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第四百九十二話

 会場の人々を安全圏に誘導しながら外に出る。

 というか、なぜかフルアーマーの私が歩いてるだけでみんな「こりゃやべえ!」って顔して避難してくれる。

 これもレオくんが実施した避難訓練が浸透してきてるのだろう。

 新規物件は防空壕完備。

 公共施設も災害時のシェルター機能を持たせてる。

 そうレオくんの治世のおかげだ。

 私のフルアーマー出動が広くクロノスで「この世の終わり」と思われてるせいじゃないはずだ。

 絶対に違う。

 会場の外ではトラックに向かってクロノス兵が銃を構えていた。


「リコ様! 先ほどからプローン旗のトラックに警告をしてますが動きがありません」


「乗員は?」


「ドローンで確認したところ通常種。プローン人ではありません!」


「わかった。私が行く」


 ガシャンガシャンと装甲を鳴らして歩いて行く。

 中を見る。クロノス人の男がいた。

 ニヤニヤ笑ってる。

 私はパルスライフルを構えて言った。


「出ろ」


 すると男はクロノス語で勝ち誇った。


「くっくっく、これがはじまりだ!」


 男が拳銃を懐から取りだした。

 ブラスター型の拳銃だ。

 私はガラスを拳で突き破ってブラスターをつかむ。

 ブラスター型は引き金を引いてからのタメがある。

 つまりその間につかんで銃口を上に向ければいい。


「な!? てめえ、ばけも」


「出ろ」


 ブラスターをつかんでた手を離して、男の髪をつかんで思いっきり引っ張る。

 操縦席から引きずり出し、そのまま男を放り投げた。

 ブラスターは最初に握ったときにひしゃげてた。

 筋力アシストは凶器である。

 私は男の背中を踏みつけて頭にパルスライフルを突きつけた。


「確保した。回収頼む」


 兵士が「やだカッコイイ!」って顔してる。

 男は拘束されて運ばれて行く。

 荷物を調べなければ。

 後部コンテナの鍵を引きちぎって中を見る。

 すると奥から何かが突進してきた。

 私はとっさにパルスライフルを捨てて、何かをつかんだ。

 重い!

 光に照らされて敵の正体がわかった。

 人型重機だ。

 今回は間合いを潰された。

 ウルミは使えない。

 ギュルギュルとタイヤの音がする。

 タイヤ付きの高速装甲タイプか!

 私はがっぷり組んでいた。

 装甲の筋力アシストが悲鳴をあげる。

 そのまま倉庫から押し出された。


「うおおおおおおおおおおおおおッ!」


 後ろにはクロノス軍の憲兵隊。

 私の部下だ。

 ケガなんてさせられない。

 そうだ私は憲兵隊の責任者なのだ。


「う、うおおおおおおおおおおお! おどりゃあああああああああッ!」


 止まった。

 私の気合で……違う。

 再加速!

 私は腕を差し込み体を入れ替える。

 腕をへし折りながらぶん投げる。


「小手投げええええええええええええッ!」


 ばっきーんと人型重機の腕が折れる音が響いた。

 これでもクレアちゃんと同じ格闘記章持ち。

 カミシロ隊は生身で警察用人型重機を制圧できて一人前!

 どーんっと頭部から人型重機が地面に突き刺さった。


「ふう……手こずらせやがって」


 するとクロノスの憲兵隊から歓喜の声が漏れた。


「嘘だろ!? 戦闘服で人型重機を制圧した!」


「隊長すげえええええええ! 俺一生ついてくわ!」


「かっこいい……惚れる……」


 男性も憧れのマッチョダンディーを見るような視線だ。

 ちがう! そうじゃない!

 私が欲しいのは魂のブラザーではなく彼氏だ!


「リコ隊長! カッコイイ!」


「リコ隊長となら結婚していい!」


「リコ隊長大好き……男性フェロモンがこっちまで来そう……」


 女性隊員が黄色い声を出してる。

 うれしいけど……コレジャナイ……。

 男性フェロモンとか言うな!

 私は女の子だ!

 いじけながら指示を出す。


「運転手を拘束しろ」


「は!」


 男性隊員たちがパイロットを操縦席から引きずり出した。

 なぜか憧れの視線を向けられた。

 もーやだー!


「本部、戦闘用人型重機。高速型を制圧した。注意せよ」


「え? 制圧?」


「制圧した」


「あ! はい! 緊急警報! 襲撃がありました! 観客の避難誘導をお願いします!」


 ふう、ステータスオールレッド。

 筋力アシストがダメになってる。

 私も全身がビキビキ悲鳴をあげてた。

 だけど守らなきゃ。

 だって私は帝国最強、レオカミシロ隊幹部なのだ。

 レオくんとヴェロニカちゃんの顔に泥は濡れない。


「こちらリコ・サカザキ。新しい戦闘服の支給を要請する」


「こちら本部。承認しました。配達ドローンを向かわせます」


 警報が鳴る。

 これから大変だぞ。


「装甲解除」


 装甲解除してナノマシンで回復しないと。

 いますぐ栄養ブロック食べなきゃ。


「え? 女性?」


「ん?」


 いや隠してないが?


「え! 嘘! 私のリコ様が女性いいいいいいいいいいッ!」


 なぜ女性隊員がショックを受けてるの?


「う、うそだあああああああああああ! リコの兄貴が女性!?」


 最初から女ですが?


「せ、性癖が変になりゅううううううううううう!」


 お前本部に出頭な。お説教するから。


「やはり……帝国は戦闘民族」


 いやー普通ですよ?

 レオくんと一部がおかしいだけで。

 ……なんなのお前ら?

 ねえなんなの?

 もうしかたない。

 無視して栄養ブロックを食べてる。


「リコお姉様……」


 やかましい!

 そっちのケはない。

 ナノマシンによる筋組織の急速修復がされていく。

 病院に行くほどのケガはなし。


「すごい……リコの姐御……表情一つ変えねえ」


 いや痛いが?


「さすが王様の信頼する護衛……最強すぎる……」


 さすがにレオくんよりは弱いが?


「ヒーローみたい……」


 ヒロイン希望だが?

 こうして私は方々に勘違いされながら崇められるのであった。

 そして……私がこうしてる間、陰謀は進んでいくのだった。


「人型戦闘機が出現! 型式は……ラターニア旧型素体! プローン機です!」


「こちらリコ! 戦闘服支給されしだい現場に向かう!」


「ドローン目標地点に到着! 戦闘服投下します!」


 バックパック型の戦闘服が落ちてきた。

 今のバックパックユニットと入れ替える。


「変・身!」


 言ってみたかっただけ。

 なのに男性隊員が「うおおおおおおおおおおおおおッ!」とキッズみたいな目で喜んだ。

 装甲が展開しフルアーマーになる。

 ついでにいつものガトリングも支給された。


「行ってくるぜ!」


 こうしてリコ・サカザキの伝説は独り歩きしていくのであった。

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― 新着の感想 ―
リコちの名前の元ネタはスターシップ・トルーパーのジョニー・リコかな?フルアーマーのイメージはヘイローのスパルタン、マスター・チーフってところかな?声で女性と分からないって事は外部スピーカーで変換されて…
もうどう考えてもシュワちゃんとかスタローン主演映画のBGMが流れているようにしか見えない。アイルビーバックとかカタカナ英語かI'll be backとか流暢に言い出しそうだwww
>カミシロ隊は生身で警察用人型重機を制圧できて一人前! 標準がオカシイw
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