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第五百二十三話

 明らかに班分け失敗したような気がするが作業再開。

 水を抜いたので門から遺跡の中に入る。

 同時に別ルートの開拓はエディ隊や他の部隊がする。

 俺たちは正面突破である。

 中は黒い壁が脈打っていた。


「禍々しい壁だな……なんか怖いな……」


 俺がつぶやくとイソノが応える。


「皆殺し兵器作ってる場所がピンクの花柄タイルとかだったらもっと怖いだろうが」


 そりゃそうか。

 たしかに暗い陰謀を重ねる悪魔の施設が花柄タイルのファンシーな場所だったらサイコすぎて怖い。

 納得してるとイソノがさらに続ける。


「お前も食べ物のことしか頭にない大公に蹴散らされる敵国のことを少しは考えろ!」


「だってお腹空くんだもん!」


 今日も俺は腹ぺこである。

 中を進む。

 巨大なプールに汚染された水が注がれ続けている。

 あ、そういうことか。


「この惑星をひたすら汚染しまくってイナゴを自然発生させたわけだ」


 俺はあまりの雑な悪意に感心する。

 こんなの生まれながらの金持ちの発想である。

 俺程度の金銭感覚では思いつかない・

 俺ならラボで安全に作る。

 いや……イナゴ自体作らなかっただろう。

 俺だったら計画案が出た瞬間に却下する。

 だってインフラ完全破壊なんて経済効率が悪すぎるもの。

 現地人には未来永劫恨まれ、インフラは作り直し、テロの脅威に怯えながらの惑星支配。

 アホか。

 俺が苦い顔してるとイソノが聞いてくる。


「なあレオ、イナゴがカビへの耐性を獲得したらどうするつもりだったんだ?」


「たぶん耐性を獲得しないように遺伝子の変異が起きないようにしてるんじゃないかな?」


 そこまでしてもコントロールできないんだけどね!

 ジェスターが増えたのと同じで!

 あ、そういうことか。


「敵は……ゼン神族は他の生物をなめ腐ってるんだ」


「は?」


「いやさ、ゾークが人類への理解が薄いのって帝国にビビリ散らかしてた裏返しだったわけじゃん。でもゼン神族は全力でなめ腐ってるってわけよ。自分たちを超越者だと信じてる」


「それをビビらせてるジェスターってのはどういう存在だよ」


「そうだな……そもそも仕組みは解明されてないが因果律を曲げてくる……最適解を選んでるだけ説でも常に正解カード引いてくる存在……あ、そうか。生物の本能として繁殖するんだ。そりゃ野に放ったら因果律曲げてでも繁殖するようになるわけか。バカだねー。計画が最初から間違ってるんだわ。繁殖は必然だわ」


「え、やだ、なにそれ怖い。つまりいまここでお前を殺さないと、いずれ宇宙はジェスターで埋め尽くされるわけぇ?」


「もう遅いんだな~。すでに帝国民の1割はジェスターの血を引いてるんだよね~。ジェスターに覚醒してるのはほとんどいないけどね」


 そりゃさー、芸人気質の明るい三枚目で、肉体が頑丈で死ににくく、コミュ強が多くて、常時発動するバフでいるだけで群れに貢献できるんだから子孫残しやすいよね。

 RPGだったら低火力なクソ能力の極みなんだけど!

 SLG、それも戦略級より上の内政まで含めた国家運営クラスだと化けるやつ。

 いるだけで群れが反映するもん。

 カミシロ家初代のころの皇帝すら落として貴族になったわけで。

 こと人という動物の進化特性って考えたら異常なほど強いんだわ。

 人類の歴史的にも覇権国家はコミュ強だし。


「やだ怖い!」


 イソノには言わなかったけど、たぶんイソノや中島、あと末松さんあたりはジェスターの血を引いてると思うよ。

 っていうか、士官学校の連中はほとんどジェスターの子孫じゃないかな?

 メリッサとかリコちとかは確実にジェスターの子孫だと思う。

 そうじゃなかったらゾークが真っ先に潰しに来なかったわけでさ。

 ……だんだんわかってきたぞ。

 そりゃゾークからしたら「はわわ……ジェスターの子孫がたくさんいる……殺さなきゃ!」ってあわててやってきたわけで。

 うーん、この世界の秘密がわかってきたぞ。


「ま、要するに俺たちがこっちの銀河に来たのは運命だったってわけよ」


「お前が原因じゃないってことぉ」


「当たり前だろ。俺一人でこうなるはずがない」


 おかしいと思ってたんだ!

 こっちの銀河に来たら芸人気質の人が異常に少ないのよ!

 サリアと鬼神国大王くらいじゃないかな?

 ……ただのヤンキー気質か。


「なあレオ。もしかしてこの惑星の連中って……」


「この研究施設の職員の子孫か施設を埋めた職人の子孫だろうな」


「そこまでやって今さらイナゴ獲りに来るとか外道すぎるだろ!」


「それな」


 本当に最低である。

 太極国のときも酷かったけど、こっちはもう言い訳すらできないレベルだ。

 幸いなのは現在の被害者たちが事実を知らないことだろうか。

 嫌な気持ちを切りかえて中を進む。

 すると生物の標本が飾られてる部屋に到着した。

 培養液で満たされた円形水槽に人くらいの大きさの異形の生物が入ってるやつ。

 猿みたいな姿で毛がなくてムキムキで爪が大きいやつ。

 もう嫌な予感しかしない。


「レオ……ゲームで死ぬほど見た光景だな」


「ですよねー!」


 するとケビンから通信が入る。


「なにかの装置が起動。トラップ発動したかも!」


「どう考えてもこの部屋じゃん!」


 標本と目が合った。

 思いっきり起きてますよね?


「やあ、レオだよ!」


 ご挨拶。

 すると培養装置のガラスを破って猿が現われた。

 剣を抜く前にぶん殴る。


「ふが!」


 殴ったら猿が片目をつぶった。

 その隙にパルスライフルの引き金を引く。

 クロノス公国近衛騎士団もライフルで一斉射撃。

 イソノの野郎は一瞬遅れた。

 別の猿の爪の一撃が迫る。

 なんとかライフルでガードする。


「ざっけんな、オラァ!」


 両手で防御してたライフルから片手を離した。

 瞬時にナイフを抜き脇腹に突き刺す。

 そのままライフルの銃床でぶん殴る。

 猿が動きを止めたところを蜂の巣にした。

 イソノの護衛隊も猿と交戦していた。

 そこら中の水槽から猿が出てきていたのだ。

 あちこちから通信が入る。


「こちらリコ隊、モンスターと交戦中!」


「メリッサ隊だよ! こっちもモンスターと交戦!」


「こちらクレア! モンスターと交戦!」


 こりゃ困ったぞと思ったら、視界の端にクモの大群が見えた。

 援軍だ。


「こちらケビン! 爆破する!」


 バンッと猿の首元が爆発していく。

 ケビンの自爆ドローンだ。


「ふう……なんとかなったか……イソノ生きてるか?」


「なんとかな。ケビンだけは敵に回したくないぜ」


 あれで本業医者なんだからな……。

 能力高すぎるだろ。

 なんて一息つこうと思ったところにエディから通信が入る。


「こちらエディ、エッジ隊とアンドロイド兵と交戦中! パルスライフルじゃ効果が低い! 援軍寄こせ!」


 ……全力で抵抗してきたようである。

 なんなの、この施設!

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― 新着の感想 ―
元々の正史(ゲーム)でカワゴンもといレオって始まる前に死んでたわけだけど… 現実世界のレオはそのジェスターの力で何かわからん意識ってか魂を呼び込んだのかねぇ けど元々カワゴンなんだよなぁ なんで死んじ…
脈打つ黒い壁… 生物を生きたまま封印した『生け贄の壁』とか? 皆殺し兵器… マッドサイエンティストの研究室が甘ロリなカーテンとかファンシーなピンクの花柄タイルだったら逆に怖いかも。(培養液に満たされ…
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