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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第二百五十二話

「建物内部の調査開始」


 ケビンがドローンを操作する。

 蜘蛛は半自動で動かせるようだ。

 これのすごいところは正門を通る必要がない。

 排気口や通風口、それだけじゃなくてありとあらゆる隙間から侵入できる。

 こんなの回避不可能だよぉ。

 半ばゾークに同情しながら見守る。

 中に入ると同時に数百以上のカメラが表示された。


「20体ほどロストかな。計画通り」


 この蜘蛛のドローンの弱点はとてつもなく弱いことだろう。

 実際のハエトリグモと同じように隙間にはまって動けなくなる、風で飛ばされる、踏まれるその他のちょっとしたアクシデントでロストしてしまう。

 試作品だからこんなものだよね。

 その分は数でカバーする。

 もうちょっとこなれたら恐ろしい兵器になりそうだ。

 なんだか後の世を地獄にする原因を作ってしまったような気がするが、今はゾークに勝つのが先決だ。

 気にしたら負けだ!

 動作音もほとんどしないドローンが内部の映像を撮影していく。

 中は肉かと思ったら床や壁は無機質の金属っぽいものだった。

 撮影された映像から即時に内部構造を3Dにしていく。

 中ではカニがひしめいている。

 だけど蜘蛛のドローンに気づかない。


「やはりこのサイズだと気にしないみたいだね」


 と言っても何匹かは踏み潰されてロストした。

 気にしないってことは踏み潰されるってことでもあるよね。

 床を移動するのは危険と判断し天井や壁を移動する。

 進んでいくと部屋があった。

 なんだか丸いものがたくさんある。


「あの丸いのズームして」


「了解……なんだろ。中になにかいる。ピントを合わせて……うわぁ……」


「勘弁してくれよ……」


 中にいたのは人間だった。

 それが丸い容器の中でだんだんとカニになっていく。


「孵化器ぃ?」


 だけどカニはクローンだって聞いてた。

 こういうときはアオイさんとワンオーワンに聞くしかない。

 メッセージを送ると二人はすぐにやって来た。


「これは外宇宙探査型強化装甲兵の孵化ボックスでありますね」


 ワンオーワンが無邪気に言った。

 悪意がないのが怖い。


「えーっと、人間?」


「孵化器の中で無強化の人間から強化人間にするであります。そうすると生まれたときから強化兵になるのであります」


 人権ガン無視の極みである。

 ひでえ。

 アオイさんも同意する。


「彼らはクローンですので。完成した状態はカニです」


 しばらくカニ炒飯食べられないわ。

 つまり、なんだ。

 ここで生産って産卵場所なわけか。

 最悪だな!


「さらに奥に進むね……」


 蜘蛛が奥に行く。

 するとすべての蜘蛛の信号がロストした。


「信号ロスト。軽くするために古い規格の通信チップ使ったのがまずかったかな?」


 ケビンは考えていた。

 新しいチップは速くて安定してるけど消費電力大きいからな。

 これはしかたない。


「どうするん?」


「AIが自動で引き返してくれると思う」


 しばらくして蜘蛛が外に出た。

 通信が回復し映像を送ってくる。

 センサーログも送ってきた。


「ログによると放射能と電磁波のせいで通信が落ちたみたい」


「やべえな……」


 放射能はクロレラ処理で耐性をつけられるけど、それでも無傷ってわけじゃない。

 戦闘服はある程度は放射能を遮断してくれるけど……それも程度問題ではある。

 通信が落ちるくらいだからな。

 あと電磁波って……。


「中でレントゲン撮影でもしてるのか?」


「なんだろう? 映像はこんな感じ」


 映像はノイズだらけ。

 近くの蜘蛛が動かなくなった。

 回路とかチップが焼けてしまったのだろう。

 奥にはなにかの装置と人影が見えた。

 いや人じゃないな。

 殺戮の夜そっくりなシルエットだ。

 絶望の一人だろう。

 装置の方は……わからん。

 とりあえず嫁ちゃんに送る。

 すると妖精さんと嫁ちゃんのダブルで通信が入る。

 なんだよ妖精さん、そっちにいたのか!


「なんてものを使っておるのじゃ!!!」


「な、なに。なんでキレてるん?」


「初期のワープ航法装置じゃ」


 は?

 なんでそんなのを後生大事に飾ってるのよ?

 意味がわからん。


「現在のものとは違い外宇宙探索用ができる代物じゃ」


「なにかまずいん?」


「不安定で制御が難しく、出力が大きすぎて事故が起これば惑星ごと吹っ飛ぶ、さらには……これは公開されてる情報じゃが、理論上ゲートを発生させることができる」


「ゲート?」


「空間をねじ曲げて任意の場所に入り口と出口を作れる。失敗すれば近くの惑星ごと爆発じゃがな。ゾークどもめ、突然現われるわけじゃ。あんな危険なものを運用してたとは!」


 思ったよりクレイジーな兵器を使っていたらしい。


「それとな、最大の問題があっての。この装置を使ったものはその前の自分と同一人物かわからぬ」


「はい?」


「簡単に言うと一度自分をミンチにして再構築する方式じゃ。ミンチと言っても肉をバラバラにするわけではなく、存在と時間をバラバラに……とにかくワープ前とワープ後の人間が同一であると証明できずに禁止されたものじゃ」


 もー! さー!!!

 昔の人やりたい放題だろ!!!

 人権とかガン無視というか、存在を知らないというレベルの蛮行である。


「また使い過ぎるとパラドックスが発生して宇宙が壊れるとも言われておる」


「勘弁してくれよ……」


「一刻も速くミサイルで焼き払わねば……いや……ミサイルで宇宙が崩壊しでもしたら……」


 どうやら直接行くしかないようだ。

 ここは覚悟決めるしかないよね。


「対放射能装備頼んます」


 さーて絶望と本気で戦うのってはじめてだな。

 ……ふふ、俺はな!!!

 嫁ちゃんたちとのイチャコラ生活だけを夢見て戦ってんじゃ!!!

 それなのに! なーにが宇宙崩壊じゃ!!!

 ガチでぶち殺すぞ!!!

 そういうバッドエンドチラつかせるやりかたよくないと思います!!!

 だいたいゾークさんよ!!!

 お前らいつも外道な手使ってくるよね!!!

 そういうとこやぞ!!!

 俺はかつてないやる気に満ちあふれていた。

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― 新着の感想 ―
どこでもドア形式って、えぐいよな
共和国「帝国にいつも外道な手を使ってくるとか言われても……(´・ω・`)」
恐怖のどこでもドア問題を呼び起こすんじゃぁないよ
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