第五百三話
マゼランから現われたゼン神族によるクロノス領土への攻撃が開始された。
我が軍が応戦し、現在は攻撃が一旦止んでる状態だ。
マゼラン民主主義連邦。
プローンよりも領土が小さい小規模国家だ。
とはいえ惑星やコロニーはかなりの数を持っている。
農産物は生きていける程度。
ただし海の面積の大きい惑星が多い。
さらにクロノスの経済支援もあり食うには困らない。
なので国民はスーパー適当。
向上心ゼロのその日暮らし民が大多数だ。
食えなくなったら強盗でもすればいいさって感じ。
喧嘩ばかりしてる鬼神国民ってまだ民度高いんだな……。
工場で雇うと連絡無しにほとんどが勝手に休んで操業停止になるレベルだ。
そのためラターニア人に毛嫌いされてる。
約束守らないもん。
当然ラターニア銀行は進出せず、経済的に小国に甘んじてる。
ただクロノス的には微分……これは訳が違うな。
デルタ地帯という大国がひしめく修羅の国への緩衝地になっている。
軍事的に重要な国家である。
とはいえイナゴがなければクロノスだって大国だった。
時間稼ぎ用の地域だよね~。
クロノスの復興期間中は銀河帝国が経済的に支援していた。
要するに金はやるからなんとかしろって話だ。
そしたらこれだよ!
外交チャンネルで呼びかける。
不通。
あー! もう!
協力者に呼びかける。
すると様子がおかしかった。
「レオ様……やられました……」
協力者はマゼランの外交官だ。
俺たちのスパイってわけじゃない。
裏チャンネルで情報交換してる関係だ。
外交官は口から血を流していた。
「なにがあった!」
「イナゴです……。結界を設置した首都は軍艦で攻撃され……予測していたのに……軍事を整える算段が……なかなか進まず……このザマです。地下に避難しましたが……もう私は助からないでしょう……」
「いま救助が向かってる! あと少しで到着する!」
「それなら先に国民の脱出を……」
だんだんと声が小さくなる。
そして通信が途絶えた。
クソ!
「会議を招集する!」
俺はクロノス議会を呼び出す。
「陛下! 戦況は……」
「妖精さん表示して!」
「はいな!」
「ゼン神族はマゼランをイナゴで攻撃。タチアナの結界があるところはゼン神族の戦艦で蹂躙した。ゼン神族は総崩れになったマゼランを無視して通過。クロノスに攻撃を仕掛けてる」
マゼランにも要請があったので結界を設置した。
でも優先するのはクロノスだ。
結界を張れたのは首都と主要な大都市惑星だけだ。
「なんという無茶を!」
だが……できなくはない。
それはわかっていた。
だからその対策も進めていた。
マゼランは……間に合わなかった。
タチアナ一人ではどうしようもなかった。
時間だけはどうしようもないのだ。
幸い……と言ってはなんだが、クロノスは間に合った。
銀河帝国製の無理ゲーシミュレーターで訓練したパイロットたちが奮闘。
第一波は退けることができたのである。
タチアナの結界によって人型戦闘機では対処の難しいイナゴを封じることができたのも大きい。
「クロノス公国軍の損害は?」
大佐に質問する。
「軽微です」
具体的な数を教えてくれないのが怖い。
「具体的な数が出てないけど……本当に軽微?」
「本当に軽微です。数はまだ集計できてないだけです」
ならいいや。
数をごまかしてるわけじゃないようだ。
それならいいや。
一番恐いのは正しい数字が上にあがってこないことだからね。
「俺は出陣する。他の行政は頼んだ」
「陛下!」
「こういうのは適材適所。俺いない間に汚職すんなよ~」
「陛下ぁ~!」
俺は宇宙港に移動する。
新しく作った軍艦に乗る。
専用機までは手がまわらなかったけど。
カミシロ本家の紋章が描いてある。
俺の船だ。
とうとう(大変疑わしい)前世思い出してからぶりの艦長である。
「陛下! クルー点呼完了。脱走兵はいません」
「は~い」
鬼神国人とクロノス近衛騎士団。
そこにクロノスの兵士が乗ってる。
エディやイソノに中島たちは嫁ちゃんの船だ。
こっちに乗ってるのはクレアにメリッサにレン、それにタチアナとワンオーワンだ。
シーユンは太極国の戦艦で来る。
「戦艦カミシロ出撃せよ!」
こうして議会の反対ガン無視で俺は出撃するのだった。
と言っても我々が戦闘地域に到着するまでは結構時間がかかる。
なので食堂で作戦会議。
ミーティングルーム使え?
知らん! ここが一番落ち着くのだ!
「とりあえず前線に隊長足止めするのが目的じゃないかって予想してる」
メリッサに言われて高速で首を縦に振る。
「でーすーよーねー!」
「レオ、マゼランはどうする?」
「別方面からラターニアと太極国が援軍送ってくれるからそれ待ちかな」
なんて話してると若い兵士がやって来る。
「銀河帝国宇宙海兵隊分校学生部隊! レオ・カミシロ・クロノス少将閣下にご挨拶にうかがいました!」
数年前の俺たちだ。
距離的に遠いから分校を作ったのだ。
分校ってことはバトルドーム加盟国や鬼神国、プローンなんかの子だ。
そう、一人だけプローンがいた。
俺に罵声を飛ばした子だ。
「よっ! 久しぶり。がんばってるか?」
「プローンがなぜ滅んだかは理解しました。今はプローンを立て直したいと思ってます」
「がんばれ! 応援してるよ!」
拳を出してグータッチ。
本当に立て直したいと思ってるのか。
単に大人になって本音を口にしなくなったのか。
それはわからない。
でも生きてりゃいいさ。
なんとなくわかりあえた気がするし。
やっぱ軍人の教育するのが一番だよね~。
それで復讐されるなら本望ではある。
「お前ら、絶対ケガすんなよ! 安全第一な」
「レオがそれ言う?」
クレアが呆れ、レンはクスクス笑ってる。
いいもん! それでも偉そうに言うもんね!
俺はお土産に食べ物持たせて学生を帰す。
クロノスの餃子、プローンの子には葉物野菜とトマト。
「上官には内緒な」
「いえ、カミシロ閣下は食料くれるぞと上官殿が」
どうやら俺のこの習性は有名だったようだ。
こうしてクロノスで終わりかな~って思ってた外宇宙であるが……まだ続くのである。
……勘弁してくれよ。
そろそろ嫁ちゃんとの夫婦生活編とかでいいのよ!




