第五百十一話
結局、離反した惑星はクロノスの子になることになった。
食糧の生産地が大多数だ。
当たり前か。外敵から守らなきゃならない惑星ばかりだ。
中央があのザマなら見捨てるわな。
周辺諸国というか、パーシオンはこれに非難声明を出してきた。
知らん!
少なくとも我が国は悪くない!
悪いのはゼン神族!
でだ、マゼランの首相であるが暴徒化した市民に囲まれ吊された。
やだ怖い!
内閣だけじゃなくて議会議員が次々処刑されていく。
この状態で俺が喜ぶとでも思うか?
話し合いで解決しろよ。
リコールするとかさ~。
会議から逃げた首長の惑星は首都と同じ運命になるのだろう。
俺は知らん。
「非常事態だから協力しようね」っていう意味でしかない。
「協力できねえならあっち行きな!」という意味でもあるけどね。
別に敵対なんかしない。
だって会議に出た人の中にも「クロノスに併合されることを望まない」って言った自治体あるし。
マゼランの首都星と旅客用の定期航路がある惑星が多い。
そりゃねー。マゼランと戦争になるかもしれないもんね。
そりゃ嫌だよね~。
救助だけしてもらって穏便にしたいよね。
俺は他人の立場になって考えられるタイプの指導者だもん。
無理強いなんかしない。
大丈夫大丈夫。
このタイプの慎重な人は戦争になっても日和見決めこむから。
日和見してくれて時間くれるだけでもありがたい。
金をかけるだけの価値はあるのさー。
というわけで建設業軍団は箱物作りまくる。
いやー、もはや失業率なんて関係ねえな!
好き放題作りまくる。
ただしクロノスの子になったところを最優先でね。
で、我らがクレア様の明るい農村地帯も作る。
クレア様は農業ガチ勢なので俺は口を挟まない。
農家の三男は逆らってはいけない人を見分ける能力に優れているのだ。
クレア様万歳!
こうして我がクロノスは食糧生産で困ることはなくなりつつあった……。
未だにクロノスは首都星のど真ん中に畑がある状態だもんな。
さて軍事の話をしよう。
マゼランは民主主義時代のクロノス製兵器が多い。
なので改修。
ソフトウェアは銀河帝国製。
武器や人型含む戦闘機はカミシログループで作る。
最近思うんだけど、ずっと戦争やってたせいか俺たちの技術進歩のスピードは異常だ。
100年分くらい進んでると思う。
ゾークにプローンに屍食鬼にゼン神族に……。
たいていの物はリバースエンジニアリングしたし、そこから新素材や新兵器作りまくってるもんね。
外宇宙でも科学技術力に関して上位に躍り出たと思う。
うんうん、そしたらさー……。
なぜかマゼランの残存勢力に宣戦布告されちゃった……。
侵略者呼ばわりされちゃった!
ラターニアと太極国と銀河帝国にクロノス公国による拡大主義がうんたらかんたら。
拡大してるのクロノスだけじゃね?
いやそもそもここの銀河って侵略される方が悪いって場所だよね?
なに言ってんの?
「我らはクロノス公国の覇権主義に断固反対する!」
マゼランさんね。
えっと、そもそもマゼランに攻め込んだのオーゼン連合って設定忘れてない?
で、オズワルドくんは処されてしまったので新しい首相にご挨拶。
太ったおっさんの名前はガルベくんだって。
「イナゴを放ってマゼランを滅ぼそうとしたクロノス公国に断固抗議する」
「犯人の船籍はオーゼン連合では?」
「……うるさい黙れ! なにもかもクロノスのしわざだ!」
「そもそもイナゴの駆除してるのが我々ですが」
「そうだ! すべて貴様らの自作自演だ! オーゼン連合とも裏で繋がってるのだろう!」
あ、やべえ。話が通じない。
陰謀論者か?
それとも金もらって引っかき回してる売国奴か?
どちらにせよ話し合いが成立しないぞ。
「あのさー、糾弾するなら証拠出してくれないかな? そもそもクロノス自体がイナゴテロで滅びかけたんだしさ。そもそもオーゼン連合とは外交チャンネルすらないわけで……」
「うるさい! 俺たちはお前らを許さん! 滅ぼしてやる!」
話が通じない。
えーっと、『マゼラン人の議論』。
ラターニアの百科事典で検索っと。
マゼラン式弁証法。
まず大きな声で相手を糾弾します。
とにかく怒鳴って相手に反論させないようにします。
相手の反論は聞きません。一喝してやります。
相手が黙ったら議論勝利です。
被害者ポジションは絶対死守しましょう。
※このような国民性のためラターニア人はマゼラン人と関わらないように。
バカなのかな?
えー……どうしよう。プローン以来だぞ。ここまで話通じないの。
「わかりました。じゃ、戦いますか」
「え?」
なんで驚いてるのよ。
「い、いや、戦う? えー? 侵略するってことですか?」
「知りませんって。そちらの出方次第です」
宣戦布告してきたのお前だろが!
は、話が通じない。
「妖精さん……翻訳機がバグってる……」
「レオくん、翻訳機なしでクロノス語で普通に会話してます。というか支離滅裂で私も意味わかりません」
話が通じないだけだった。
えー……。
「い、いいか! 未来永劫食糧を差し出せ! そうすれば見逃してやる!」
「断る」
「うるさい! だったら全面戦争だ! 我が国の恐ろしさを思い知らせてやる! 未来永劫貴様らの悪行を責め続けてやる!」
「承知した」
「いいのか! 我らは無敗の軍団だぞ!」
「イナゴに負けたのに? なんでもいいが承知した。かかって来い」
「なんという非道で悪辣な連中だ! 許さん! オーゼン連合とともに貴様らの悪行を全宇宙に広めてくれる!」
「だから我らは関係ない。オーゼンが犯人だって!」
「うるさい! この悪魔め!」
は、話が通じない……。
おかしいな……地方の首長とは会話が成立してたんだけどな?
なんか首都星の連中とだけ会話が成立しないんだよね。
もしかして首都星だけ異常なんじゃ……。
まだプローンの方が会話が成立してたぞ。
ラターニア銀行が進出してない理由がわかったぞ……。
会話にすらならんのだ!
『お前らマゼランが関わらなきゃクロノスも関わらない。領土を返して欲しければ、マゼランが離反した地域に直接交渉しろ。結果がどうなろうが知らん』
これすら通じないのだ。
俺……変なこと言ってないよね?
「ゆるさんぞクロノス! この悪魔め! 絶対滅ぼしてくれる! かかって来い!」
「俺らから攻め込まないし」
「我らの過酷な攻撃に恐れおののくがいい! マゼランの敵に死を!」
なんか一人で盛り上がってる。
ツッコミ疲れた。
ムカついたので話の途中でラターニアの外務省に繋ぐ。
「マゼランと話が通じないので誰か解説と仲介をお願いしたい」
「マゼランとは話が通じません。ご安心ください大公陛下! マゼランは兵を出す度胸はありません! 口だけです!」
マゼランくん嫌われすぎだろ!
こうしてなに一つ話が進まないままマゼランとの戦争に突入するのであった。
お待たせいたしました!
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