第五百九話
結界砲撃ち込んで勝手に結界張って救助活動。
今回の俺は宇宙海賊カワゴンだぜぇ~! ヒャッハー!
「オラオラオラオラ! 地下から出ろぉ~! ラターニアの引き渡してやるぅ~! ギャハハハハ!」
※ただの救助活動である。
「おうババア! おめえ市長か! 他の惑星に連絡つくか? え? 首都星の首相に連絡がつく緊急秘匿回線がある? あ、はい。ワタクシ、隣の惑星のクロノス大公でして。あ、はい救助に。その格好はなんだ? あ、はい」
よし。
「はーい、みんなー! 正式な救助要請出たよ~。正規業務に戻って~!」
俺もフェイスペイント落としてクロノス軍の軍服に着替える。
海賊船から俺の軍艦に乗り換える。
フルスペック結界砲装備の最新艦だ。
こうしてルパ○作戦はクロノス公国軍部の黒歴史として見なかったことにされるのであった。
なお宇宙海賊カワゴンであるがなぜか海賊ギルドの企業がグッズとして売り出してた。
ギリースーツ着て芋持ってるのと、歌舞伎ヒャッハー姿のやつ。
なぜか「持っていると災害があってもなんとなく生き残る」という謎の噂で売り切れ続出らしい。
……っていうか歌舞伎ヒャッハーの衣装海賊にリークしたの誰?
販売まで素早すぎるでしょ!
怒らないから名乗り出なさい!
こうしてマゼランをサクサク解放していく。
えっと、あの完全に倒壊した市役所は?
え? 元から? あ、はい。
マゼランと我々はわかり合えないと思う。
人口密度があまり高くない土地だったが被害は甚大。
インフラ完全壊滅……え? 元から? 嘘だろ……。
上下水道破壊。これも元から? あ、はい。
観光資源も汚染された状態だ。これも元から? あんたらさー……。
カビの生えた食料を貯蓄してた倉庫の近くでは古いイナゴの死体が山になっていた。
結界で死んだのではない。
カビで死んだのだ。
あん?
「このカビ使えるんじゃね? 分析に回して」
納豆菌やら菌根菌やら菌素材は農業や園芸でそこそこ使われてきた。
今回もいける気がする。
さてそこまでわかったところで、ようやく首都星と連絡がついた。
ニーナさんが作ってくれた大福食べてた最中である。
ああん! ぽくの大福!
「いいから行って! あとで作ってあげるから!」
ケビンに言われて気が緩んだところをクレアに連行された。
ぽくの大福~!
「クロノス大公、レオ・カミシロ・クロノスです」
まずはご挨拶。
「マゼラン首相オズワルドだ」
偉そうだな。オイコラ。
「こちらとしては救援を行いたいのですが」
「いいだろう。許可してやる。ただしインフラへの投資をするのが条件だ」
あー、うん。この野郎。立場をわかってねえ。
「当方としましては外務省の方に頼まれて茶番までして救援しに来たんですけどね!」
「そんなことは知らん! 貴様らが勝手に助けに来ただけだ! 賠償金を払え!」
うーん。わかった。
「じゃ、帰るわ。二度と関わらんわ。勝手に滅んでね」
「え? お、おい! ここに災害で滅びそうな可哀想な国家がいるんだぞ!」
「知らん」
はい損切り。
別に見捨てないよ。
ただ話にならんから無駄な会談はしないだけ。
会談を打ちきって例の市長さんのところに行く。
「市長さん。首相になりません?」
市長さんは「なに言ってんだこいつ……」っって顔してた。
だが俺は本気だ。
「我が国が完全バックアップします。ぜひマゼランの首相に成り上がってください」
「そ、それは征服では?」
「いいえ、あくまで我々は話が通じない首相が嫌なだけです。暴力的なクーデターなどいたしませんし、征服もする気はありません。むしろ救助だけしたら外交関係を断ってもいいかなって思ってるほどです。話が通じないので」
本当にあんなのばかりなら外交関係断つわ。
「そ、それは困ります!」
「ではよく考えてください。リスクはありません。別に我らを優遇しろとも言いません。マゼラン人を雇ってマゼランで商売するって程度です」
敵対する理由もないし経済植民地にする必要もない。
現状でもクロノス人を食わせるには足りてる。
そもそもクロノス人全員を富豪にするのは不可能だとわかってる。
そこまで夢見がちじゃない。
ただクロノスのためにもマゼランには国の体裁を保ってもらう必要がある。
ある程度の軍備に、ある程度の経済規模。
それを維持してもらう。
むしろ俺はこの国を植民地でも統治したくない。
俺との相性が悪すぎる。
暴力を用いないで統治する自信がない。
絶対関わらないもんね!
「……ほ、本当に私が首相に?」
「ええ、伝手がありませんから」
「わ、私はなにをすれば?」
「救助活動をしてください。あなたが陣頭指揮を執ってください。くれぐれも首都のアホどもは最後にしてください」
「は、はははは……」
こうして俺らは地下で偉そうにしてるバカどもを無視することにしたのである。
市長さんはサクサク救助をする。
結界は俺ら。
首都はガン無視。
例の首相の暴言はラターニア&太極国&クロノスの国営放送で流しまくる。
てめえらのメンツなんぞ叩きつぶしてくれる!
ここで市長を持ち上げてもいいが、それはしない。
外国に褒められる指導者じゃダメだって。
とにかくやるのは友好友好友好。
我々は友だちよ~(金を貸さないくらいの仲)。
サクサク助けていく。
すでに結界が設置されてて戦艦の砲撃で破壊されただけの首都は知らん。
自分たちで好きにしろ。
悪いのは首相。
なんか首相がリンチされたとか聞いたけど知らない。
俺たちには関係ない。
差し出した手を払って顔にツバはいてきたのは首相なのだ。
民主主義なのだから首都民は連帯責任な。
こうして首都を徹底的に干してやった。
他の惑星にはラターニアに太極国にクロノスに銀河帝国の建設会社が入ってインフラ整備。
首都には救助さえしない。
宇宙港もサクサク整備。
首都の宇宙港? 知らねえよ。自分で直せば?
こうして首都以外のほぼ全ての惑星は市長さん&外国に従った。
今度議会が招集されるんだって。
結果なんて知らない。
首相が首相のままなら手を引くし、市長さんが首相になれば友好関係を築く。
そしたら首都の整備すればいいんじゃないかな?
どちらにせよ我々はすでに建設業で儲かった。これから20年は仕事がある予定だ。
後は知らない。
「徹底的すぎる……」
サリアがどん引きしてた。
徹底的っていうのは敵側だと思うのよ。
俺は商売してるだけだし。




