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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第三十四話

 秘密兵器ってなんじゃい!!!

 ということでケビンからかってクールダウンすることにした。

 駆逐艦の営倉に幽閉されてるケビンと通話。


「よー、おっぱい」


「死ね!!!」


 でかい。

 嫁がエンカウントしたら「よこすのじゃ!!!」って揉むだろう。

 そのくらい大きかった。


「最近どうよ? 元気?」


「……いきなり女子になって女子の着せ替え人形になってる僕が元気だとでも?」


 嫌がらせされたり、暴力を振るわれたりはしてないらしい。

 基本的に俺の怪我はギャグ扱いである。

 報復の心配はない。

 ただゾーク化の影響でかなり美形の女子になった。

 そのせいで女子の着せ替え人形になっている。

 変化前から小柄で中性的な顔だった。

 もともと隙あらば女装させようと狙う女子が多かったらしい。


「元気そうでよかった」


「元気じゃないって言ってるだろ!!!」


「それでさー、いま地下鉄にいるんだけどさー。ゾーク側の情報なにかない?」


「僕もゾーク側なんだけど」


「あきらめろよ。もうゾークに切られたんだから」


「ぐっ!」


 もうスパイの役割からは解除されてる。

 洗脳も解けている。

 洗脳さえなければゾーク側にこだわる必要がない。

 むしろゾーク側に味方するメリットがない。

 だってゾークが勝利したってネットもゲームも漫画もなんにもない虚無世界が来るだけである。

 ケビンだってわかっているだろう。


「はいはい、さっさと言えって。じゃないと次会うときからお前の名前は【おっぱい】だ!」


「死ね!!! ……く、殺せ」


 やだ……くっころ来ちゃった!

 でも元男相手じゃ全然ときめかない。

 俺の心は繊細である。


「……一つデータベースからダウンロードした情報がある」


「データベース?」


「ゾークは個体ごとが網目状に繋がっている。そこで知識や指令を共有してる」


「それで、情報って?」


「公爵領に前の戦争で手こずった兵器があるらしい」


「へー……やっぱあるのかー」


 どんな兵器だろうか?


「ありがとう。じゃあ行ってくるわ」


 どんな兵器だろう?

 休憩が終わっても罠の解除は続く。

 でも公爵家も罠だらけにするほど物資も人手もあるわけじゃない。

 ある程度でトラップ地帯を突破できた。

 駅のホームから線路に降りる。

 すでに列車が運行してないことは確認済みだ。

 ライトをつけて進んでいく。

 ちなみに装備はショックハンマーとアサルトライフルである。

 ……あと面白半分で造形プリンター使って出力した例の大口径拳銃。

 対物ライフルの弾使うやつ。

 使わないですむことを祈る。

 進んでいくがゾークの姿はない。

 人間もいない。

 逆に怖い。

 ……そうこうしてると次の駅が見えてきた。

 陣地があるのか土嚢が積まれていた。

 なんだか違和感がある。


「囲まれたね」


 メリッサがつぶやいた。

 殺気だったか。

 ゾークほど強烈じゃないので気づかなかった。


「止まれ!!!」


 男たちにパルスライフルを向けられる。

 俺と近衛隊は戦闘服に搭載されてるビーム用のシールドを展開する。

 一瞬遅れて生徒もシールドを展開した。


「抜剣!!!」


 モヒカンのおっさんの声で武器を抜く。

 みんなは剣。俺はハンマー。なぜだ?


「俺はこうしゃもごごごごご!」


「揉めるから黙ってて」


 メリッサに口を塞がれる。

 たしかに毛嫌いされてるので俺は名乗らない方がいい。

 代わりにモヒカンのおっさんが高らかに叫んだ。


「我らは皇女ヴェロニカ旗下、近衛隊及び親衛隊である! 助太刀にまいった!!!」


 学生は親衛隊所属ということになっている。

 なお俺の地位だけは宙ぶらりん。

 近衛隊でもなければ親衛隊でもない。

 皇女の配偶者という謎の地位である。

 親衛隊が正式に帝国の承認を受けたら、俺が親衛隊長になるらしい。

 その場合の階級はなんと大尉である。

 俺の客観的最高到達点が少佐なので人生のゴール近辺にたどり着いてしまった。

 人生何が起こるかわからないものである。

 いや大尉って偉いのよ。

 で、さらに偉い近衛隊の名前を出したら効果てきめん。


「は! 我々は公爵軍であります!!! 私はサム伍長であります!」


「近衛隊所属ピゲット少佐である!」


 モヒカンのおっさんは少佐だったようだ。

 伍長は背筋を伸ばす。

 わかるよ。普通におっかないもんねー。


「は! ではこちらへ!!!」


 奥に案内される。

 俺はカミシロ家だとバレないように学生に交じって素知らぬ顔をしてついていく。

 駅の中には住民たちがいた。

 そんなに多くない。


「現在この駅では200名ほどがおります」


「ほう、なにか逆転の手はあるのか?」


「公爵様が秘密兵器を起動なさると昨日の通信で仰ってました」


 本当に秘密兵器があった!!!

 すると駅に放送が鳴り響いた。


「公爵様出撃します! 出撃の様子はディスプレイで放送します」


「おお! ちょうどよかった! 皆様こちらへ」


 伍長に公共の大型ディスプレイの前に案内される。

 ディスプレイには【古代兵器の登場か!?】とテロップが流れていた。

 なんだか気に入らない。

 もう勝ったつもりでいるのだろうか?

 列車が走る姿が映った。

 今度は別の意味で嫌な予感がする。

 何台もの列車が走る。

 おいやめろ!

 ジャンルがバグる!!!


「合体!!!」


 やりやがった!!!

 あるものは空を飛び、あるものは変形する。

 列車が合体していく。

 列車は一つのロボットになっていく。


「リニアブレイザー!!!」


 なんだかやたら野太い声の歌手がテーマを歌う。

 おまえら……全力で楽しんでるだろ?

 こんなの用意するのに時間かけたんか!?

 ゾークとの戦いを経験した俺たちは皆一様にどん引きしていた。

 遊んでて勝てる相手と違うぞ!!!

 でも公爵軍や住民たちはなぜか心奪われていた。

 まるで神が降臨したかのような。そんな顔をしていた。


「ぐははははははは!!! 500年前から蘇った悪魔よ!!! 我はこの惑星の統治者! ミストラル公爵である!!! かかってくるがよい!!!」


 公爵専用機は列車が盾になり、そこからさらに剣を抜く。

 普段どうやって列車を使っていたのだろうか?

 気にしたら負けのような気がする。

 公爵は第三者の目からも明らかに舐めプしようとしていた。

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― 新着の感想 ―
合体ロボ、ねぇ。ロマンはありますが、接合の観点からも最初から人形に作った方が硬いと思っちゃうんですよね。
[良い点] ゆ、勇者ロボは、舐めプじゃないから…(震え声) ほら、マイト◯インの主人公とか、某勇者王と声同じだし。
[一言] 敵がレンジャー系なら主人公は変身するしかないね笑笑
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