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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第二百二十一話

 うつ伏せでスフィンクスのポーズ。

 これ現在の俺の姿。

 お尻をクイって上げてる状態。

 現在のレオ・カミシロ少佐の姿がこちらになります。

 痛くて尻を下にできない。

 搭乗機での五点着地。

 殺戮の夜の手足は逆に曲がり、胴体はひしゃげ、完全に戦闘不能。

 俺は落ちた衝撃で全身打撲の重傷。まったく動けず。

 さらにコックピットのドアはひしゃげて明かず。

 おまけにEMPのせいで体内のナノマシンは機能停止。

 ビーム切断機を使って救助されたときには俺は虫の息であったのである。

 骨折してないからいつもよりマシ?

 内臓までまんべんなくダメージ入ってるので血の小便の日々である。

 新しいナノマシンで体を修復してるから笑い話なんだけどさ!!!


「まったくさ、レオは命知らずすぎるよ」


 とうとう衛生兵どころか看護師の資格まで取ったケビンが栄養点滴の交換してくれた。

 看護師資格取って軍の士官として一年働くと特例で【管理】がつく上級資格になるんだって。

 民間だと五年働いて、【長】の経験が必要で、しかも協会の審査を経ないとだめらしい。

 でも軍の特例で問答無用で取得できるんだって。

 ほら、戦場って死人と怪我人だらけだし。

 薬や物資の高度な管理もやるし、書類作成は冗談ではなく死ぬほどやる。


「戦争終わったら、このまま大学校の医学部に入ろうかな」


 夢や目標があるって素敵だわ……。


「マジで応援するわ。恥ずかしい部分の手術の時はよろしく」


「叩くよ」


「へーい、いい子にしてます」


「痛かったらこれ飲んでね」


 痛み止めをもらったので起き上がる。

 脇腹が痛え!

 腹筋の中が痛え!

 みぞおちの奥がつる!!!

 肋骨の奥もつられてつる!!!


「もげらああああああああああ!!!」


「あーもう言った側から!!!」


 それでも薬を飲んでスフィンクスのポーズ。

 今度はいい子にする。


「じゃ、ボク行くから」


「へーい」


 寝られる気がしないのでニュースを見る。

 今回の戦果は大々的に報じられていた。

 惑星奪取だもんね。

 サリエルを倒すと周辺の惑星まで暴れ回ってたゾークは一斉に活動を停止した。

 これによって帝国は周辺惑星まで奪還に成功。

 久しぶりの大戦果に市民はわきあがった。

 帝国経済はプラス成長。

 軍へ納入してる各種業界はもとより、酒造メーカーや飲食店まで過去最高の売上を記録し、観光やレジャー需要も急増。

 落ちるところまで落ちてた出生率も急回復。

 ベビーブームまで来た。

 勝つ戦争だけが許されるのだろう。

 軍の志願兵も増えまくり。

 建設業の求人も多く、そこから製造業やサービス業まで波及。

 帝都の失業者対策はうまくいってる。

 嫁ちゃんは名君扱いされてるが、本人曰く「運が良かっただけじゃ」とのことである。

 まずいのは需要急増による物不足とインフレだろうけど、誰も住まない投資物件のマンションや誰も行かない観光リゾートが建つまでには10年以上の猶予があると予想されてる。

 いまのところ帝都の大半はまだ廃墟だしね。

 帝都の復興が終わったら地方都市。

 地方都市が終わったら町や村のインフラ整備と。

 ついでに治水事業や区画整理事業もするんだろうし、10年とは言わず半世紀はいけるんじゃないかな?

 環境保護というか固有種の保護なんかも国の資金ぶち込んでるみたいだし。

 とにかく内政は運も味方して良い方に進んでいる。

 なんて考えてたらタイマーが鳴った。

 熱測らなきゃ。

 拡張現実のメニューから体温計を選択。

 本当は昔ながらの体温計の方がいいんだけど、ケツの危機のためナノマシンにすべてを委ねる。

 38℃台。熱があるな。

 感染起こしてませんように。

 すると俺が寝てる小屋にエディがやって来た。


「ようレオ、氷嚢持ってきたぞ」


「あざっす!」


 顔から突っ込む形で設置。

 冷たくて気持ちいい。

 この状態の俺をエディのアホはカメラで撮影する。


「なにしてる?」


「ヴェロニカちゃんたちに頼まれてんだよ。レオは野生動物みたいだから弱ってるところ見せねえって。はい送信」


 カワゴンカナシイ。


「そういやさ、サリエルの残骸からわかったんだが、この惑星シナガワ、冗談じゃなく金の惑星だったぞ。領主のシナガワ家がろくに調査もしてなかったようだわ」


 隠し金山の税金払うのが嫌で……というか払う金がなくて調査しなかったと。

 たしかに初期経費が膨大すぎるんだよね。

 動き出せば十年ちょいで完済して、運が悪くなきゃ資源枯渇しないで収入の柱になるはずなんだけどね。

 土地が余ってる惑星なら農業を真面目にやった方がマシという現実はある。

 惑星規模なら農業も安定するもんね……。


「ヴェロニカちゃんも問題だってさ。これから制度を見直すって。シナガワのおっさんを逮捕する気ないみたい」


 今ならたいていのことは麻呂の責任にできる。

 実際、政治も行政もサボってた麻呂が諸悪の根源だし。

 ボーナスタイムは活かさなきゃね。


「それでさ、エディ。次はいつ出撃よ?」


「お前が治らなきゃ動けんわ、少佐殿」


 ですよねー!!!


「従軍記者の姉ちゃんもインタビューさせてくれってさ。断ったけどな」


「うん? 別に大丈夫だぞ。暇だし」


「その情けない格好でか?」


 そういやケツを突き上げる芋虫状態だった。

 今ならリアル人生脱出ゲーム【乱歩の芋虫ごっこ】ができそうだ。

 この状態でインタビュー受けて生き恥さらすのはやめよう。うん。


「それな! 退院したらインタビュー受けるって言っておいて」


「了解。少佐殿。お大事に。マジで動くなよ!!!」


「ういーっす」


 エディは出て行った。

 暇である。

 しかたない。

 リアル人生脱出ゲームに備えて動く訓練を。

 おっと変な体勢が続きすぎてケツしか動かない。

 左右に振って血行を良くせねば。

 うんしょうんしょ。ぷりりん。


「婿殿来たぞ!!!」


 ぷりりん。

 パジャマが脱げた。

 嫁ちゃんが目をそらした。


「……その……すまんかったの」


「ち、違うから!!! 動けなくなってもがいてただけだから!!!」


「い、いや、その妾は婿殿のナイトライフは尊重する主義じゃ」


「違うから~ッ!!! つうか助けて!!! ガチで痺れて動けないのよ!!!」


「あー、うん、はい……」


「信じて~ッ!!!」


 今日も黒歴史は平常運転だった。

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― 新着の感想 ―
羅刹な銀河 ~取り返しのつかないタイミングで痴態を見られて世間体が死ぬキャラになったので嫁に好き放題したら英雄になった~
カワゴンダンス……
ねごじゃんだんず♪ねごじゃんだんず♩ねごじゃん、だんず!! きっとそんなダミ声BGMが流れているシーンだと信じてるwwww
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