第五百二十話
もうね、バカのせいで汚染された惑星に滞在するはめになった。
毎日、お薬を服用。
ナノマシンで毒を排出しやすくする薬ね。
それと注射も毎日。
これも汚染物質の除去マシンである。
水は簡易浄水場を設置する。
飲み水は空輸されたミネラルウォーターだ。
これは現地人にも配布される。
食べ物も汚染されてるか検査するためサンプルが必要だ。
とりあえず食料庫を開けて……アホが!
マゼランの抵抗勢力くんさ……自分たちの食糧まで置くのやめてくれない!
これじゃわかんねえだろが!
とりあえず分けられる物は分けて回収。
でもこれじゃマゼラン人が汚染を持ってきたのか、ここの食べ物が汚染されてるから外から来た連中も汚染されたかわからない。
なんでマゼラン人っていいかげんなのかな!
で、現地人の食糧というかまだ収穫してない作物はサンプル以外廃棄する予定だ。
ただ上から目線で廃棄しろって言うと抵抗されるのはわかってる。
なので商取引ということにする。
食糧と交換で収穫前の作物を受け取る。
持ちかえって検証して本当にダメなやつは廃棄。
大丈夫なやつを増やして、インフラ工事の労働と引き替えで苗を渡せばいいだろう。
無理にでも取引の体裁を整える。これとても重要。
これからずっと取引するんだからね。
頭のいい詐欺師にだまされないように教育もしないとね。
これは銀河帝国が未開の集落になっちゃった惑星を支援するときのマニュアルに沿ってる。
搾取すると最終的に数百年規模でもめまくる。
頭悪くて暴力だけ上手なテロリストにクラスチェンジされても困るのだ。
これは経験からわかってる。
とにかく段階踏んで育てなければならない。
なにがなんでも話し合いを教え込む予定だ。
それはレンの役割になりそうだ。
レンは嫌そうな顔してる。
「なんで私が……」
「そりゃ女王様だから」
「やだー! メイドの方がいい!」
レンは「私有能ですけど」って顔してるけど、基本的に怠惰だ。
狙撃手の上級資格持ってるのに資格隠して整備係やってたくらいに怠惰だ。
本人は「公爵家の意向でした」って言い張ってるけど、単に訓練が嫌だっただけだ。
そんなレンは「狩りならしますけど~メイドの方がいいです」と言い張ってる。
そもそもビースト種の大王だって心の底から嫌がってた。
「あとでマルマくんにバトンタッチするから」と説得してようやく納得したほどだ。
しかもメイドさんとしても有能で、嫁ちゃんの世話までこなせる。
というかすでに女官の上級管理資格まで取得した。
嫁ちゃんも「レンがいないと困るのう」と言ってるほどだ。
将来的に女官長どころか侍従長就任まで期待されてる。
「俺だってクロノスの王様になったし……もう……あきらめちゃお?」
「ヤダー!」
手足バタバタさせて抵抗する。
レンは俺と二人だけのときは結構甘えてくる。
かわいい。
「ねえレオくん、レンちゃん……」
ケビンがテントに入ってくるとレンはシャキッとした。
レン、そういうとこだぞ~。
「この惑星もマルマくんに継がせちゃえば?」
俺がそう言うとレンはこくんとうなずいた。
「あ、ごめん。邪魔しちゃった」
ごまかすようにケビンが笑った。
「いんや、この惑星どうするかって話してたんよ~」
「あ、その話なんだけど、これ見て」
地中の非破壊検査の結果だ。
「ここに埋まってる……おそらく遺跡から汚染物質が出てるみたい」
「あー……それって汚染物質が出るからとりあえず埋めたってこと?」
「その発想はなかったよ!」
ケビンは人間に悪意に疎い。
お嬢さまってわけじゃないんだけど、周りの環境が良かったようだ。
コロニーの治安の差が酷すぎる……。
「人間は相変わらずバカですね……」
レンはビースト種で悪意にさらされ続けてるので、この辺はスレてる。
なお俺はというと……惑星カミシロのおっちゃんたちなら汚染物質垂れ流す遺跡が見つかったら迷わず埋めてなかったことにするだろう。
そういうタイプの村なのである。
悪気はないんだけどね!
悪い人たちじゃないんだけどね!
ある意味安定しまくってる環境だからイレギュラーが起こると最悪の選択をしがちなのよ!
役立たずの当主と長男で勝算なしで出撃したりとかね。
都会になったいまなら……もうちょっと良くなってると思いたい。
次男のサム兄ならイレギュラーにも強いし。
なんだかんだで住民まとめて避難誘導してたサム兄は有事の際も極めて有能だったわけである。
サム兄……恐ろしい子。
嫌になったらクロノス大公押しつけようかな?
たぶん俺の知り合いの中でも内政力カンストのユニットだぞ……あいつ。
ま、いいや妄想終わり。お仕事お仕事。
「それで、遺跡をどうやって止めるの」
「とりあえず化学戦部隊が掘るって。重機空輸するから明日まで待ってって」
「七日後にオーゼンが来るのにぃ?」
「そこはオーゼン語できるレオがなんとかしてよ」
できるけどさー!
クロノス語の方言みたいなもんだからできるけどさー。
また上さまするの~?
するとケビンが何かを取りだした。
「はい、マゼランの伝統衣装」
ほう……。
片乳出した鋲がついた革服に棘肩パッド。
それと角のついたヘルメット。
「鬼神国よりも露出が多い!」
嘘だろ!
これで鬼神国人を蛮族扱いしてたんだぜ!
いまでは鬼神国人はみんなセルバンテスのジャージとパーカーだぞ!
宇宙港とか『銀河帝国かな?』って思うもん。
「はい装飾品の鎖」
ためしに軍服の上から着てみる。
「あら、お似合いですね」
急所を突くと人間が爆発しそうな見た目である。
三国志で出落ちしそうな見た目でも可。
「今回はボクも行くよ」
「おっぱいは出すなよ」
ケビンに無言で蹴られた。
これはアレだな。
目に悪役っぽいアイシャドウしろってことだな。
「グハハハハハハハハ!」
とりあえず悪役笑いの練習。
低い声で笑う。
それを見てレンの腹筋が崩壊。
ケビンも腹筋崩壊した。
「な、何事です!」
飛び込んできたレイブンくんと現隊長も腹筋崩壊。
お前ら……一子相伝の暗殺拳出すぞ!
あちゃー!
なお次にやって来た男子組とメリッサは俺を指さしてゲラ笑い。
ムカついたのでイソノと中島は俺と同じ格好な!




