第五百一話
体育祭当日、白猫に乗って手を振る。
幹部たちも猫さんに乗ってパレード。
さすがに鞍つけないと不安定だったので急遽作った。
クロノス人は猫に乗って戦った記録もあるらしい。
そういや名前つけてないな。
いや話してたら名前を名乗るんだけど、言語として発音できない感じである。
名前があるのに人間の都合で勝手に名付けるのは冒涜のような気がする。
俺の子分勢が槍を持って鬼神国民謡を歌いながら練り歩く。
サリアパパ……呼んでないのに野球チームでやって来やがった。
お前ら! 乱闘やるなよ! 絶対やるなよ!
猫さんは「あたしが一番かわいい!」としたり顔だ。
パレードにあたって反社や反政府団体を対象に一斉家宅捜査した。
俺が独裁者になった?
違う! 市民が火炎瓶投げ込んだの!
反社や反政府団体守るために家宅捜索したの!
俺だって意味わかんないんだから!
反対論出るかなって思ってたんだけど……反政府団体ですら俺には同情的だった。
なぜ俺に甘いのキミら?
現在単身赴任で別居中の嫁ちゃんと貴賓席につく。
「嫁ちゃん……寂しかったよ!」
「昨日も会ったではないか」
別居してるんだけど嫁ちゃんは宮殿に出入りしてるんで頻繁に会ってる。
クレアたちは女子寮出て宮殿暮らしだし。
エディとイソノに中島、それにエッジはとうとうクロノスに家を買った。
かなり大きい邸宅だ。
というかマンション買おうと思ったら全力で止められたらしい。
権威が足りないとかなんとか。
「やだー、だって広い家って掃除が面倒じゃん」
イソノが当たり前のことを言う。
「人を雇ってください! イソノ侯爵閣下!」
全方面から怒られた。
エディにイソノに中島は今や銀河帝国上級侯爵にしてクロノス侯爵である。
さすがに大臣職は現地の人にお願いしてるけど、その上位者扱いである。
しかたなく三人ともクロノス人のお手伝いさんや個人秘書を雇った。
弁護士や税理士も雇って……結局、事務所も兼ねた屋敷は豪華なものに。
三人の嫁さんはそれはそれで満足なようだ。
現役女子大生のミネルバちゃんだが、大学へ毎週レポートを送ってる。
エディや俺たちの仕事のデータだ。表に出しても問題ないやつ。
俺たちが何考えてたかまで細かく掲載。
クロノス国統治の生データに大学大歓喜である。
成績優秀者として授業料無料に教授との共著者に名前が載りまくってる。
「大学院に進学するよね? 拒否は認めない。俺たち学者だって外宇宙行きたいのにいいいいいいッ!」
こういう空気である。
外宇宙政治の第一人者扱いである。
おかげで俺たちは単身赴任組は政治でわからないことがあったら教授たちに相談してる。
教授陣は侍従長と関係のない元文官なので笑顔で応対してくれる。
教授陣いなかったら仕事にならないまである。
だって細かい話わからんもん!
……このような苦労は忘れて楽しもうと思う。
開会式では俺が挨拶する。
ウケ狙いを禁止されたのでこれはカット。
開会式後にサッカーに女子の野球とソフトボールに……。
チーム少ないしゆるい日程でも終わる。
女子の硬式とソフトボールは女子たちが本気である。
野球ばかり目立ってんじゃねえぞと。
ソフトボールは普及が遅れ……あ、別に邪魔したわけじゃないっす。
イソノの野郎が異常に素早かっただけで。
宣伝とかがイソノの後追いで遅れ……くれぐれも言っておくがイソノの野郎が異常なくらい素早いだけだからね!
ソフトボールや女子の硬式野球はイソノが開拓したところを後から来ただけである。
まだ銀河帝国と鬼神国とクロノスくらいしかチームがない。エキシビション扱いで開催される。
クロノスのチームはスポーツ自体一年しかやってない選手が多い。
まだ草野球レベルにも到達してない。
鬼神国にサクッと負けて終了。
明日決勝戦の銀河帝国対鬼神国の試合が開催される。
そしたら今度は女子の硬式野球。
女子の硬式は鬼神国と銀河帝国だけ。
鬼神国は女子のマッチョ戦士軍団。
対する銀河帝国はクロレラ処理勢やビースト種で構成される寄せ集めチームである。
そこに一人特異点が。
「なんで私がスタメン!?」
リコちである。
今日はアーマーなし。
びっくりするだろ……リコち……無改造の人類なんだぜ……。
レンもみんなの強い希望で出場させられた。
数日後に射撃競技にも参加を強制されてる。
「リコちゃん! 私だってなぜ自分がここにいるかわかりません!」
「ふええええん! 婚期があああああああああッ!」
自称モブの目隠れ女子のリコちであるが、動きが人類を超越して目立ちまくってる。
立ち絵のデザインよりも動けばわかるこの格好良さ。
まさにヒーロー系女子である。
キャッチして瞬時に返球。
やだカッコイイ……。
レンはレンで我が隊でも最強レベルの動体視力でホームランを量産した。
こうして圧倒的な力で鬼神国に勝利したのである。
鬼神国が弱かったわけじゃない。
彼らも試合が成立するくらいには経験を積んでいた。
ただ……リコちやレンの身体能力が異常なだけだ。
レンが打って、リコちが守る。
男子でも勝てる気がしない。
なおメリッサはルールを憶えられなくて代表落ちした。
異常異常とさんざん言ったが、これだけは明言しておこう。
あと応援の吹奏楽部も目立ちまくって大満足だったこともつけ加えておこう。
試合が終わって男女関係なくお洗濯。
宮殿に持ちかえった泥だらけのユニフォームを洗濯して干していく。
粒子洗濯機とかあるけど結局は一番安いのは普通の洗濯機である。
10キロ洗える二槽式は最強!
洗剤は粉! やっぱり漂白剤入りの粉よね。
俺も洗濯当番に加わる。
ユニフォーム洗濯したら着替えて屋台へ。
俺は宮殿の中庭で料理してろと言われた。
カナシイ……。オレ……ヤキソバ焼く。
ヤキソバ焼いてたら宮殿の動物たちがやってきた。
「はいはい、ご飯ね」
猫さんたちにもご飯。
鷹なんかにもご飯をあげる。
俺の周りは猫さんや鷹がいるので、草食動物勢はクレアや嫁ちゃんからご飯もらってる。
しばらくするとみんなが帰ってきた。
なぜか餃子を大量に買ってきた。
ここで食事会。
各々、好きなようにすごしてた。
暗くなると……そろそろかな?
花火が打ち上がる。
中継でアナウンサーが泣きながら語った。
「国民の皆様、我らはようやくここまで来ました! 皆さん! クロノスは復興しました! これからも共にがんばりましょう!」
俺たちも結構がんばった。
ゾーク戦争とはまた違う、別の分野で戦ったのだ。
みんなでハイタッチ。
俺は嫁ちゃんを抱き上げる。
「嫁ちゃん、大会成功させようね!」
「おう! 婿殿期待してるぞ!」
ヒューヒューとはやし立てられるが気にしない。
俺は幸せだった。




