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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第二百八十四話

 例の社であるが、木工得意勢によりベンチが設けられた。

 外には自動販売機も設置されデートスポットとして連日賑わっている。

 今まで食堂しかなかったもんね。

 我が艦に足りなかったのは休憩スポットだったわけである。

 その後の検証でトマスの戦艦でも社が発見された。

 とりあえず入り口を確保して木工得意勢で社の修理をしたのである。

 なお社があるだけでパワーアップするメカニズムは不明である。

 で、みんな忘れてるだろう。

 俺の顔面にぶつかったキャンディーボールであるが社に返しておいた。

 みんな験担ぎにお供えしまくってて食料ボックスとおもちゃボックスがある。

 おもちゃボックスに入れておく。

 ボール返しに行ったらイソノと中島が野球道具を入れてた。

 子ども用の樹脂製バットにグローブにゴムボール。

 造形プリンターで作ったものだ。

 女子は怒らせたが男子に嫌われてないのはこういうところだろう。

 エディは帝国剣術の竹刀。

 メリッサは防具かなと思ったら、変身ヒーローセット。

 男の子じゃねえぞと。

 ケビンを含めた女子は食料箱の方にお菓子を入れてた。メリッサさん……。

 俺はメリッサに面白アクション取られたのが残念だったので上様変身セット。

 ウケ狙いすぎたと途中で反省してポータブルネット端末も入れておく。

 大きくなって立派なネット廃人になるんだよ……。

 ……さすがに罪悪感をおぼえたので女児が好きそうなキラキラ光る変身スティックも。

 おっさんどもはテキトーに酒置いてた。

 子どもは飲まんだろ。

 子ども向けのシャンパンジュース入れとくか。

 その後は神様効果なのか、敵に遭遇することもなく数日が経過した。

 俺もとりあえず死なないので部屋に帰ってくる。

 とりあえず換気っと。

 そしたら嫁ちゃんの荷物を収納して掃除機出して床掃除。

 モップで仕上げっと。

 ベッドのシーツを剥いでカゴに入れて新しいのに交換。

 よし、シーツ洗濯に出してこよう。

 洗濯室にシーツを出す。

 時間がイレギュラーなので受付で理由を書く。

 研究所で検査のため入院っと。

 そしたらダラダラしようと食堂へ。

 食堂にはニーナさんがいた。


「レオくん!」


「みんなは?」


「お仕事だよ」


 ですよねー!

 暇なの俺だけですよね!


「とりあえずノルマね」


 トマト……。

 まだ余ってたのか。

 日替わり定食を注文。

 トマトと卵の中華風炒め。

 いただきまーす!

 で、食べ終わると追加のトマト。山盛り。

 ニーナさんが笑顔で圧をかけてくる。

 いや食べられるけどさ。

 でトマト山盛りを食べ終わって食休み……と思ったら放送が入る。

 嫁ちゃんの声だった。


「遠征隊員の諸君! 救援が来た! 我々は助かったぞ!」


 嫁ちゃんのテンションに反して俺たちは盛り上がらなかった。

 だって今のところ困ってないし。

 食べものも余り気味である。特にトマト。

 他の艦に押しつけるにも向こうも余ってる状態だ。

 お残しだけは許されない。

 海兵隊鉄の掟である。

 それは冗談として喜んでるのは武器弾薬の部門かな?

 こればかりは生産が間に合わない。

 人型戦闘機のパーツの在庫も寂しい状態だ。

 大規模な戦闘は難しいかもしれない。

 うーん、帝国がビーム兵器一辺倒になった理由がわかったような気がする。

 嫁ちゃんの放送が終わるとブリッジに呼び出される。

 うん知ってた。

 作戦会議である。


「三日後に合流予定じゃ」


 ブリッジに着くと嫁ちゃんにそう言われた。


「救助?」


「いいや。いや……救助ではあるのか。様子見を決めこんでた勢力が勝ち戦とみてようやく参戦したのじゃ」


「なにそのクズども」


「ふふふ、そうじゃな。クズじゃ。個人としてはな……」


「個人として?」


 どういう意味よ?

 帝国が残念なことになってるのに今さら参戦って。

 クズそのものじゃない。


「理由は様々じゃ。兵がない。金がない。ノウハウがない。民に反対された。他人事だった。ゾークの存在を理解できないほど頭が悪かった。たとえ惑星の支配者と言えども力のないものはたくさんおる。婿殿と会ったときの妾と同じじゃ。婿殿のように強い人間ばかりではないのじゃ。わかるか?」


「だってペナルティーあるでしょ」


「おお、ペナルティーがなければ諸侯の不満が爆発するじゃろうな! とりあえず妾が生きてるかぎり謁見はできぬし税は高くなる。惑星を焼き払ったり、一族の首を差し出してもらってもいいが……正直面倒じゃな。数が多すぎる。政治的に干すしかあるまいな。わかるか婿殿。もう戦後処理ははじまっているのじゃ。勝利できるか確定してないにもかかわらずな。愚かな連中ぞ」


「実際はどうするの? もう考えてあるんでしょ?」


「人質名目で党首候補を差し出してもらう」


 戦国時代かよ!


「そうしたら士官学校にぶち込んで徹底的に教育する。なあに大学院まで時間はある。最新の政治学に統治論に法学、軍学にテクノロジーを頭にぶち込んで領主に据えてやる! 暗愚など生み出さぬ! 一人たりとも落ちこぼれさせぬ!!!」


 思ったより合理的だったでゴザル。

 たしかに問題は領主としての能力だ。

 ただ罰を与えるんじゃなくて次世代を徹底的に教育した方が安いのね。


「どうにもならないほど愚図ならば改造手術も視野に入れるぞ」


 なお人権はないようである。

 でもこれでも穏当だし優しい手段だ。

 麻呂の時代なら問答無用で惑星の住民皆殺しだろう。

 嫁ちゃんはそれを許すって言ってるのだ。

 それがどう転ぶかはわからない。

 当主の子どもの犠牲と政治的に干されるだけで許されたとみるか。

 せっかく皇帝助けてやったのに手を噛まれたと思うのか。

(実際は助けてないが今さら参戦するくらいアホなら勘違いしかねない)

 英断と評価されるか。甘い決断と非難されるか。

 後になってみなければわからない。

 ま、俺は嫁ちゃんがしたいようにすればいいと思う。

 俺が守り切れば問題ない。

 そして三日後に救助がやって来たのである。

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― 新着の感想 ―
とりあえず妾が生きてるかぎり謁見はできぬし税は高くなる。 暗殺フラグにならんか? 皇帝存命じゃなく現在の当主存命にしないと
とりあえずその救助隊が操られてないかは真っ先に調べないとな…。
大丈夫!「帝国の貴族」だよ!! ………今までと同じに決まってるやんけ
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