第二百五十三話
さーて、俺たちは怒りにまかせて惑星に降り立つことになった。
戦艦内モノレールの車内でエディたち男子も血管を浮き上がらせてキレていた。
だってエディたち男子は婚約が決まったばかり。
イチャイチャできずに彼女と通話する毎日だ。
他の男子も同じだ。
嫁ちゃんに勧められるまま偉い人の姫と婚約が決まったもの多数。
今回の遠征が終わり次第、結婚ラッシュだ。
偉い人たちの食いつきが凄い。
男子どもも血走った目である。
だってみんな伯爵、侯爵のお姫様だもの。
貴族名鑑載ってるクラス。(メリッサは子爵家なので扱いが小さく、レンは母親の意向で載ってない。クレアも家名を名乗ってないので載ってない)
とはいえ、次女三女が多くたいていは帝都の高校在学中だ。
「わかるだろレオ! JKだぞ!!! せっかくJKと婚約したのに会えないなんて!!!」
なぜか血の涙を流すイソノ。
「そうだぞてめえコラ!!!」
中島も血の涙を流してる。
顔面の圧がすごい!
なんなのお前ら!!!
「いや士官学校の女子もJKだろ」
「うるせえええええええええええええッ!!!」
イソノが胸倉つかんできた。
「俺たちだって同級生とのイチャラブスクールライフを夢見てたさ! だが嫌われたんだからしかたなかろう!!!」
「自業自得だ! バカめ!!!」
「うわああああああああああ! だって、だって、男子と楽しく軽口で語り合いたかったんだもん!!! 俺らのバカああああああああああッ!」
その時点でお前らは野郎との友情を取ったのだ。
あきらめろ。
「どうせお前らは婚約者に対してもエロいことしか考えてないんだろ? そういうとこやぞ!」
既婚者から言わせてもらうが結婚生活はエロだけじゃない。
それ以外が大半だ。
その重みを理解しろ。
「……違うな。エロなんてもういらない」
「ほう、成長したな」
「俺は他校の女子とイチャラブ生活がしたいんじゃ!!! 学生の今しかできないんじゃああああああああああああッ!!! それなのに……遠征終わったら士官学校卒業? 大学校も通信でたった1年で終了? なぜだああああああああああああッ!!! 今しかできない青春イベントが欲しいんじゃああああああああああああッ!!!」
うん、一歩も成長してない。
俺たちは特例で、というか領主として働くために士官学校はすでに卒業扱い。
帰ってきたら卒業式&大学校入学式だけすることが決定された。
さらに言うと大学校も一年で卒業というのが正式に承認された。
だってもうみんな隊長レベルの実務やってるし。
理論だけ一年でぶち込んで領主&士官として使い倒される予定だ。
実技は免除。
「はっはっは、実技? 何言ってんだお前ら。お前らほど戦闘経験豊富な連中なんていないよ」
と言われそうだ。
理論の多くを占める艦隊戦とかしたことないんですが?
本当にどうにかならないの?
するとイソノが震える声で言った。
「俺は……他校の女子とのイチャラブスクールライフがしたかった……」
「お、おう」
「だから俺はもうなにも奪わせはしない!!!」
「同級生女子とのイチャラブスクールライフを投げ捨てたのはお前ら……」
「うるせええええええええええッ!!! 先に働くガテン系男子とJDとのイチャラブスクールライフを勝ち取るぞ!!!」
「おおおおおおおおおおおー!!! イソノ! イソノ! イソノ! イソノ!!!」
「いやお前ら高級士官ルート……」
こいつら……自分が偉い人になる自覚が薄すぎる。
お前ら皇帝陛下直属だぞ。
遠征終わったら殉職しまくって席が空きまくってる中尉や大尉に昇進するの確実だぞ。
ツッコミが間に合わない。
大騒ぎする男子を女子たちは冷たい目で見ていた。
だけど女子たちも他人事ではない。
だって女子たちもそれぞれが当主で婚約者決まってるもの。
婿を取る立場である。
女子からすれば恋愛シチュエーションなどどうでもいい。
人生かかってるんだぞという気迫が感じられる。
女子でまだ決めてないのは数人だ。
あとケビン?
ケビンは難しいからしかたないよね。
とにかく女子たちもブチ切れてた。
女子の大半が政略結婚させられる運命にあった。
ところが士官学校生の活躍によって婿取って自由に暮らせるとこまできたのだ。
それなのに宇宙ごと全部終わらせるなんて話になってるのだ。
殺意マシマシになるのは当たり前だわ。
ぶち殺すぞてめえって話である。
「行くぞ」
搭乗口に着くと女子たちが出る。
殺意マシマシである。
怖ッ!!!
俺はみんなの後ろで引いていた。
だって怖いもん。
クレアが作戦概要をみんなに伝える。
「自由にやっつけちゃって」
「うおおおおおおおおおおお!」
あとからやって来たピゲットは完全に蛮族と化した俺たちを見てどん引きしてた。
もう誰にも止められない。
「注意事項としては爆薬の使用禁止。ゲートは壊さないこと。以上」
「うおおおおおおおおおおお!」
殺気立つ俺たちを見て一般兵は冷や汗をかいていた。
「さすがバトルジャンキーで有名な化け物たちだ……」
「帝国最強の本気ってやつか……」
「ごくり……」
いや本気は本気なのだが、将来がかかってる勢の本気だからね!
戦艦を出ていつもの大気圏突入。
ここでケビンによる説明が入る。
【みんな注射した? 今回は放射能やら電磁波やらがあるから対策ナノマシンちゃんと注射してね】
へーい。
俺はもうした。
こいつは数時間ごとの注射が必要だ。
しかも帰ったら中和剤の方も注射しなきゃならん危険な現場である。
「いいからさっさとぶち殺させろ!!!」
中島のアホ面がドアップで映る。
うるせえ!
「焦るな!」
「ウウ、ゾークミナゴロシ!」
おかしい……俺がボケというのが我らの定位置のはずなのに!!!
みんなが野生化してる!
「レオ、いまいい?」
クレアから通信が入った。
あ、一番まともな人だ!
お前ら、クレアを見習って……。
「わたし、あいつら殺すから」
あんれー?
「せっかくレオと婚約したのに努力や悩んだ日々を宇宙ごと消し去るってそんな許されるはずないよね?」
「あ、はい」
クレア様がお怒りである。
始まる前からゾークたちの終わりが見えてきた気がする。




