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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第四百一話

 聖女作戦が決行された。

 作戦は至ってシンプル。

 不法侵入して勝手に装置起動である。

 ほぼ工業学校生が造形プリンター使いたさに学校に不法侵入するのと同じである。(そしてだいたい作るのはくだらないものだ)

 違いは大義名分かあるかないかくらいだろう。

 まずは尊皇を叫ぶレジスタンスのところに行かねばならない。

 こっちは交渉次第で不法侵入にならないし。

 でもなー、尊皇掲げてる連中が本当に尊皇かはわからんのよ。

 単に政府批判のための尊皇かもしれない。

 皇族が弱くて支持されてないなら、自分たちが皇帝になったっていい。

 そう考えることを非難できない。

 それだったらそれでもいい。

 シーユンには帝国で暮らしてもらう。

 仮にそれが俺のワガママだとしても、今の俺だったらワガママを通す権力はあるはずだ。

 通らないなら鬼神国やラターニアの子になったっていい。

 そのくらいの覚悟で臨もうと思う。

 会談は遺跡のあった惑星のすぐ近くで行われた。

 直接来いってさ。

 場所は集落の建物だ。

 そこにアジトがあるらしい。

 俺は護衛、護衛の護衛でレイブンくんにエディにイソノ中島にメリッサに……。

 なぜかカトリ先生までやって来た。

 タチアナとシーユンの護衛がワンオーワン。

 ワンオーワンの護衛にケビン率いる女性型ゾーク軍団と共和国の皆さん。

 つまりゾークが護衛である。

 このメンバーだけで惑星乗っ取れるような気がするが気のせいに違いない。

 村に着くと兵士に建物に案内される。

 俺は礼服を着て険しい表情で先頭に立った。

 するとシーユンが声を出す。


「太極国第三皇子、シーユンだ」


 シーユンは太極国の礼服だ。

 本人の希望で輿はなし。


「私は太極国第三皇子ですが、同時に銀河帝国の軍人でもありますので」


 なんか成長したな。

 お兄ちゃん感動で涙が止まらないよ。

 なお、なんでシーユンを未だに銀河帝国の兵士のままにしてるかといえば、引き渡し要求されても「うちの軍人だもん」と突っぱねるためである。

 そのために外堀埋めまくった。

 帝国士官学校に籍をねじ込んで国費留学生にした。

 タチアナとワンオーワンと同じクラス扱いだ。

 そして太極国とはまだ国交がない

 ちゃんとバトルドームや鬼神国やラターニアとは国交結んだし、同盟組んだもんねー!

 プローンも代表者と文書交わして国交樹立済み。

 星の借地権もちゃんと払ってる。

 レイモンドさんに法律こねくり回してもらって、官僚にもがんばってもらった。

 はっはっは!

 我らに死角なし!!!

 そんなことを考えてるとレジスタンス側の代表者が前に出た。

 なぜか仮面の男も一緒だ。

 こちらが大所帯だから人数合わせかな。


「市民軍のウーです。元はラターニア方面軍の将軍を拝命しておりました」


「よろしく頼む」


 シーユンが言った。

 ウー、ウー将軍としておこうか。

 脂肪の乗った筋肉質のヒゲ面。

 いかにも豪傑といった容貌だ。

 ウー将軍と仮面の男は膝をついて拱手した。


「第三王子殿下にはぜひ目通りいただきたいものがおります。さ、仮面を取りなさい」


 男が仮面を取った。

 眼帯をつけた若い男だった。


「あ、兄上!!!」


「え? 皇子殿下?」


「あ、いえ、違います……違う。レオ殿、紹介する。生家の長男、フィンだ」


 そう言うシーユンの声は震えていた。

 涙が頬を濡らす。

 生家……お、おおう?

 あ、将軍の家の……。


「殿下。お久しゅうございます」


 こちらも泣いていた。


「今だけは兄上と呼んでも」


「もちろんにございます!」


 感動である。

 だからお邪魔虫は退散。


「メリッサ、ワンオーワン、タチアナ。ここまかせていい?」


「お、おう! まかせろ!」


「ウー将軍、二人きり……ってのは難しいでしょうけど、最低限の護衛だけにしてあげたいのですが。積もる話もあるでしょう」


「異国の方の思いやり、ありがたく思います。さ、行きましょう」


 なんて言われて建物の外に出る。

 エディやイソノ中島など男衆もゾロゾロ出る。

 建物の外ではすでにカトリ先生が兵士たちと酒盛りしてた。

 おっさんの圧倒的陽キャ力に脱帽である。


「先生……なにをしてるのでありますか?」


「うん? 外交」


「ぎゃははははー! 大公様! 銀河帝国にはおもしれー人がいますなあ!」


 酔っ払いが笑う。


「……なんだかスミマセン」


 ウー将軍は脱力しながら赤面してた。


「こちらもなんかスミマセン……」


 俺も赤面。

 もうね、おっさんども仲良しである。

 カトリ先生、俺すら知らん太極国の歌を歌ってる。

 これが大人のコミュニケーション能力……だと……言うのか?


「なーなー、レオきゅーん。お酒持ってきて~」


 あー、もー、しかたねえな!!!

 戦艦にいる嫁ちゃんに連絡。


「嫁ちゃん! 大至急お酒送って! あとおつまみも!」


「あ、ああ、婿殿……苦労をかけるな……」


 なんだろう。

 感動の兄妹再会がおっさんの宴会になっちゃったよ!!!


「お酒の配達要請しました。ウー将軍、ここに着陸しても?」


「も、もちろん。……ご苦労をおかけします」


 はっはっは。

 いいのよいいのよ。


「帝国の酒が来るぞー!!!」


「ラターニアのも頼みました。おつまみも!」


「ひゃっほー!!!」


 もうグダグダ。

 でもいいや、なんかウー将軍の人となりが理解できたような気がするし。

 ウー将軍、部下に頼られちゃって断れない系のおっさんだわ。


「誠に申し訳ありませんが……大公閣下には猛烈な親近感を抱いております」


「同感です」


 ボクらズッ友だよ。

 でもよかった。

 ジェスターが生存できる空間で。

 そこに希望がある限り理不尽に強いのがジェスターなのである。

 市民軍の兵士たちと話をする。

 兵士に蜂起した理由を聞く。

 彼らの部隊は屍食鬼の餌にされそうになったそうだ。

 危うく全滅するところをラターニアの援助隊に救われ市民軍へ。

 そんな人が多かった。

 あとは「家族の仇を取りたい」とか「故郷を取り戻したい」なんてのだ。

 最近まで故郷を取り戻す戦争してた俺たちは、そんなの聞いたら全力で同情するしかない。

【わかるー!】の連続である。

 そのうち物資も来てどんちゃん騒ぎが続く。

 シーユンたちが建物から出てきた。

 目が腫れたシーユンを女子たちが世話してた。


「悪かったな。今度は俺たちが……」


「ちょっと男子~。触らないで~。いいから隊長、まかせろよ」


 メリッサが笑った。

 シーユンも笑顔になる。

 宴会から抜け出してウー将軍に案内された遺跡をタチアナと起動。

 ここまでは楽だったんだよな~。

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― 新着の感想 ―
まぁレオきゅんが出張って来た戦場で平穏無事に事が終わるなんてあり得んわな(泣)
カワゴン友の会、一人追加〜!!w 引きが不穏だけど気にしたら負けって事で
不安なラスト!? そのままでええやん(苦笑)
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