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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第三百六十四話

 寄生虫の生態はわからないけど、宿主を操ってるのは確実である。

 つまり寄生虫問題さえどうにかなれば勝利は見えてくるはずだ。

 我が帝国は惑星開拓のたびに新たな寄生虫に辛酸をなめさせられ続けた歴史がある。

 つまりだ。調査にバカ強かった。

 共通点の洗い出しから治療法。

 寄生虫への感染防止など。

 いくらでも対策を持っているのである。

 ……帝国って医学強すぎね?

 そりゃジェスター作り出すくらいだからな。

 というわけで共通点。


【子どもは感染しない】


 ガキの方が抵抗力弱いんだけどね。

 理由はわからない。

 それと感染者の多い地域も推定できた。

 捕獲した蚊の生育適性温度なんかを実験したのよ。

 あと湿度とか、産卵条件とかね。

 あとはラターニアからもらった気象データから推測する。

 ラターニアの所有する惑星で試したら、おおむね正しかった。

 ラターニアと情報共有ね。

 ラターニアとの共同研究として発表した。

 なんかラターニア内部でも【この借りどうやって返せばいいんじゃ! 帝国に返済できねえぞ!!!】って意見が上がってもめたらしい。

 交換条件出さなかったのがまずかったかも?

 一晩考えて嫁ちゃんに相談。

 ラターニアと【二国間の学術研究の協力覚え書き】を交わした。

 帝国大学と共同研究するよ。

 文系も理系もね。

 いいのよ。兵器の製造技術とかは民間が持ってるし。

 ラターニアだってくれって言わないし、自分のとこの情報は出さない。

 お互いめんどうくさい性分の国だからその辺の距離感はわかってる。

 うちら帝国の取り扱い説明書である法律や文化も学んでくれればもっとやりやすくなるし。

 帝国は宗教持ちこんで宗教侵略する気はない。

 帝国人だって葬式の時と地域の縁日、あと大晦日と正月くらいしか付き合いがない。

 知らないところで新たなカルト宗教が爆誕する方がリスクが高い。

 これは返済だからかラターニア内部の帝国文化を危険視してる戦力も口をつぐんだ。

 グミキャンディーの追放運動とかアホなことやってた団体すら大人しかった。

 ……お前ら本当はグミキャンディー好きだろ?

 ま、俺たち帝国はラターニアでは【模範的国家】って位置づけらしいよ。

 せいぜいアホなお姉さんが数人逮捕されたくらいか。

 元男性たちの方は今のところトラブルなし。

 ラターニア人でも夜の店のトラブルは多いから、まだマシな方って感じみたい。

 さてラターニアで成功したので、今度は太極国。

 太極国は帝国と同じく皇帝がいるみたい。

 各地の豪族が【大王】を名乗ってるので【皇帝】って訳されたようだ。

 嫁ちゃんと同じ感じかはわからない。

 太極国の【太極】は【天と地】って意味みたい。

【天と地を支配する偉大なる国】って言いたいんだと思う。

 どう名乗ろうが自由だと思う。

 それにイチャモンつける気はない。

 でだ、太極国の持ってる惑星の気象データと地形データからヤバそうな場所をピックアップ。

 それとイーエンズ爺さんからもらった皇族の居住地データなどからリスクを計算。

 すると感染リスクの低い第三皇子、ミン皇子が浮かび上がってきた。

 とここまでわかったところでイーエンズ爺さんとの前回の会談ね。


「イーエンズさんはミン皇子を守ってください。こっちで屍食鬼の感染リスクを報道して揺さぶって、反応があるようだったらミン皇子を皇帝にするために動いてください」


 すでにラターニアとも相談済み。

 いや屍食鬼に乗っ取られてたらこれ以上ないくらい正当性あるし。

 こちらとしてはイーエンズ爺さんが故郷を救いに来たシナリオをすでに作っている。


「やつがれが復讐を果たすことにしたら……皇子を亡きものにしたらどうなされますか?」


「計画変更するだけですよ。海賊の地位を一つ下げて計画から排除。別の皇子を探します」


 その辺は俺が決めることでもない。

 国際情勢なんてなるようにしかならん。

 俺たち帝国は神でも仏でもない。

 自分たちの都合のいいように世界が動くなんて思ってるわけねえだろと。

 イーエンズ爺さんの結果がどうなろうと恨む気はない。

 部下をまとめきれなかったとかは予想の範囲内である。

 そこらへんのリスクは織り込み済みだ。


「別にいま返答される必要はありません。帝国はどう転んでもいいようにしておりますので」


 帝国の本音である。

 最悪全面戦争になっても勝てそうな気がするんだよね。

 だって首脳陣……予想だと感染しまくってるもん。

 その状態でまともな戦略立てられるかな?

 公爵会クラスの烏合の衆になるんじゃないかな?

 一度戦ったからわかる。

 そしたら、ちょっと面倒だけど少し戦って社会不安あおって地方豪族のクーデターを起こさせてもいい。

 支配する気なんてねえし、責任を取るつもりもない。やりたい放題である。

 あとは対戦型リアルタイムシミュレーションゲームと同じ。

 索敵しながら小規模抗争繰り返して相手を疲弊させる。

 大事なのは相手の細かい情報まで得て相手の手を予想すること。

 相手の計画を邪魔しまくってチャンスが来たら倒せばいい。

 戦略シミュレーターで数百回同級生に負けて続けて編み出した手だ。

 わかるな! 俺は大軍を率いるのが苦手だ!

「もうバフかかればいいし置いとけばいいんじゃね?」とか言われてるからな!


「レオくん……どうして横綱相撲ができないのかな……? 大公なのに」


 妖精さんにも呆れられた。


「わからにゃい……」


 カワゴン……どうしてこうなのか自分でもワカラナイ。

 さて、イーエンズ爺さんと話が終わったので嫁たちに会いに行く。

 最近、仕事が忙しすぎて構ってあげられなかった。

 反省!

 食堂にレンがいた。

 オーブンで肉焼いてた。


「なんの料理?」


「旦那様! ローストビーフ焼いてます。味見します?」


「うん」


 レンはビースト種なのでタンパク質の必要摂取量が多い。

 なので自分で肉料理作ってることがある。

 切ってくれて皿に盛ってくれる。

 ローストビーフうみゃい。

 これローストビーフじゃなくてシュラスコーじゃねとか余計なことは考えない。


「美味しいよ。ありがとう!」


 レンは耳をピコピコさせてる。

 喜んでくれた!

 ふと後ろを振り返ると皿を持ったメリッサがいた。

 カトリ先生の道場の稽古帰りみたい。


「……食べる?」


「おう!」


 レンも「しかたないなー」って顔して切り分ける。

 嫁どうしの仲は悪くない。

 うーん平和平和。

 はっはっは!


「あ、おにくーであります!」


「レオの兄貴くれ!」


 腹ぺこが来た。


「すまん、追加は俺が作るわ……」


 レンはクスクス笑っていた。

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― 新着の感想 ―
今回の肉料理をシェラスコかローストビーフかと問われたら普通にローストビーフじゃね?とか思ってしまう私が通ります オーブンで焼いていると言っているし串にも刺しているとも言わないのでそんな感想
しかしここまで情報出揃ってくるとあの接触してきた屍食鬼の意図が気になるな…興味本位にしては情報渡しすぎだし何か有りそうなんよね。
そういや、帝国って惑星開拓に極端に積極的でしたね …なんかどっかの砂の惑星の巨大ワームみたいな危険生物が多種いる星も開拓してたり、開拓の為にお手軽人体改造編み出したり
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