表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

356/540

第三百五十六話

 妖精さんに文書を要約してもらった。

 それでもなおアホみたいに量が多い。

 おそらく確度の高い情報がないからこの量なのだろう。


「結論から言うと、海賊ギルド内の内紛ですね」


「イーエンズ爺さん関連?」


「イーエンズ大人の足引っ張りたい勢力ですね」


「イーエンズ爺さんの足引っ張ってどうすんのよ? せっかく国家と話し合いができるチャンスができたのに」


 一応とはいえ惑星プローンを手に入れて領土も持ってる。

 この銀河でも国家と言える規模になった。

 その国家とパイプ役の足を引っ張ること、それは組織の死を意味する。

 少なくとも惑星プローンとその周辺、友好国の鬼神国やバトルドーム加盟国、それにうまくいけばラターニアでも海賊が殲滅される未来が考えられる。

 俺を殺してもいいことなんてねえぞ。


「それがわからないんだと思いますよ~」


「勘弁してくれよ……」


「レオくんは公爵会や海賊みたいなのと戦い続ける運命なんですね……」


「本気でやめて!!!」


 さすがに公爵会は擁護できん……。

 それはいいとして、各勢力の動向が詳細に書かれている。

 屍食鬼は思ったよりも勢力が小さくなっている。

 これはバトルドーム加盟国が銀河帝国の支援で海賊や屍食鬼の取り締まりをしている影響だ。

 だって話が通じる海賊はまだしも、屍食鬼なんて多少知能のある害獣扱いだろ。

 プローンっていうお友だちもいなくなったわけだし。

 特に食用として狩られていた亀さんやウサギさんが、ガンギマリで屍食鬼に復讐してる。

 俺たちも止める権利もなければ意思もない。

 報告書のまとめを必死に読んでると通信が入る。

 クレアだ。


「レオ、すぐに来て」


「どうしたん?」


「ウサギさんが知能の高い屍食鬼を捕まえたって。おそらく幹部だと思う。いまこっちに到着したって」


 さーて、気合を入れよう。

 ゾークくらい闇がつまってそうな気がする。

 話し合いになるってのがミソだ。

 いままでまるで話し合いができなかったもんな。

 プローンみたいに受け答えができるレベルじゃなくて、カニちゃんレベル。

 知能が異様に低かった。

 俺が直接尋問するわけじゃないので会議室でリモート中継を見る。

 嫁ちゃんも来てた。


「今さらじゃがようやくどんな生き物かわかるな」


「だね」


 屍食鬼でわかってることは多くない。

 ラターニア人や鬼神国人など人種はバラバラで話は通じない。

 機械的な改造を施されて多くは病気にかかっている。

 捕まえても長生きできない。数カ月しか生きられない。

 それでも勢力を維持してることからラターニア人などを拉致してるのではないかと思われる。

 このくらいだろう。

 あとは改造手術であるが、銀河帝国や鬼神国の科学技術からすると噛み合わないものである。

 特に戦闘力の強化などはなく、ただ肉体を蝕んでるだけである。

 さらに寄生虫の存在がある。

 屍食鬼は体内に必ず小さな寄生虫が存在する。

 それが何の意味があるのか?

 よくわからない。

 ただ肉体への改造はこの寄生虫へ栄養を送るためのものである。

 そこまではわかった。

 尋問官は念のため防護服を着ていた。

 さらに防護服を着た銃を持った兵が控える。

 対して屍食鬼はラターニア人の男だった。

 全身に剥き出しの装置がつけられている。


「所属を答えよ」


「メインランド軍海兵隊大尉、個体名リーランドだ」


「メインランド?」


「貴様らが屍食鬼と呼ぶ国家のことだ」


「ラターニア人に見えるが?」


 するとリーランドと名乗った男が笑い出す。


「まだ! まだそこまでしかわかってないのか!!! これは傑作だ!!! プローンを理解しつくした貴様ら銀河帝国が我らの理解に及んでないとは!!! ふ、ふ、ふははははは! ならば教えてなどやらぬ! せいぜい頭を悩ませるがよい!!! 接続解除!!!」


【接続解除】

 その言葉を叫んだ瞬間、リーランドが倒れた。

 尋問官が駆け寄り、護衛の兵士が銃を向けながらブザーで外へ緊急事態を知らせた。


「死、死んでる!!! 医務官来てくれ!!!」


 尋問官が叫んだ。

 もうわけがわからない。

 どういうこと!?

 俺はサリアに通信。

 一番詳しい人に連絡である。


「屍食鬼についてですか? 私たちの方が聞きたいです」


「ですよねー」


「研究は進んでませんよ。ほとんど生け捕りできませんし。生け捕りしてもすぐ死んじゃいますし」


 結局そうなるのか。

 次はラターニアに連絡。

 ラターニア側には「ただの問い合わせです」と強く言っておく。

 いいかげん大使さんを滝汗から解放してあげたい。


「どう見てもラターニア人なのでご連絡差し上げました」


 屍食鬼は顔が崩れてたり人間の形をしてなかったりだ。

 今回はちゃんとラターニア人だったので問い合わせ。

 事前に資料は送ってある。


「ラターニア人の行方不明者のようです。民間船の船員で船ごと行方不明になったようです」


「軍歴は?」


「ございません」


 レオちゃん、いまとてつもなく嫌な予感してる。

 ものすごく怖い考えに行き着いちゃった。

 ちょっと嫌な気分になったら大使にこの気分プレゼントしちゃお。


「あの……もしかして屍食鬼……寄生虫が本体だったりとか」


 大使さん滝汗。


「ま、まさかー!」


「ですよねー」


 でも貴重な会話してる映像だもんね。

 壊れたラジオ形式じゃなくてちゃんと会話になってるやつ。

 大使さんの汗が止まらない。

 だって寄生生物の宿主にさせるために国民が拉致されてたとか……。

 ラターニア的には国家が国民を守るという約束を履行してなかったという大スキャンダルだ。

 死人が出る騒ぎだ。


「それは当方でも可能性を考慮した時期が……寄生虫の脳が小さくその可能性は否定され……いや、まさか……こちらでも調べてみます」


「よろしくお願いします。こちらでも調べますので」


 この様子だとラターニア側は知らなかったんだと思う。

 知ってて戦略上利用してたんじゃなさそう。

 俺たちからすれば、これでラターニア憲法の本気度がわかる。

 ここで大使が口封じに始末されて、俺たちに好戦的になったらチンピラ程度の国家だったのだとわかる。

 大使の歯切れが悪くなって様子見決めこむなら普通の国家。

 屍食鬼討伐に手を貸してくれれば友好国ルートかな?

 たとえ知ってて【屍食鬼討伐して口封じしちゃお】っていう考えでもいい。

 むしろそっちの方が頼もしいまである。

 ゾークちゃん……プローンに屍食鬼に……初期位置が悪すぎる。

 あ、でもゾークはラターニアとも相性悪いのか。

 こっち来た時点で詰んでたのね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほど、屍食鬼は異種族を食べ(て相手の情報を得られ)れば能力を得られると そして、子機は変えがきくから病気になっても問題なしと これ、ずっと引っかかってたレンパパ公爵の「クローンは邪悪な技術」発言に…
ハイヴマインドっぽい感じですかね
あーそうか。ゾークが最初に見つけた遺跡の遺伝子で脳波通信型の虫型食人生物になったんだよなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ