表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/535

第三十六話

 公爵家の軍権を預かってしまった。

 するとこれまで連絡のなかった嫁から通信が入った。

 嫁は頭と腕に包帯を巻いていた。


「婿殿ぉッ!!! 放って置いたらやりたい放題だったらしいのう!!!」


「えっと、痛くない? 大丈夫?」


「……そういうとこじゃぞ」


「え?」


「そういうとこじゃぞ!!! この女たらしが!!!」


「えー……」


「ええい、たいした怪我じゃないのじゃ! 揺れたときに倒れて骨が折れただけじゃ! 妾は幼生固定のせいで骨が弱いのじゃ!」


「寝てないと」


「もうほとんど治ったわ!!! ええい、それより公爵が討ち死にしたじゃと?」


「バイタル停止したって。レンとの約束果たせなかった」


 センサー付きの戦闘服の故障とか脱いだ可能性はあるけど……普通に考えれば討ち死にしたよね。

 ギャグ世界の住人じゃなさそうだし。


「レンはなんと?」


「母親と弟を助けてくださいって。怒られなかったのが逆に精神にくる……」


「できなかったことを悔やんでもしかたない。いまできることにベストを尽くすのじゃ」


「……嫁ちゃん」


「なんじゃ?」


「嫁ちゃんと結婚できてよかった」


「じゃろ? 妾は宇宙一のいい女じゃからな!」


 嫁はすっかり機嫌がよくなった。


「で、婿殿。なにか作戦はあるか」


「今のところないッスね。ここで待ち構えるくらいかな?」


 ここなら狭いからカニちゃんと戦うのに有利だ。

 こちらも狭すぎて中でロボを使えないのが玉に傷だが。

 それでも実弾兵器と弾がたくさんあるからマシか。


「わかった。こちらで作戦考えておく。マルマと話し合いじゃ!!!」


 マルマ様を呼んでくる。

 あ、冷静に考えたら俺は現役当主だから俺の方が立場が上なのか……。

 やめとこ。偉そうにするとあとで報復されそうで怖い。

 恨みを買うようなマネはしないのだ。


「んじゃ俺はこの辺で……」


 と行こうとしたらマルマ様が来た。


「レオ様。もう一台見つかりました!!!」


 え、やだ!

 ジャンル違い!!!


「……リニアブレイザー?」


「ええ、もう一台ありました!」


「決まりじゃな」


 嘘だろ……。


「操縦マニュアル……ある?」


 覚悟を決めよう。

 それしかないもんね!!!


 マルマ様と別れた俺はマニュアルを読み込む。

 基本一人乗り。

 複座型にも対応で、その場合は副操縦士はデスブラスターの射手になる。

 クレアが体調不良のため、今回は俺一人で行こうと思う。

 マニュアルは今だと使われない言葉が頻繁に使われている。

 ちょっとした考古学気分だ。

 レイヤーに翻訳アプリを使って解読していく。

 解読してAIで検証するが最終的には俺が文意を決定する。


「ふう、なになに。【本機体はジェスター専用機です。】」


 見なかったことにしよう。

 またもや、このリアクション芸人めが求められているようだ。死ね!!!

 伍長に案内されて列車の操縦室に入る。

 操縦はいつもの専用機と同じだ。


「列車部分はAIか」


 マニュアルを読みこんでいくと徐々にこの機体の意図がわかってきた。


「輸送機やん」


 リニアブレイザーは攻撃機能付きの輸送機だった。

 そりゃそうか。

 普段は全力で走行して、ゾークとの戦闘が避けられなくなったら合体すると。

 デスブラスターは敵に使う用途もあるけど、道が崩されたときに逃げ道作る用途が大きい。

 なるほどねえ。

 ……ってマニュアル見たら【デスブラスター】じゃなくて【トンネルボーリングブラスター】じゃねえか!!!

 工事用じゃねえか!!!

 さて……、工事車両と言えば俺である。

 我、人型重機使いぞ!!!

 前の夏休みに玉掛け講習受講済みぞ!!!

 ということで発進。

 普通にぬるっと動く。

 俺操縦上手くなってる!!!


「レオ、合体シークエンス承認後発進します」


 今回はメカニックのレンがサポートしてくれる。

 クレアは寝込んでしまった。

 医師の診断では過労らしい。

 ……ごめんね。悪いの俺だわ。

 死ぬような目にあわせまくったもの……。

 女子の体力考えてなかったわ。


「レオ? 応答してください」


 おっと、考え込んでた。

 合体シークエンス【承認】っと。


「合体シークエンス承認した。発進してくれ」


「発進30秒後に合体開始します。発進」


 ホームのドアが開き発進する。


「歩兵隊。配置完了。ドローン及びタレット起動」


 Gはかからなかった。

 こりゃ快適だわ。

 ぬるっと外に飛び出すと合体開始する。


「合体開始」


 巨大ロボットの合体は浪漫である。

 これ意味あるの? とかは無粋の極みである。

 ただ俺は言いたい。


【ジャンルバグってね?】


 合体の衝撃は小さかった。

 ガシャン! ガシャン! と期待された音を立てながら、ぬるっと合体していく。

 ドンッと着地して合体完了。

 すると発信先不明の通信が入る。


「誰だ……?」


 公爵だった。

 生きていたのか!?


「皇女ヴェロニカ近衛隊傘下のものだ」


「……そうか。儂はもうだめだ。足の感覚がない。……頼みがある。マルマと娘たちを守ってくれ」


「わかった」


「儂のクローンは作らないでくれ。あれは……邪悪なテクノロジーだ」


「わかった」


「くくくくく……遺跡から蘇った悪魔よ! あまり人間をなめるなよ!!! ぐははははは! 貴様らも道連れだ!!! ……レンすまない」


「お父様の乗ったリニアブレイザーが過熱していく……爆発する!」


 まず光が見えた。

 次に衝撃が来た。

 ほぼ同じタイミングで轟音が聞こえた。

 遠くで大きな煙が見えた。

 爆風が土を巻き上げる。

 カニどもが消し飛んでいく。


「公爵のおっさん!!!」


「婿殿! 呆ける時間はないぞ!!!」


 人型重機に搭乗したピゲット少佐が怒鳴った。

 カニちゃんの群れがやって来るのが見えた。


「うす」


 ……公爵のおっさん。

 あんたがカミシロ家を敵視してたのはムカつくが、最後は立派だった。

 あんたの最後の願いは叶えてやる!


「鉄骨射出!」


 レンが駅にあった物資射出装置で工事用の鉄骨を送ってくれた。

 何に使うって?

 こいつでぶん殴るんだよ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
丸太バトルで草w
ジャンルごとのロボット副パイロットは愛人候補で担当違うのかな?
ジャンルなんぞどうでもいい。倒すべき敵がいて、熱い主人公がいるならそれでいいのです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ