するんじゃなくて生体パーツを変化させることを望んだ。
そして……ゼン神族は人型ドローンを作った。
人型ドローン自体は昔から存在するが戦闘用としてはあまり役に立たない。
結局、用途別に専用ドローンと人間のオペレーターを用意した方が効率がいい。
私はアンドロイドの顔をつかむ。
「なめやがって!」
そう言って顔を握りつぶす。
「リコ親分パネェッ!」
「惚れる!」
「リコ様すげえ!」
なぜかサカザキ近衛騎士団の鬼神国人の女子が黄色い声を出した。
なぜだ……なぜ女子にばかりモテるのだろうか?
鬼神国人の男子どもは「ゴクリ……」とか「さすがリコ様……」とか「あれ本当に人か?」と引いてる。
銀河帝国から連れてきた家臣の男どもはというと「まあリコ様だし」「さすっがリコ様」「これこ武人の鑑」とこれまた望んだのと違う明後日の方向で感心してる。
なお銀河帝国の家臣女子は「リコちゃんカッコイイ!」と喜んでる。
すでに私はちゃん付けである。
でもいいや。私も貴族の威厳とかわからないし。
アンドロイドの群れが襲いかかってくる。
顎を殴って部品が外れたらプラズマグレネードを口にねじ込む。
そのまま股に手を差し込んで持ち上げて肩に担ぐ。
そしたら一気に放り投げる。
よし、やって来た群れにぶち当たった。
次の瞬間、グレネードが爆発。
爆風の中を指をパキパキ鳴らしながら進む。
粉塵の中から半分壊れかけたアンドロイドが襲いかかってくる。
私はアンドロイドを裏拳でなぎ払った。
足にまとわりつく下半身のないアンドロイドを踏み潰す。
なるほど鬱陶しい。
近衛騎士の鬼神国人も冷静に対処する。
拳より金棒などの鈍器の方が効果があるようだ。
ま、私は拳でいいけど。
アンドロイドが突如として目の前に現われた。
つかもうとしてきたので、手を跳ね上げ胴体に中腰で肘打ち。
バランスを崩したところを横から腕で足をすくう。変形サイドタックル。
後頭部から床に叩きつけてやって頭部を踏み潰す。
後ろから数体が飛びかかってきた。
そんなのわかってた。
一体の首をつかんで、そいつでもう一体をぶん殴る。
そのままつかんでた一体の首の配線ごと首を握る潰す。
また動く、しかたない。床に叩きつけ破壊。
殴られた一体が私の様子をうかがってた。
「かかって来な」
私は手招きするとアンドロイドが襲いかかってくる。
襲いかかってきたアンドロイドの腹を上に蹴る。
アンドロイドは天井に突き刺さった。
「お、男らしすぎる」
なぜか男どもが目を輝かせる。
いや女だし。
「野郎ども! リコ様の元で漢を学べ!」
「いや女だし!」
「サカザキ近衛騎士団の漢を見せろ!」
「聞けテメエら!」
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
なぜか男子どもがアンドロイドに肉弾戦を挑む。
いや、私は室内だからミニガンとウルミ使わないだけなのだが。
あるものはハンマーでぶん殴り、あるものは拳で挑む。
ヘルメットのシールドにヒビが入っても殴り合う。
いや私のはパワーアシストあるんだが。
無理して殴り合わなくていいって。
「漢ならステゴロだ!」
「やめろ」
私の制止などもう関係ない。
そこはもはや戦場ではなかった。
帝国民、鬼神国民関係なく漢を見せる神聖な儀式の場だった。
どうしてこうなった!?
ねえ、私のなにが悪かったの!?
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
過剰に勇敢になった男子どもがアンドロイドと肉弾戦を繰り広げる。
あるものは実家に伝わる一子相伝の秘技を使い、あるものは戦闘の中で新必殺技を編み出す。
「あ、あれは鬼神国古代王家に伝わったとされる必殺技!?」
「し、知ってるのか、お前!?」
などと盛り上がってる。
女子はそれを見て「男子ってバカよね~」って笑ってた。
そんな女子たちも普通に散弾銃や実弾兵器でアンドロイドを倒していく。
うちの近衛騎士団……戦闘狂ばかりかな?
アンドロイドを蹴散らしていくとエディくんたちが見えてきた。
「助けに来たぞ!」
私がそう言うとエディくんが叫んだ。
「この短時間でなにがあった!?」
わからない。
古代王朝から伝わる超必殺技を繰り出す子でしょ。
一子相伝の暗殺拳でしょ。
戦いの中で編み出した新必殺技でしょ。
大丈夫、それらにちゃんと疑問持ってるから。
エディくんの隊は戦闘服がボロボロだった。
ですよね~。そうなるよね。
対してうちの近衛騎士、特に男子どもは自分から戦闘服脱いだおバカばかりだった。
血まみれだけどその顔は満足げ。
お前ら除染するまで船に乗せねえからな。
あとで説教もするからな。
「ふふ……この血は漢を目指すものの勲章だ!」
やかましいわ!
さらにアンドロイドの集団が来るが、圧倒的戦力でボコボコにしていく。
「こ、これが……レオ・カミシロの処刑人部隊……」
「か、格が違う……」
格じゃないって、ただ変態なだけだって。
オラそこ!
なんかやたら力強いフォントで『漢』って書かれた旗振るな!
私はそんなの知らねえぞ!
こうしてアンドロイド部隊は我々の活躍で壊滅したのである。
なお、このときのエディくんは表情は『無』。
安心して……隊長の私だって意味わかんないから。
リコ・サカザキ。
最近婚期が遙か遠くにあるような気がしてきた。
なにも悪いことしてないのに。
私自身に問題はないはずなのに!
助けてレオくん!
私は結婚したいのに~!
あ、エディくん。だれか紹介して。
なんで無言なの!?
なんで笑ってごまかしてるの!?
ねえ、なんで!?
私は困惑するのだった。




