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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第三十話

 だいぶ手遅れ気味で近衛隊到着。


「婿殿のアドレナリン値に異常が出たので救助に来たのだが……大物を仕留めたようで……」


 さすがの近衛隊もどん引きである。

 だいたいね、俺が薩摩殺法になったのは近衛隊のせいである。

 スパーリングでボコボコにされたのだ。

 そりゃね、メリッサみたいに三歳から木刀振ってた人間に付け焼き刃が通じるはずがない。

 直剣だってまだ二年半しか練習してない。

 メリッサどころかおっさん相手じゃボコボコにされるのは当然だろう。

 だから勝てる筋力頼みの戦術になるのは当然だ。

 負けるときは本当にひどい負けかたするが勝率は高い。

 投げキャラの才能は多少あったみたいだし。

 技表に突撃とコマンド投げしかない。(超能力は挑発枠)

 それが今の正直な俺のスペックである。


「徹底的に走らせたのがよかったのだろうか……?」


 俺に疑問を投げるのやめて。

 俺もわからん。


「記録に【仕留めたのはクレア】と記載しとこ」


「おーい、どさくさ紛れになにやってんのよ」


 人型重機に搭乗したクレアがやって来た。

 重機は腕がもげている。

 さすがに対物ライフルの衝撃は人型重機じゃ重すぎたのだろう。


「だってぇー。これ俺が倒すと【VR格ゲーのランク上げてオンライン対戦じゃ】って嫁が絶対言出すから! もうメリッサと嫁に蹂躙され続けるのは嫌じゃー!!! 誰か接待対戦してくれー!!!」


 技術を腕力で埋められない状態だと一方的にボコボコにされるだけなの!!!

 つらい!!!


「この状態でオンラインサービスが継続してる方が驚きだよ!!!」


「この状態でもゲームやってる廃ゲーマーしかいないから! 強過ぎんのよ! あいつら!!!」


 残ってるのはプロゲーマーと愉快な仲間たちである。

 そしてメリッサと嫁はそこで高ランクなのだ。

 特にメリッサ!!!

 俺より後でやり始めたのに俺より遙か上のランクだよ!!!

 しばらく作業して近衛隊が寄生体を運んでいく。


「動物学者いたっけ?」


 俺は疑問を口にする。


「冷凍してあとで研究者に引き渡すんだって」


 クレアは納得の答えを返してくれた。

 聞いてみると巨人も保存しているらしい。


「現状では私たちが一番新種と遭遇してるんだって。って殿下が」


 正確には【新型と遭遇して生きてるのは】だろう。

 肝を冷やしていると近衛隊のおっさん、モヒカンの人が来た。

 近衛隊のおっさんどもは、俺への当たりは強いが育てる気はあるっぽい。

 ただ実戦放り込んで死にそうな時だけ助けるシステムは信頼の表れなのだろうか?

 歪みまくった愛情に乾杯!!!


「婿殿。学生の機体の修理がはじまった。我らは博物館で合流することになった」


「了解ッス。ところで嫁は? なんか連絡ないけど」


「防衛システムで負傷された。治療中だ」


「え、ちょっと」


 それは心配だ。

 体が小さいし。

 やはり俺の嫁なのだ。


「問題ない。よくあることだ。……殿下が陛下の慰み者ではなく末姫でいるためにどれだけの犠牲を払っておられるか……婿殿はそれを理解してほしい」


 海賊狩りもその一環なのだろう。

 あの皇帝死んだほうがいいな。

 原作どおりならあと一年ってところか。


「俺にできることは?」


「帰ったら優しくしてくれ。殿下は肉親の情を知らないでお育ちになられたのだ。近衛隊の皆は文句ばかり言ってるが婿殿の明るさに期待しておるのだ」


「そういうのは得意」


「頼んだぞ」


 近衛隊がやたら厳しいのは期待してるからか……。


「……それと傷が治るまでは放って置いてほしい。傷を見られたくないだろう」


 娘のことわかってるパパ集団であった。

 そのまま領都へ向かう。

 だいたい近衛隊の四分の一が俺の護衛についた。

 領都の近くに行くが人影はない。


「センサーに市民の反応ありません」


 皆殺し……だったら嫌だな。

 でも実家と違ってここはギャグ世界ではない。

 厳しい現実は覚悟せねばならない。

 領都の前には塹壕が掘られていた。

 ビーム式の防衛トラップがあちこちに設置されている。

 有刺鉄線の方がなんぼかマシだったろう。

 自分たちが滅びようともカミシロ家を拒否するその姿勢!!!

 そんなに俺たちが嫌いか!!!


「博物館が見えてきたぞ」


 おっさんに言われて博物館の前で専用機を降りる。

 入り口には【ミストラル戦争博物館】と書いてあった。

 中に入るとミストラル家の輝かしい歴史が書かれた石版が置かれていた。

 やたらレトロな赤いボタンがあったので押してみる。


「ミストラル家は1035回目のカミシロ家討伐を成し遂げました」


「どんだけウチのことが嫌いなんだよ!!!」


 イラッとして怒鳴ってしまった。

 近衛隊のおっさんたちが俺から目をそらす。

 クレアまでそっぽを向いた。


「何か?」


 クレアがこっちを向いた。


「聞いて、レオ。内部統制をするために外に仮想敵を作るのはよくあることだから……ここまで徹底してるのは珍しいけど……よほど嫌われてたんじゃないかな……」


「フォローになってない!!!」


 ムカついたのでもう一つのボタンをポチり。


「文明を持たない野蛮人であるカミシロ家に文明をもたらしました」


 げし!!!

 思わず蹴りを入れる。

 敵どころか原始人扱いされてたよ!!!


「物に当たるな婿殿! こっち来て武器を探せ!!!」


「へーい」


 武器は……おおっと、RPG(ロケラン)あるじゃん。

 壁から外して持ち込んだコンテナに入れる。

 コンテナを動かして次の場所へ。

 固定式の機関銃にアサルトライフルにサブマシンガンに。

 拳銃もある。

 手榴弾は使えるか不明だ。


「婿殿、使えなくてもいいぞ。造形プリンターで解析してレシピを作成するのだ。さすればネットワーク経由で帝国中に共有される」


「そういう使い方か……」


 やたらデカい銃があった。

 ハンドキャノンってヤツかな?

 ああん?

 これ拳銃なのに対物ライフルの弾使うのか。

 頭悪いぞこの銃!!!

 こんなん俺に撃てるのか?

 まあいいや。

 コンテナに入れる。

 刀剣類もある。

 片っ端からコンテナに入れる。

 しばらく展示品を略奪してると大きな扉が見えてきた。

 前に立つとドアが開く。

 中には人型兵器、要するにロボットが大量に置かれていた。

 標準機ではない。

 帝都に少数配備されてる最新式のものまであった。


「人型兵器の格納庫見つけた」


 近衛隊に通信を送るとおっさんたちがやって来る。


「婿殿よくやった! スキャンして船にデータを送るぞ」


 装備もたくさんあった。

 ビーム兵器が多いが、ゾークに使えそうなものもいくつかあった。

 中盤の武器ってほどのはないけど、序盤では使える部類の物だ。

 迫撃砲なんかもある。

 学校で使っているものと比べて大型だ。

 人型兵器用みたいだ。

 他にも対戦車地雷などもある。


「婿殿、地雷を生産したら設置するぞ」


「へーい」


 重機出そうっと。

 こうして俺たちは博物館を拠点にしたのである。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、思ってたより、公爵家側アレだな、悪い意味で某国っぽいな? カミシロ家のやらかしだと思ってたけど、普通に挨拶しただけで無理筋被害報告みたいなのも多そうな…
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