第三百四十三話
【謀略ばかりで体を動かさないと】と思いカトリ先生のところへ。
すると昼間から大王と酒盛りしてた。
カトリ先生と目が合う。
「飲むか?」
日本酒をすすめられる。
「血中アルコール濃度が上がると自動で通報されるんで飲まねえッス」
いやね嫁ちゃんが言うには「ムリヤリ飲ませて動画撮って脅すバカがいるのじゃ。婿殿注意せよ!」だって。
大人の世界怖い!
なので飲まされたら自動で通報されるから全力で被害者ぶることになってる。
「酔わせて二人がかりでボコボコにする計略は失敗か……」
大王のおっさんが不穏なこと言いやがった。
うん。今度サリアと闇討ちしよう。
「じゃ、焼き鳥持ってけ。好きだろ?」
「あざっす!」
焼き鳥三本ゲット。
ももとネギマとつくね。
ちょっとしかないので神社で食べようっと。
神社で座敷童ちゃんにお供え。
はいもも串。ワイロでゴザルっと。
だがどこからか出現したワンオーワンに見つかった。
「はいネギマ……」
「ありがとうであります!!!」
つくねだけは死守したい。
つくねは好物……。
つくねだけは……タチアナもいるのね。
「食べなさい」
「いいんスか?」
「いいんスか?」の意味がわからず後ろに視線を移すと嫁ちゃんがいた。
あ、はい。焼かせていただきます。
食堂で串と肉を出して電気式の炉端焼き用七輪で焼いていく。
電気式だけど出力は充分なやつだ。
俺の焼き鳥屋さんの情報はすぐに広まり士官学校の連中がやって来る。
レイブンくんまで来てた。
なおレイブンくんは護衛や事務の補佐(軍事のみ)は有能なんだけど料理はできない。座ってろ。
大公ってなんだっけ?
近衛騎士ってトマス義兄さんのとこもそうだけどエリートなのに生活力皆無だよね……。
見かねたニーナさんが串打ちを手伝ってくれる。女神だわ……。
ケビンも手伝ってくれてタレを作ってくれた。
タチアナとワンオーワン、それになぜか座敷童ちゃんが食材運搬のお手伝い。
ちょっと男子ぃッ!
重いもの運んできなさいよぉッ!!!
あと皿出せ!
サリアとキールティちゃんもやって来た。お客だけどな!
ここでクレアがお手伝いに参加してくれた。
ふええええええん!
手が足りなかったよ~!
「レオ……言っておくけど……家庭料理の枠を超えたものはできないからね。むしろなんでレオ作れるの?」
「うん? ほら、一年ときの冬休みに調理師講座あったじゃん。軍をクビになったときの保険になるかなってさ……」
休みを丸々使っての調理実習である。
普通の学校とは違いスパルタ式で調理と食品衛生を叩き込まれる。
ナノマシンあっても食中毒は軽減しかできないもんね……。
「だって正月でしょ? さすがに実家帰ってたよ……それに軍をクビって……まだ言ってるの? 実質国の重鎮じゃない……」
「外宇宙での立ち回り失敗したら国ごと滅ぶしね……」
滅んだら滅んだでツテを使って食いつなごうと思う。
俺は国が滅んでも生存を続けるタイプの大公なのだ。
……あとで私費でキッチンカー買っておこうっと。
こちら外宇宙は少子化とは無縁の世界。
浪人になったら幼稚園の近くで弁当と惣菜を売るところからはじめよう。
幼稚園帰りの親をメインターゲットにするのだ!
……コロッケ、焼き鳥、メンチカツは正義だ。あとフライドポテトと餃子。
「クレア……鶏の野菜巻きって美味しいよね」
「短い間にレオの妄想がとんでもないところまでいった!」
ゴボウとニンジンって外宇宙でも手に入るかな?
焼き鳥を焼きながら考える。
うーん、敵はヤンキー。
つまりヤンキーを懐柔するにはどうすればいいか?
帝国なら常に自動車用消臭剤のにおいがする大型ディスカウント店やボーリング場を作ればいい。
そう前に拿捕した海賊の船内もそんな内装で……。
「うん? いまなんかホームラン打ったような?」
あれ?
えっと……俺なにに気づいた?
ヤンキーの家みたいな内装……。
遊ぶ場所……。
飲み屋。
夏のコンビニ前。
ヤンキーしかいない格闘技イベント……。
おう……。
「安全な娯楽施設か……」
「どうしたのじゃ婿殿。その顔はなにか思いついたな」
さすが嫁ちゃんである。
俺の表情で気づいてくれたらしい。
「海賊っていうかこの銀河の対策できるかも?」
そうか……娯楽の供給だけじゃだめなんだ。
箱を作らなきゃ。
「サリア殿、こっちに来てくれ」
嫁ちゃんがサリアを呼ぶ。
本当は他国の王族だからこういうのダメなんだけど、ここは銀河帝国皇帝の婿が焼き鳥焼いてる場だ。
無礼講である。
というか俺もサリアも限りなく庶民に近いしな。
「どうかしました? ってレオさん! その表情! また悪いこと企んでますね!?」
被害者は異変を察知した。
利益も大きいんだからあきらめろ。
「ねえねえサリアきゅん。バトルドームで総合的な娯楽施設扱わない? あと焼き鳥」
焼き鳥の皿を渡す。
鬼神国人は辛いの好きだから七味は瓶ごと渡す。
「はいはい。それにしてもレオさんって器用ですよね……」
「器用になるしかなかったのさ……」
「これ……売れますよね」
「そうそう。だからさ、バトルドームで扱わない?」
さらなる計略考えついちゃった。
「それとさ、闘技場の運営広げない?」
「サッカーですか? あ、これ美味しい! キールティ! これ美味しいですよ!」
「もう! 立って食べるなんて下品ですわよ!」
なんていいながらキールティちゃんもぱくり。
目を輝かせた。
「レオ様は本当になんでもできますわね……」
「書類仕事は苦手だけどね」
「仄暗い顔しないでください! それで! なにするんですか!」
「海賊を引きずり出してエンタメにする」
サリアもキールティちゃんも俺の表情を見て頭を抱えた。
「バトルドームに問い合わせます……あのね! 私、もうエリアマネージャーじゃないんですけど!」
「でも今度、大王でありながら大幹部に就任するんでしょ」
サリアの表情が凍った。
「それ……まだ内緒のはずのはずですが……」
「ま、これが諜報力ってやつよ」
「怖ッ! 帝国怖ッ!!!」
「プライバシーは尊重するから安心してよ~」
俺は笑顔になった。
はい焼き鳥おかわりっと。
引きずり出す方法思いついちゃった。




