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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第二百六十一話

 お笑い三銃士と子猫を取られそうになってる怒れる母猫たち……の代表者、つーか、嫁ちゃんにクレアにメリッサにレンに……あとケビンとワンオーワンを連れてシミュレーションルームへ。


「んじゃシミュレーション起動しますよ」


 俺たちが席に着き、妖精さんがシミュレーターを起動する。

 男子や他の女子たちは俺たちがおかしくなったときに医務室に運ぶ役。

 側で医務官も待機してる。

 トマス義兄さんは俺がシミュレーターで会議してる間に襲撃されないように周辺宙域を警戒。

 完璧な布陣で臨む。

 シミュレーターが起動すると巨大なアヤメが現われた。

 視界の隅でビキビキビキと血管を浮き上がらせる妖精さん。

 デフォルメされた妖精さんの目が血走る。


「いや普通に怖いから」


「レオくん……聞いて、私はね。ワンオーワンちゃんのことが心配なんだよ。それに加えてうちのネットワークに土足で上がり込みやがってえええええええええッ! 傍受専用だからは、は、は、は、は、半殺しで許してやらあ!!!」


 もはやヤバいとしか形容できないほど妖精さんはキレ散らかしてた。

 それは半分人間辞めてる存在がさらに魔王、いや邪神にならんとしてる様であった。

 もう知らにゃい。

 俺が諦めてると事の大きさに気づいてないアヤメは俺に話しかけてくる。


「ジェスター、返答は?」


「はい、ワンオーワン答えて」


「やるであります!」


「つーことで作戦やることになったけどさ……帝国は共和国民を助ける義務がないことだけは心に留めておけ」


「ええ、理解しております」


 圧をかけたらアヤメがたじろいだ。

 うーん……嘘をついてるようには見えない。


「じゃ、先に近い方に行く、ニシナが提示した方だ」


「わかりました。作戦を隠蔽しマザーに感知されないようにします。作戦直前にワンオーワンをマザーとして覚醒させます。ワンオーワン、手をこちらに掲げてください」


「はいであります!」


 ワンオーワンの手が光り、手に模様が現われる。


「作戦前に念じてください」


 で、その日の会談は終わり。

 嫁ちゃんたちは一発ぶん殴ることもできず不完全燃焼である。

 シミュレーターの座席から立つとワンオーワンが声をあげた。


「模様がついたであります!」


 ワンオーワンは無邪気に喜んでいた。

 で、俺は嫁ちゃんたち女子を見たわけよ。

 ……母猫の群れだった。

 男子どもを見たわけよ。

 一子相伝の暗殺拳の使い手みたいにムキムキになっていた。

 やるじゃなーい。

 でさ、俺はコソコソ帰ろうとしたのよ。怖いから。

 いや俺だってキレてるよ。

 でもね、本人が望んだし、危険とは限らないし。

 あと勘がね。

 アヤメは嘘ついてるわけじゃなさそうなんだよね。

 だから部屋に帰ってえっちな動画でも見て寝ようと思ったのね。

 そしたら捕まったね。みんなに。


「どこに行くの?」


 えっとクレアさん、笑顔だけどめっちゃ怖いのらめ。

 あたらしい性癖の扉が……らめええええええええええッ!

 捕らわれた宇宙人状態で食堂に運ばれる。


「レオどうするの?」


「言われたとおりにしてみるッス」


「婿殿……もしや大きな胸にだまされてるのではないか?」


「嫁ちゃん……俺は揉めるサイズが好きなんであって、人型戦闘機より大きいおっぱいなんかいらないよ」


「だがおっぱいで圧死したいって言ってたではないか!」


「ぶぶーッ! ネタですぅ!」


 という不毛の極みみたいなやりとりをしたわけだ。

 つうかね、圧死したわけないだろ!


「てめえレオ! ケビンのおっぱいで圧死したいって言ってただろ!!!」


「イソノちょっと格技場来い。久々にキレちまったよ……」


 イソノの戯れ言に一瞬でキレてしまった。

 てめえガチでぶっ殺すぞ!


【賢者モード発動】


「しねえよボケが!!!」


 だめだ。

 高血圧で死ぬ。


「はあ、はあ、はあ……」


 怒濤のツッコミ連打に息切れする。

 もうやだ……みんな殺気立ちすぎ。


「うーん……なんかレオの様子見たら大丈夫かもって思えてきたかも」


 クレアさん、いやクレア様が現状を肯定してくれた。

 みんな俺を見る。


「そうだなレオがこの状態なら大丈夫そうだな」


 エディも賛同してくれた。

 なんだかんだで悪さしたときにケツ拭いてくれたのはエディだ。

 男子はエディが賛同すればそれで終わり。

 エディくん……俺の代わりに少佐やらないかね?


「うーん私もレオくんがこの状態だから大丈夫だと思う」


 ニーナさんがそう言うと女子たちも納得はしてないものの様子見という空気になる。

 やはりクレアとニーナさんは偉大である。


「しかたないの。婿殿! ワンオーワンを守るのじゃぞ!!!」


「へーい」


 こうして俺たちの方針は固まったのである。

 よかった空中分解しないで。

 俺たちは未だに軍隊と学生サークルの間くらいの組織だ。

 体育祭のノリで戦争やってるとも言える。

 些細なことで割れかねない。

 今のところ勝ててるからうまくいってるだけだ。

 で、それはわかってたんだけど……。

 なんか妖精さんが黙ってるのと嫁ちゃんがニヤニヤしてるのが気になったのね。

 だから嫁ちゃんに聞いてみた。


「もしかしてみんなを誘導した?」


「しないはずなかろう。クレアとニーナ、エディとイソノにも根回し済みじゃ」


 やはり今日も嫁ちゃんはシゴデキだった。

 役者が何枚も上だ……。


「だが……婿殿、絶対にワンオーワンを守れよ。失敗したら……離婚じゃぞ」


 嫁ちゃんはプイッと顔をそむけた。

 かわいい。

 そして妖精さんも。


「レオくん安心してください。ネットワークを使います。相手のパターンもわかったので私もワンオーワンちゃんを守りますので」


 妖精さんの顔にはたくさんの怒りマークが浮かんでいた。

 やはりキレ散らかしてるようである。

 だって「ゴゴゴゴゴゴゴゴ」って音を自分で鳴らしてるもの。


「電子生命体の名にかけてワンオーワンちゃんには指一本触れさせません!!!」


 名にかけるほど名乗ってないと思うが?

 いいか、やる気があるのはいいことである。

 そしてトマスたちと合流して数日後、とうとう指定の惑星の近くに来てしまったのである。

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