第四百六十六話
ラターニア人は、約束したら死亡フラグが立つ闇金集団だ。
やたら細かいことばかりグチグチ言う嫌なやつと広く認識されている。
そもそも奴隷だった期間のせいで無知蒙昧な連中に低俗な文明だと思われている。
ラターニア語が周辺国でなんとなく通じるのは、様々な国で奴隷にされてきたラターニア人の苦難の歴史が垣間見える。
要するに他の国の言葉を取り込んだ結果、標準語的に使える言語に変化したわけである。
そんなラターニアであるが、ターニア銀行は外宇宙各地にあり国交を結んでる国も多い。
要するにラターニアに輸出したコンテンツって宇宙各地に広がるのだ。
実際、採算度外視でそういう契約にしてる。
もちろん我々のプロパガンダを広める目的である。
バトルドームも大国に相手にされない小国の互助会だ。
バトルドームを経由した情報は小国にあっと言う間に広がる。
要するにラターニアやバトルドームと友好関係結べた我々って運がいいのよ。
さらに言うと、俺ら銀河帝国の新しいお友だちになった太極国もいる。
太極国も銀河の超大国からは遠く、無知蒙昧なヤカラにさげすまれている。
でも国交結んでる国は多いからコンテンツ輸出しまくり。
もうね、表立っては言わないけどさ。
「ゼン神族って感じ悪いよね~」って感じだ。
俺らからするとラターニアも太極国もバカにしたものはない。
むしろ大国はたいへんだなあって感じだ。
ラターニアはプローンへの仕打ちで少し印象悪かったが、話し合えばどう考えてもプローンのは自殺だった。
ラターニアから金借りて踏み倒せるわけねえだろと。
太極国は敵対から始まったが、長年の膿で出会ったときにはもう詰んでたわけである。
海賊ギルドは犯罪者だが、取り締まるべきものとそうじゃないものをちゃんと分けて考えてる。
印象が変わらないのはヤンキー国家の鬼神国くらいだろうか。
例えば、食堂でなに作ろうか考えてたところに現地採用の鬼人国人の兵士がやって来る。
「准将閣下! 勝負を申し込む!」
「いいけどはやくしてね。おなかへったのよ」
殴りかかってきたので、横によけてヒジの内側に思いっきり手刀を振り下ろす。
体勢が崩れ兵士の体が浮いた。
そのまま床にびたーん!
これぞ呼吸投げ(腕力)である。
「はい失格。次はカトリ先生に認められてからね」
「くそおおおおおおおおおおおおッ! やっぱつええええええええ! レオの兄貴! 一生ついてきます!」
うれし涙を流しながら感激してる。
やめろ、うぜえ。
でさ、一人相手にすると何人もの鬼神国人が来た。
「俺も俺も! おい! レオの兄貴が喧嘩してくれるってよ!」
「てめえらふざけんな! 俺はハラ減ってんだよ!」
「みんな行くぞ! レオの兄貴は化け物だ! 卑怯なんて言わせねえ!」
バカどもの集団が突っ込んでくる。
「ちょ、おま! ざけんな!」
もうね、鬼神国でも俺に勝負を挑むのは猛者だ。
記念受験で帝国大学よりは上のレベルだ。
しかたないので最初に突っ込んできたやつ目がけてスピアータックル!
持ち上げて後ろの連中にぶん投げる。
「ば、バケモンか!」
うるせえ!
俺は後ろから木刀持って音を立てないように近づいてきたアホに後ろ蹴り。
あ! 反則!
その隙にヘッドロックした。
「ねえ、武器は使用禁止って全隊に通告したよね?」
俺は「素手なら相手にしてやる。武器使ったらぶち殺す」と通告してある。
ギリギリと頭をしめ上げる。
「あ、兄貴相手に素手なんて絶対に無理うぎゃああああああああああああああああああッ!」
ヘッドロックだけでノックアウトしてやった。
「てめえら、ちょっとオシオキが必要なようだな」
「い、いや待って! そいつが勝手に……」
「うるせえ! 連帯責任じゃい!」
その場で10人ほどをボコボコにする。
全員を正座させたら「あざっす!」と元気に言われた。……蹴りたい。
思いっきり民放に撮影されてたが気にしない。
『※鬼神国の文化です』というテロップが入ることになってる。
この放送のせいで俺は【ウルトラバイオレンス将軍】扱いされてるんだからな!
意味わかんねえよ!
俺悪くねえだろ!
軍の労働局に反省文書かされたしさ!
なんで【銃持ちだしたバカがいたから全部避けてその場で気絶するまでぶん殴った】だけで怒られるのよ!
【テーザーだからいい!】じゃねえよバカ!
一発目で肋骨三本折った?
知るか! 首の骨へし折らなかっただけ感謝しろ!
なお、鬼神国人は俺と戦って生きて帰ると地元で勇者扱いなんだって!
迷惑ですぅーッ!
でだ、困ったこともあった……。
この辺まで詳しく報道されたせいで、会ったこともない国の人に我が銀河帝国は【鬼神国を凌駕するウルトラ蛮族】と思われはじめた。
【親友】のサリアきゅんに抗議する。
「え? 蛮族? だってあの悪名高いゾークとプローンを従えたんでしょ? そりゃそういう風に思われますわ。あのね! レオさんはね! あなたは突如として異世界から現われた伝説の魔王の自覚がないんですよ! あんたらどさくさ紛れに海賊ギルドまで手にれちゃったし」
存在を認めただけだっての!
犯罪は取り締まるって宣言したし。
うちらに警察権ないから基本スルーだけど。
「ゾークとはちゃんと終戦交渉で併合したし、プローンは学術的な興味と国内世論の要請で保護しただけです~」
ちゃんとワンオーワンと合意文書交わしたもん!
成人するまで嫁ちゃんが保護者です~ってやつも。
「そもそもどの国家とも敵対してないでしょ!」
「レオさんと敵対した勢力はきっちり滅んでるじゃないですか! なんすかあのドラマ! 大人気すぎてどん引きですわ!」
「儲かったでしょ?」
「儲かりましたね……」
「じゃあ、いいじゃん!」
「いやそうですけど……だいたいね! あんたいつの間にか翻訳機使わないで鬼神国語でしゃべってるじゃないですか! 怖えよ!」
「ラターニア訛りの鬼神国語だけどね。今は太極国語学んでるとこ」
「そういうところですからね! 本当にそういうところですからね!」
「俺は他国と仲良くしただけなんだって! 話も聞かんと喧嘩売ってくるから、喧嘩できないように追い込んでるだけで」
「私はレオさんのことよく知ってるから仲良くしたいってのが嘘じゃないのわかってるんですけど! 他の文明からしたら怖いんですからね! 銀河帝国ってやたらフレンドリーな悪魔でしょが! ラターニアの数倍怖いですからね!」
別にこちらはゼン神族とだって今までの件を水に流して友好国になる用意があるのだ。
ラターニアや太極国、鬼神国にクロノスからの報復に関してはうちは知らないけどね。
それは別件。(ゲス顔)
さーて、もうちょっと追い込もうかな。
なにか言い分あるかもしれないし。
まずはクロノス解放からだ。