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第四百五十二話

 結婚式に遺跡の発掘にリコちの撮影とバカンスは……バカンスってなんだっけ?

 とにかく半分仕事のバカンスが終わった。

 シーユンは太極国との通商事業を立ち上げ、最初の貿易相手としてカミシログループと手を結んだ。

 というかね!

 カミシログループしかリスク取らないの!

 嘆かわしいことである。

 つってもカミシログループは冒険野郎な大手商社と提携してる。

 冒険したがる会社はすでに外宇宙進出済みなわけである。

 化学系ではカチヤのくれた生体金属の研究をラターニアと鬼神国も加えて共同で行うことになった。

 実質なにもしてないのに自分の功績になる謎。

 政府高官の生活怖い!

 惑星サンクチュアリへ。

 宇宙船も足が速くなった。

 ラターニアからの提供された技術のおかげだ。

 惑星サンクチュアリの近くのゲート用に宇宙港のコロニーが作られていた。

 ここで検疫や出国手続きをする。

 たとえ皇帝陛下でもこの手続きはパスできない。

 ここからは軍艦に乗り換える。

 なぜか出陣式のセレモニーが開催される。

 帝国人は相変わらずイベント好きである。

 嫁ちゃんが原稿を読み、惑星サンクチュアリを管理してる団体の長や俺が後ろに並んでる。

 シーユンは外国の要人席、ゾークマザーのワンオーワンも招待客の席にいる。

 准尉から少佐まで階級が可変、シュレディンガーの士官と化したタチアナだけみんなと一緒に軍人の席にいる。

 しかたないじゃん!

 少尉には士官学校の単位が足りず年齢制限もクリアしてない。

 かといって外国の聖女だ。

 宗教的に重要な存在なのである。

 いつまでも下士官や准尉にしておけるはずもない。

「せめて佐にしろ!」って意見と「いや教育終わってない子どもに仕事させるのやめようぜ」って意見がぶつかる。

「もう特別職の少佐でよくね?」という意見も多数。

 俺は特別職の少佐に一票。そしたら即座に仕事押しつける。

 クズだっていいじゃない。だって准将だもの。仕事したくないもの。

 だって大佐のエディには俺の仕事半分回してるけど、中佐のリコちは憲兵隊の責任者で忙しくて手伝ってくれないんだもん!

 憲兵隊ってさ……死ぬほど書類の量が多いのね!

 うちの艦隊って民度高いのに……。それでも軽く死ねる量。

 そして少佐の皆さんはそれぞれに仕事で忙しい。

 もっと中佐や大佐を寄こせ……。いや少佐が増えるだけでもいい。

 とにかく仕事を減らしたい。(血走った目)

 とりあえず遺跡の発見で予定が変更になった。

 俺は実家に里帰りしなくてよくなった。

 サム兄の統治には問題ないし、問題はおかんくらいだろう。

 親父の正妻である。


「ママン! だいしゅきー!」


 という距離感では決してない

 あのババアは俺たち兄弟の子育てを、執事や住民、さらには子守用のドローンに丸投げした。

 だけど、嘘をつくな言い訳するな雄々しく生きろと常識を叩き込まれた。

 鉄拳制裁つきで。

 おかげで嘘つきで言い訳しまくる漢に育ったわけである。(はなほじ)

 ママー! 今どんな気持ちぃッ?(白目でダブルピース)

 一応、向こうは俺を息子であると思ってるようではある。

 距離感に戸惑ってるのは俺の方である。

 いや母親とは思ってるのだが、距離感がね。

 おかんの実子を押しのけて本家の当主になっちゃったわけである。

 レオ、どう接していいかわからないよぉッ!

 で、手続き中の時間におかんから連絡が来た。


「なぜ里帰りしなかったのです?」


 いきなり不機嫌である。


「重要作戦内容につき詳細は言えませんが事件が起きました」


 むしろ事件しか起きてない。


「……なるほど。そういうこともあるでしょう。ではもう一つ、子どもはまだですか!」


「俺だって我慢してるんすけどね!」


 チューまでしかしてませんっての!

 医師のゴーサインが出るまで鉄の意志で我慢してるんだっての!


「いいですかレオ、女性を幸せにしなさい!」


「親父への間接的攻撃がオーバーキルすぎる!」


「あの人は……もうあきらめてます……父のようにだけはならないようにするのです! わかりましたね!」


「わかってるって!」


 どうやら親父はダメ男決定のようである。


「漢なら愛するもののために死ぬのです!」


 あー、うん。

 俺のこの性格、ババアの影響だわ。

 俺わかっちゃった。


「聞いておりますよ。クレア嬢、メリッサ嬢、レン嬢、それにタチアナ嬢にワンオーワン嬢に外国の姫君まで……さらには元男にまで手を出したとか……」


「レンより後は外野が勝手に言ってるだけです!」


「いいですかレオ!」


 反論したけど聞いちゃいねえ!

 おかんは続ける。


「男に生まれたからには全員を幸せにしなさい!」


 クソー!

 母親の思想教育で俺はこうなったんだ!

 ド畜生!


「父のようになるんじゃありませんよ」


「ところで母上、どこからその情報を?」


 これが一番の疑問である。

 いや俺のゴシップは死ぬほど出回ってるが、おかんのはヤケに具体的だ。


「もちろん全員から直接です! ケビンちゃんだけは否定してますがね! ですが脈ありと見てます!」


「あんたなにやってんの!」


 諜報能力というか、コミュニケーション能力が高すぎる。

 部下に欲しいレベルだ。


「いいですか! 皇帝陛下のためにも宇宙一の漢になりなさい!」


 男坂駆け上がるのぉッ!

 やだ、いやじゃああああああああ!

 絶対死ぬから嫌じゃああああああッ!!!

 すでに何回死にかけたかわからんレベルで死にかけてるから嫌じゃあああああああッ!

 という疲れるやりとりをしてグッタリしながら食堂へ向かう。

 メシ……食う。オデ……ツクル……。

 もはや人間をやめながら食堂へ。

 客船のはずなのに俺たちの調理道具が置かれてる。

 米……炊かれてる。

 味噌、醤油……アル。

 カワゴン焼きおにぎりツクル。

 米を握って味噌つけて網で焼く。

 食中毒防止のためにちゃんと手袋つけて握ってるんだからね!

 あ、アンタのためじゃないんだからね!

 意味不明なツンデレのおかげで正気が戻ってきた。

 味噌だけじゃなくて醤油味も作る。

 俺が料理してるとワンオーワンたちがやってくる。


「くださいであります!」


「ほいよー。おかずはまだ作ってないぞ~」


 絶対カツアゲされると思ってた。

 多めに作ってるもんね~。

 ふむ、味噌汁と玉子焼でも作るか。

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― 新着の感想 ―
ぶん殴りたい母親だなぁ(#^ω^)
ケビンって仮に男に戻る技術が提供されたら、男に戻るのか? レオに対する気持ちは? もはや、男にこだわりが無いのなそのままかな。
やったね! 人不足対策にいい人材いたじゃないですか。ママンを徴兵して情報部に配属ですなあ。
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