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第四百二十六話

 里帰りである。

 イソノと中島は婚約者の実家に連行される予定だ。

 結婚するみたい。

 エディはミネルバちゃんの大学始まる前に籍入れちゃうそうだ。

 なんか特に男子どもなんだけど、さっさと結婚しやがれっていう圧力がかかってるようだ。

 いやね、原因は俺なんだ。

 別に悪いことしたわけじゃない。

 ラターニアとか鬼神国の写真集出したのよ。

 国営放送の出版部から。

 グラビアじゃなくて紀行写真集。

 現地の人たちも写ってるけど、メインは風景とか建物とか文化とか。

 遺跡とか、ラターニア教会とか、もちろんラターニア人の伝統衣装とか人種の紹介もしてる。

 鬼神国なら鬼神国の伝統衣装を着た女性とか、鬼神国のお侍様とかも。

 かなり真面目な本なんだけど紙版だけでも1億部出てる。

 電子入れると把握できない。

 ほぼ全世帯が購入したのではないかと言われてる。

 そしたらエキゾチックな鬼人国女性とか、全体的に美形が多いラターニア人とかが知れ渡ってしまった。

 さらにシーユンのインタビューを国営出版からムックで出したわけだ。

 これ国内向けのプロパガンダ。

 そしたらこれも恐ろしい勢いで売れた。

 太極国は復興中のため壊れた建物とかを中心に撮影した。

 そしたら男子の親も婚約者たちも焦ったわけだ。

 絶対浮気する。

 外で子供作るって。

 気持ちはわかる。

 だから結婚を急がせたわけだ。

 実際はラターニア人のヤバさを知ってる我々高級士官は外で子どもを作るという発想はない。

 鬼人国人も女性をゲットするのに腕力で勝たねばならないのを知ってる。

 タダですむわけねえだろが!!!

 なお太極国人は調査が進んでないためよくわからない。

 ただ銀河帝国人とあまり変わらない文化のようである。

 でも手を出すだけの接点は存在しない。

 屍食鬼問題も解決したし、そのうちハニートラップ仕掛けてくるだろうけどさ。

 ということで男子は結婚準備で忙しい。

 ようこそ既婚者の世界へ!!!

 さてすでに既婚者の俺は問題なし。

 クレアたちとの結婚はまだだけど。

 そもそもクレアたちが結婚する暇がないのである。

 でも結婚は決まってる。

 だから実家にご挨拶。

 嫁ちゃんは後宮に挨拶に行ったので終了。

 次はクレアの両親が住む帝都のマンションに行く。

 現在、クレアのお父さんは俺たちの会社の実質的経営者として帝都に常駐してる。

 そこは帝都の一等地。

 戦争で再開発した地域である。

 そこの高級タワーマンションの最上階にクレアのお父さんとお母さんが住んでいる。

 クレアは私服。


「礼服の方がいい?」


 って聞いたら


「私服で来て」


 と言われたので私服でクレアの実家へ。

 リムジンで向かう。

 区画整理前だったらリムジンで行くのは無理だっただろう。

 今は大きな道路でスイスイ行ける。

 マンションの下で護衛のレイブンくんたちと別れる。

 クレアの両親に迎えられる。

 クレアの家は伯爵になった。

 大公の嫁の実家が準男爵ではまずかろうという話になったのだ。

 同じ理由でメリッサの家も伯爵になった。

 俺は帝都のデパートでようかんと葛餅を買って持っていく。

 あとでワンオーワンとタチアナとシーユンに強奪されるのでみんなの分も買っておく。

 こっちは後宮に送ってもらう。

 クレアのお父さん、少し血液検査の結果がよくないらしいけど「たまにはいいでしょ」とクレアは笑ってた。


「どうも大公閣下」


「レオでいいです」


「そうですか。ではレオくんで」


「お義父さん。これどうぞ」


 ようかんと葛餅である。


「これはこれはお土産まで。ようかん! 好きなんですよ!」


「お父さん、甘党なんだ」


 クレアが笑う。

 だろうね。

 だってクレアの家って、もともとイチジクとか柑橘類とかブルーベリーとかの園芸果樹扱ってたんだもの。

 加工品のジャムとか売ってるし。

 甘党のフルーツ好きじゃなきゃ、あそこまで商品開発できないだろう。

 さあ、婚約者の親との会話だ。


「それでレオくん、この販売戦略なんだけど」


 どうしても仕事の話になってしまう。

 直接会わないとできない話もあるよね~。

 クレアの両親は、「娘は渡さん!」みたいなノリじゃない。

 穏やかに仕事の話をする。

 男ってだめな。

 どうしても仕事の話になっちゃう。

 でもいいか。


「ラターニア人はスパイシーなものがとにかく好きなので、帝国では不人気なお菓子もどんどん輸出して大丈夫かと」


「レオくん、それじゃ高麗人参味シリーズとかは?」


「たぶん好物ですね」


「へぇ~、あれがねえ。世の中広いもんだねえ」


 なんて話をしばらくしてた。

 夕飯まで頂いてクレアと帰る。

 クレアも作ってくれた。

 彼女の手作り料理の実績解除である。(調理当番時の料理は含まないものとする)

 マンションの下で警備してたレイブンくんたちと合流。

 先にお金渡して「交代で食事行ってきてね」って言ってあるので不満はなし。


「帰ったらようかんと葛餅あるからね」


「お気遣いありがとうございます」


 あとお酒とおつまみも注文しておいた。

 デパートオススメの日本酒セットである。

 みんなで楽しんでね。

 監視されてる俺たちは飲めないけどね!!!

 それにしてもデパートであるが、音声チャット窓口で「帝国軍のレオ・カミシロですが義両親へのお土産と隊員の分と護衛の騎士団の……」って聞いただけで「じゅ、准将閣下! た、ただちにご用意いたします!」と全てセッティングしてくれた。

 俺も偉くなったものである……。

 秘書さんと専属の文官さん本気で欲しいかも。

 リムジンで後宮へ戻る。

 いろいろバグってるが考えたら負けだと思う。

 後宮につくとワンオーワンがお出迎え。


「ようかん! 葛餅!!! であります!!!」


 お預けされて頭がバグってるようだ。


「先に食べてよかったのに」


 そう言うとタチアナが笑いながらやってきた。


「ワンはみんなで食べたいんだって」


「そうであります!!!」


「ワンオーワンはいい子だな~!」


 頭をなで回す。


「はやくはやくであります!!!」


「はーい」


 みんなでようかん&葛餅タイム。

 うーん、甘味が体に染み渡る。

 次からは惑星移動だ。

 まずは一番近いレンの家だな。

 マルマくん元気かな?

 いやー、本当に、心の底から平和っていいなって思うわ。

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― 新着の感想 ―
命懸けで手に入れた平和だもんなぁ…矢張り平和は良いもんだ
絶対浮気して子供作るって? 塩基配列とか・・・ 鬼神国人やラターニア人と子供を作るくらいなら庭の柿木と作る方が簡単だと思うけどね。
>クレアの家は伯爵になった。 大公の嫁の実家が伯爵ではまずかろうという話になったのだ ここ陞爵前後が両方伯爵なのでおそらく前者が間違ってると思います。
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