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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第四十八話

 エンパイア通運のトラックをハッキング。

 物理錠じゃなくてよかった。

 中央サーバーによる遠隔管理錠を解除し乗り込む。

 とりあえず端末を起動すると妖精さんは不思議そうな顔をした。


「荷物が重いです」


 うむ。

 荷物捨てないとスピード出ない。

 写真撮って軍のサーバーに上げとけば保険で補償されるだろう。

 にしても聞いたことねえ会社だな。

【黒にゃんこ】や【十七屋】や軽貨物の【ヴァーミリオンハット】でシェア九割だろう。

 ほんと知らない会社だ。業務用だけの会社かな?

 バンボデー、後部倉庫の鍵をハッキングして解錠。

 後部にまわって扉を開ける。

 中はマジックミラーだった。

 俺は殺し屋のような顔になる。表情は【無】だ。

 ツッコミ入れねえからな。

 撮影機材やスポットライト、中央にはハート型の大型ベッドが置いてある。

 絶対ツッコまねえからな。

 ふざけんなよ!

 よりによってこんな車なの!?


「これなんですかー?」


 妖精さんがのんきな声を出した。


「妖精さん。俺は答えねえからな」


「え? なんでですかー? えっと所属はディーバ映像?」


「ストーップ!!! 妖精さんストーップ!!!」


 写真を撮って撮影機材を放り出す。

 死ね!!!

 あれやこれが入ってると思われる箱もシュートッ!!!

 キレ散らかしてるとケビンが到着した。


「ケビン手伝ってくれ!」


「う、うん!」


 ケビンに手伝ってもらってベッドを外に放り投げる。

 死ね!!!


「ねえレオ。これなんのトラック? 透明だけど」


「ケビン! 君はそのままでいて!!! 汚れなくていいから!!! 汚れるのは俺だけでいい!!!」


「あ、うん。どうしたの? なんで血の涙」


「男には言葉じゃ言い表せないときもある。背中で語るしかないときもある。男ならわかるだろ?」


「……あー、うん! 男だからわかるよ!!! ボクは男だからね!!!」


 ケビンはまったく理解してないが合わせてくれた。

 ケビンがチョロくて助かった。

 俺は紳士だからな!!!

 おっぱいをからかっても一線は引いてる。

 これはアウトだ。

 すべて放り捨てて、ファー素材のマットも剥がして容赦なく外に捨てる。

 汚い!!! 死ね!!!


「ねえねえレオさん。こんな所に兵士強化用のおくす……り……」


「だしゃーッ!!!」


 妖精さんが言い終わらないうちにドレッサーを撮影して警察の通報窓口に送信。

 流れるようにドレッサーを放り投げる。


「ぎゃー!!! なにするんですか! 兵士が眠らないようにするおくすり」


「だまらっしゃい!!!」


 もうやだ妖精さん!

 頭の中が500年前!!!

 500年前の薬なんて俺は絶対に信用しねえからな!!!


「はあ、はあ、はあ……」


 疲れた……。


「どうしたのレオ? 顔真っ青だよ。それにその汗」


「ナンデモナイヨ」


 さわやかに歯をキラン。

 ケビンの精神は守ることができた。

 にしてもケビンの野郎!!!

 エロい話に乗ってこないと思ったら!

 知識ゼロじゃねえか!!!

 嫁より知識ねえぞ!!!

 くそ! なんで一年の時のビデオ上映会に行かなかったかわかった!

 意味を理解してなかったのだ!!!

 俺は誘われなかったんだぞ!!!

 誘われなかったんだぞー!!!

 うおおおおおおおおおおおッ!!!!

 男はときに哀しみを背中で語るもの。

 俺は心の中で男泣きに泣いた。


「バイク格納する場所作ったヨ」


 俺は笑顔になった。

 ようやく終わったヨ。


「あ、うん、なんか変だよ。だいじょうぶ?」


「心が疲弊しただけサ」


「あ、うん」


 バイクを置いてケビンを乗せて、おまけに警察用の機体を……入らねえ。

 けん引は……ローラーダッシュがないから無理か。

 上に正座でもさせようかと悩んでると妖精さんが不思議そうな顔をする。


「関節のギアにヒビ入ってますよ」


 ふえぇ。

 悲しいけどここで別れる。

 ローラーダッシュがない機体はトラックより遅い。

 それに関節が限界ならしかたない。

 涙を呑んで発進。

 バイクは固定台ないけどしかたない。

 今度は俺がドライバー。

 民間の大型免許持ってるもんねー。

 生意気にもこの車はバイオディーゼル車だ。

 ゴミから作るので税金が安い。

 バイクのアルコールも同じくゴミ原料なんだけどアルコールは酒税がかかる。

 どちらも性能はあまり変わらない。

 アルコールの方が金持ち用で、ゴミディーゼルは労働者用。

 意味がわからん。


「ねえねえ、レオさん、レオさん。ダッシュボードに武器入ってますよ」


 ダッシュボードを開けると拳銃が入っていた。

 パルスハンドガン。

 民生用としてはどこの惑星でも違法な大出力のやつだ。


「わわわわわ! なんでそんなのが!?」


「車の持ち主マフィアかな? 悪ぃケビン、写真撮って警察に通報しといて」


「う、うん!」


「それとこいつはケビンが持ってて。この先人間の方が危ない場合もあるからさ」


「う、うん! なにかあったらボクが守るよ!!!」


 いや俺の場合、ハンドガンの間合いだったら殴った方が速いから渡しただけなんだが……。

 適材適所である。

 ネットニュースの配信をつける。

 帝都侵攻のニュースだった。

 そりゃ今はそれしかないよね。


【帝都宇宙港がゾークの侵攻を受けました。帝国軍は宇宙港から撤退。避難は北宇宙港からに変更されました。戒厳令により車両での移動は制限されています。避難の際は公共交通機関をご使用ください】


「宇宙港が占拠されたみたいだね」


「逃げられて運がよかったってことだな」


【宇宙港での襲撃でゾーク狩りで名を馳せた猛将キャプテン・レオも行方不明です】


「誰?」


「そりゃレオのことでしょ?」


「キャプテンはやめて……」


 もうちょっとさー、格好いい名前とかさー。

 あとは各地の被害。

 その中でも宇宙港のニュースが繰り返し報じられていた。

 宇宙港を落とされたのは相当痛いようだ。


「たしか北と西に宇宙港あるんだけど西はすでに陥落。北も攻められたら終わりかな」


「詰んでる……」


「それをどうにかするのがレオ、君だろ」


「リニアブレイザーがあれば……」


「あんなの帝都で使ったら立ち直れないくらいに破壊しちゃうよ!」


「ですよねー。……妖精さん、近くにローラーダッシュ搭載してる機体ない?」


「ありませんねー」


「車へ変形できる機体は」


「ないですねー」


 困った。

 今襲われると戦えない。


「あ、そっちの工事現場? に警察のもの? みたいな機体ありますよ」


「なんで疑問形なの?」


「IDがおかしいんです」


「だってさ右折するわ」


「了解」


 なんか嫌な予感するんだよなー。

 貨物室がマジックミラーとかさー。

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― 新着の感想 ―
34話に ›親衛隊が正式に帝国の承認を受けたら、俺が親衛隊長になるらしい。 ›その場合の階級はなんと大尉である。 とあるから親衛隊長になったのかもしれない。
[一言] この男大尉だったのか?とちょっと思ったが船長の方か
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