第五百十五話
オーゼン側が一方的に通信を切って会議終了。
なんであんなに沸点が低いのか。
呪われた血とか言ってたけど、ジェスターに対する自認が養殖場から逃げ出したザリガニなのに。
なにを今さら……。
罵倒されてもダメージゼロである。
俺は名門貴族(笑)の三男だぞ。
そもそもカミシロ侯爵家自体が『お笑い芸人に惑星統治させて滅びる様を見て笑う』ためだけの存在だ。
悪趣味すぎるだろ。
……そう考えるとご先祖様って偉大だったんだな。
どう考えても無理ゲーを突破したんだもんね。
俺だって妖精さんのバックアップと国のバックアップでなんとか君主ができてる状態だ。
……ご先祖様化け物かな?
なのでオーゼンになにを言われようがどうでもいい。
こちとら由緒正しいニセ貴族じゃい!
オーゼンではあるが、呼びかけに応えなくなった。
そんなに外と交流がある国じゃないようだしな。
ここがイナゴまみれじゃなきゃ問題ないわな~。
ギリギリまで放置しようと思う。
さて、うれしいニュースだ。
同じくやべえ国家であったプローンであるが、銀河帝国士官学校での学生論文コンテストで優秀賞を取ったようだ。
偉い!
あとでプレゼント贈ろう。
プローンと和解するってほどじゃないけど、上司としては認めてくれたようだし。
俺たちにはプロパガンダを教え込むみたいな悪意はない。
ただ自分たちの価値観や当時の状態を理解できる人材を育成したい。
その結果が優秀に育ったプローンに銀河帝国がボコボコにされるんでもかまわない。
その頃にはプローンは俺たちとある程度価値観を共有する存在に育ってる。
皆殺しにはならないと思う。
いや、戦争の前にに話し合いで解決できるだろうね。
経済的にも結びつきが強くなってて滅ぼすより共生した方がいいよねって感じになればいい。
それが理想だ。
ま、俺たちの子孫が無能ならどうなるかわからんけどね。
それは子孫への試練ってやつさ。
子孫たちに安全な世界を残すのも重要だけど、試練がなきゃ成長できない。
人は怠惰な生き物なのだ。
安全なところで生きてきた銀河帝国上層部の堕落っぷりが証明してる。
そりゃ俺がいなくても勇者エッジがゾークマザーを倒した。
帝国の滅亡だってなかったかもしれない。
それでも死ぬような目にあいまくった俺ルートが現状一番マシな未来だ。
アリッサも生きてる。エッジの望んだ未来でもある。
とにかく安全と試練をバランスよく残していこうと思う。
さて今日はカウントワンツースリーマゼラン一号店の開業パーティーだ。
「いつもパーティーしてやがんな、このクズ」って思うかもしれんけど、これが仕事なのね。
カウントワンツースリーの大株主だし。
それに銀河帝国とクロノス公国の外務省も資金を入れてる。
これは外交なのよ。
なんでパーティーに行く。
前日からマゼラン入り。
ホテルに宿泊。……すらできんかった。
まだまともに営業できるホテルがないんだって。
正確に言うとビジネスマンが宿泊する、コンテナを改造した簡易宿泊所はある。
俺たちはそこに泊まるわけにはいかない。
さすがのクレアでもインフラが先なのである。
宇宙港に停泊した嫁ちゃんの戦艦に宿泊。
道路も割れて可哀想な状態に。
「元からですよ」
マゼランの外交官が笑って教えてくれた。
目だけ笑ってない。
「え?」
「元からこの状態です。バカな汚職官僚と政治家のせいでこの状態です」
怒り心頭といった様子である。
やだ怖い。
マゼランやオーゼンを見ると鬼神国って民度高いよなって思う。
サリアなら「はーいインフラですねえ。いいですよね公共事業。官がやれば実質タダ!」って喜んでやるもんね。
高級車で向かう……と言いたいとこだけどバスで向かう。
ただクレアと護衛だけはオープンカー。
「恥ずかしい!」
これは我らのさだめじゃ……。
軍の礼服でオープンカーに乗って手を振る。
フルアーマーリコちも後ろに乗ってる。
完全に独裁者スタイルだ。
面白いから撮影しとこ。
沿道には市民が手持ちの旗振ってる。
嫁ちゃんもバス。
嫁ちゃんに聞いたら「みんながいるバスの方がいいのじゃ」だって。
良い嫁もらったな~。
カウントワンツースリー前でみんなで撮影。
くす玉割ってテープを切って万歳三唱。
クレアはメディアのインタビューに答える。
今度は着替えてスーツでメディア対応。
俺と嫁ちゃんも一緒に答える。
するとメディアのツッコミの洗礼を受ける。
「クロノス大公陛下。マゼランを征服した気分はどうですか?」
嫌味ね。
だから言ってやった。
「我が国は当初から救助と援助の話しかしておりません。それを断ったのは前首相と内閣。併合を希望したのは県知事や市長です。なにもかも我らのコントロール下にありませんので。ただ、早急な立て直しと被害者の方々のご冥福をお祈りします」
知らん。だって征服したわけじゃないし。
「クロノス大公! だったらなんで俺たちはこんなことになったんだよ!」
「テロ側についたからでは?」
「許さねえ!」
怒鳴ったところで記者は警備に排除された。
「許さないと言われても我々は犯人じゃありません。そこだけは間違えないでください」
これしか言えない。
すると嫁ちゃんがマイクを奪った。
「あまりに侮辱が目に余るようなら我が国とクロノス公国は手を引く。立場を考えよという意味ではない。我らに敬意を持てと言ってるだけじゃ」
さすがパン派!
米派の俺らが言えないことを言ってくれたぜ!
カミシロ一門の嫁ちゃんへの忠誠心が上がった。
結局メディアは沈黙。
別に脅してるわけじゃない。
俺たちを悪者にするのならつき合わないって言ってるだけだ。
それくらいの自由は許されてもいいよね。
オーゼンの領土になってもいい。
そのときは戦争になるだけだ。
オーゼンがゼン神族に支配されてる以上、戦争は避けられないだろう。
俺は話し合ってもいいと思うんだけどね。
そのときにマゼランがいるとオーゼンが有利になるかと言えば……そうでもない。
イナゴで破壊しすぎたのだ。
パーシオンが助太刀しても同じだろう。
俺たちはマゼランを助けても助けなくてもいい。
今回は助ける選択をしたが見捨ててもいい。
希望する地方をクロノスに併合して終わりだ。
あんまり無茶を言うなら地方すら見捨ててもいい。
その現実はマゼランの官僚には伝えてある。
あとは知らない。
で、俺がなにを言いたいかって?
うん……あのね、レンがさっきから冷たく笑ってるのよ。
俺ももう知らねえぞ……。
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