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第五百十二話

 いま我々は恐ろしいことを……。

 最後の手段に手をかけてる。

 これは劇薬だ。

 本当なら避けたかった。

 だが……。

 俺は深刻な顔をして言った。


「クレア……マゼラン自治区首長になってくれ」


 クレアはうれしそうな顔をしてる。

 マゼランは完全にクロノスにならずに自治区とすることにした。

 そこの首長にクレアを任命したのだ。

 はっきり言うが婚約者だからじゃない。

 カミシロ隊の『農』のスペシャリストにして実績積みまくってる人材だからだ。

 ただしその生真面目さか……その……明るいディストピアを構築してしまうクセがある。

 いや……誰も不幸になってないんだけど……。

 農業惑星の統治に関しては最強なんだけど……。

 そのくらいじゃないとマゼランの統治は無理か。うん。

 というわけでやる気に満ちあふれたクレア様に統治を任せる。

 お米を作ってる惑星だしね。

 そうお米……お米の生産地。


「クレア……やりすぎないでね……」


「当たり前でしょ」


 というわけで一つ解決。

 次は話が通じない界隈の処理だ。

 と言っても簡単だ。放置。

 助けないし商売もしないことにする。

 マゼランは好きなようにすればいい。

 ここでさらに多くの地域が離反。

 クロノスの子になることになった。

 ありゃま工業地域まで……。

 工業地域は俺が……。


「男子で管理するわ」


 イソノに言われた。


「俺は何をすればいい!?」


「外交と軍事。イモでも食って落ち着け」


 あ、はい。外交と軍事ね。

 アルミホイル敷いた土鍋に入れたおイモさんを熱して、ある程度で火を止めて糖化するまで放置。

 できたらもう一度温めれば美味しい焼きイモの完成!


「おイモさんであります!」


 ワンオーワンがやって来てイモを略奪される。

 クックック、このクロノス大公!

 予想してない我ではないわ!


「お、イモもらうぜ~」


 メリッサにも略奪された。

 ぬう、我の二時間の努力の結晶が!

 しかたない。もう一度作る。


「イモイモ~♪」


 暇になったので踊る。

 いえーい。ひゃっほー。

 そしたら、予想どおりの展開だよ。


「マゼラン残存勢力によって惑星エルカーノが攻撃されました!」


「ワンオーワン……俺のイモを……よろしくな……」


「みんなで分けるであります! タチアナ! シーユン! イモを食べに来るであります!」


 さようなら俺のおイモさん……。

 また会う日まで……。

 クロノス大公、それは我慢という名の男道。


「会議室な。俺も行くわ~」


 メリッサもついてくる。

 ふええええええええええん!

 会議室にはカミシロ隊のメンバーにしてクロノス公国の重鎮が勢揃いしてた。


「やあ諸君、マゼランぶち殺してイモ食いたい」


「隊長……本音が漏れてる」


「それで被害は?」


 エディが画面を投影する。

 艦隊が睨み合い攻撃が開始される。

 だが……なんか遠くから撃ち合ってるな。

 あれじゃ当たらんだろ。


「双方なにがしたいかわからん。えっと……ラターニア外交部。解説をお願いしたい」


 困ったときのラターニアと通信。

 すると非情な答えが返ってくる。


「単に練度が低いだけです。マゼランはこういう国なんです」


 あー、うん。なんか懐かしいノリだ。

 公爵会が牛耳ってたころの銀河帝国の姿そっくり。

 これは茶番だ。誰かが止めるのを期待する茶番なのだ。

 どうしよう……。

 このまま見守っててもなにも起きない気がする。

 ……だけど俺はこれを利用する。


「動画を撮影しつつ関係国に通知。併合希望地域へのマゼランによる侵略が開始された。保護国として防衛する。クロノス防衛艦隊、世の中の厳しさを教えてやれ!」


 こっちは攻撃してないからね!


「了解!」


 我がクロノス公国軍による攻撃が開始された。

 もう侵略だのなんだのと気にするのはやめた。

 挑発するならぶち殺す。

 冗談でしたなんて通じない。

 さて我が軍の戦いを見守ろうか……。

 と思ってディスプレイを見たら……もう終わってた。

 航行不能になったマゼラン艦から救命ポッドでクルーが逃げ出していく。


「陛下。追撃……いかがしますか?」


 レイブンくんに聞かれるが気の抜けた声が出た。


「捨て置け」


 弱すぎるだろ!

 国民性がウザすぎるし、位置的に微妙すぎて誰も取り行かなかっただけじゃねえか!

 すると間髪入れずにマゼラン首相のドアップ通信が飛んできた。


「我が国への侵略を許さぬぞ! このクズが!」


 そのとき……俺のストレスが限界を突破した。

 低い声が出る。


「貴公は全面戦争をお望みか?」


「ぜ、全面戦争!?」


「貴公らの度重なる軍事的挑発。つまり全面戦争を望んでいるのだな? いいだろう。我がクロノスの力を見せつけてやろう。メリッサ、マゼランを焦土にせよ!」


「我が敬愛する陛下のご意志のままに」


「え、ちょっと……我らは被害者なのだが……」


「それがなにか?」


 するとラターニアが通信に割り込んでくる。


「ラターニアも助太刀しよう」


 そしてシーユンも割り込んできた。


「もちろん我が太極国も助太刀する」


 最後に死ぬほど嫌そうな顔のサリアも。


「鬼神国も助太刀する」


「え……その……あの。我らは領土を返して欲しくて」


「自分自身で交渉せよ」


「できれば援助も……」


「断る」


 もう話はシンプルだ。

 こちらも野蛮になるしかない。

 相手のレベルに合わせるしかないのだ。


「こ、攻撃をやめ……」


「容赦しない」


「ゼン神族の嘘つき! なにがクロノス大公は甘ちゃんだ! 戦闘民族じゃないか!」


 あー、わかっちゃった。

 ゼン神族にそそのかされたのね。

 にしても……イナゴ撒いた連中と結託するって……バカなのかな?


「あ、うん……え、クーデター。暴徒がこのビルを囲んでる?」


 なにかあったようだ。


「う、うわああああああああああ!」


 悲鳴が聞こえる。

 火が見えた。

 ラターニアの大使とシーユンが頭を抱える。


「レオ様……クーデターのようです。大統領は亡くなったかと」


 展開が速すぎてついていけない。


「つまり……?」


「……マゼランは滅亡しました」


 こうして、後に「なにもしてないのに勝手に敵国が滅んだ」事件が終了したのである。


「えーっと、どうすればいいかな?」


 するとシーユンが「憧れのサッカー部の先輩」を見るような表情になった。


「クロノスに併合しちゃいましょう」


 このまま終わればいいよね~。

 オーゼン連合の存在忘れてるけど。



https://blog.over-lap.co.jp/shoei_2511/

羅刹の銀河12月25日発売です!

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― 新着の感想 ―
自滅に導くのはレオのお家芸だし、たまに勝手に内紛起こしたりもするけど……勝手に滅亡するのはホンマやめてもらいたい。後始末が大変だから……いや、自陣営への被害が無いから大勝利なんだろうけど、なんか悲しく…
某国の下位弱体化版ですねw
他責の権化のような相手には物理でしばくしか無いのよね。
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