第二百六話
惑星レディグレイに近づくと戦艦が待っていた。
どこかの公爵家の家紋が光る。
おそらくこの辺の宇宙海賊はお仲間なんだろうなって思う。
「海賊じゃな」
「うんだ、うんだ」
滅亡した公爵家の家紋掲げてる時点で海賊扱いされてもしかたない。
裁判受けさせてもらえないレベルだ。
嫁ちゃんは全チャンネルで呼びかけた。
「全員捕縛しようと思ったがやめた。殲滅する。これより攻撃に入る。敵の生死は問わん! 蹂躙せよ!!!」
嫁ちゃんの砲撃が始まった。
ミサイルもバカスカ撃っていく。
それは物量の暴力だった。
そりゃねえ、大型戦艦相手に普通の戦闘機がかなうはずもない。
次々と撃墜されていく。
俺たちは既に戦闘服に着替えていた。
出撃するかねっと。
レンはまだ輿に乗せられていた。
「大王様! うおおおおおおおおおおおん!!!」
「やーめーてー……」
あ、やはり恥ずかしかったのか。
そうそう、大王なんだけど嫁ちゃんはゲラゲラ笑ってるが気にしてない。
領主が領民に【王】とか【神】を名乗るのは珍しくない。
部族紛争が多い惑星なんかの統治手段として推奨されないけど許されてはいる。
領民が勝手にそう呼んでるのはレンくらいだろうけど。
帝都惑星から遠ざかるほど、そういう惑星は多い。
そういう意味では俺の実家はまだ都会なのだと思う。
殺戮の夜に乗り込んで出撃を待つ。
するとケビンから連絡が入る。
「もー! なんにも問題ないと思ったのに!」
怒ってる。
そりゃね、直接視察までしたのにシンジケートのアジトを見逃してたからね。
建築業やってるロジャーのおっさん(見た目は20代美女)がいなかったら発覚しなかったもんね。
ケビンも不幸体質である。
「ケビンが一人の時じゃなくてよかった」
「そ、そうだね。えへへへ」
フォロー成功。
すると妖精さんから通信が入った。
「レオくん、出撃ですよ~」
「は~い妖精さん」
人間相手なのでパルスライフルで突撃。
対籠城用兵器として接近戦はハンマーにした。
宇宙空間に出るとみんあは先に出ていた。
すると大量のドローンがやって来た。
金のない海賊がよくやる手だ。
でもねシンジケートちゃん、俺たち大量の敵を相手にするのなれてるのよ。
「エディ頼んだ!」
「俺かよ!!!」
文句言いながらエディはパルスライフルでドローンを落としていく。
あの量を異常なくらい正確に撃ち抜いていく。
絶対に敵に回したくないタイプだ。
本人気づいてないけど。
「旦那様! 地上から戦艦が来ます!」
後方から狙撃してくれたレンから通信が入った。
あー、うん、はい。
崖のアジト、アジトだと思ってたら戦艦だったのね。
地中から宇宙戦艦って男の夢だよね。
あれは最後かなあ。時間かかりそうだし。
「うふふふふ。ドローンはまかせて~」
ここでニーナさんが遠隔操作の戦闘ポッドを出した。
ニーナさんの恐ろしいところは複数のポッドを同時に操れることだろう。
ケビンみたいに半自動のドローンにリアルタイムで命令出してるわけじゃない。
すべての戦闘用機械を遠隔操作で同時並行で動かしてるのだ。
いやケビンも操ってる数が異常なんだけど。
ケビンとニーナさんは個々が軍隊なのだ。
強すぎる。
戦闘ポッドが次々とドローンを撃墜していった。
「クレア! メリッサ! 行くぞ!」
ドローンを撃ちつくした最初の戦艦に突撃する。
俺とクレアはハンマー装備。
メリッサはいつもの刀だ。
中距離はいつものパルスライフである。
戦艦の砲撃が来る。
あたりませんよーだ。
ひょいっとかわす。
「どっせーい!!!」
砲台をハンマーでぶん殴る。
殴ったときにプラズマの爆発が起こるタイプのハンマーだ。
あひゃひゃひゃひゃ!!!
砲台をぶっ壊し、外壁を殴る。
原始的暴力で外壁を破る。
カワゴン、力、ツヨイ。
外壁からこんにちわ。
クレアも外壁をたたき壊してメリッサと共に進入。
人型戦闘機なんて使わせない。
真っ先に壊していく。
ハンマーを振り回していく。
「あーあ、蛮族が戦艦殴り壊しやがった……」
「エディくん、君も蛮族側の人間だからね!!!」
なんてやりとりをしてる間に戦艦は航行不能に。
犯人どもが逃げられないように飛行機格納庫なんかも潰す。
さーて、あとは地上からやって来る戦艦だけだ!!!
待ってる間に戦艦にレンのわんわん隊が乗り込む。
「ヒャッハー!!!」
正義のヒャッハーが悪を懲らしめる。
もうね、敵はボコボコ。
その間に妖精さんが戦艦のコンピューターからビースト種の売却先データを探す。
「ないですね。やっぱりアジトの方のようですね」
「みなさん、懲らしめてやりなさい!!!」
航行不能になった船をビースト種の皆さんが蹂躙していく。
殺してもいいって言われてるけどそこは空気を読む。
売却先の情報は一件でも多くあった方がいい。
シンジケートの構成員が素手でボコボコにされていく。
そりゃね。ビースト種は原生生物との戦闘用よ。
それが自分たちより多いんだから勝てるわけないじゃん。
今まで分散させて管理してたから奴隷にできたわけでな。
勝てると思ってるのがすでに認知の歪みなのだよ。
俺だったら初手死ぬ気で逃げる。
「ぬははははははははは!!! レン様のためにー!!!」
敵の一人がゴミみたいに投げられた。
他の敵にぶち当たる。
「くっ、クソ! 劣等人種どもが!!!」
やめとけよー。
怪我するよー。
あー、放り投げられた。
他の連中が取り囲んで蹴っ飛ばしてる。
手加減などない。
ヘルメットが割れる勢いで殴ってる。
「殺すなよー(棒)」
シンジケードがかわいそうになってきたころ、ようやく地上の戦艦がやって来た。
ホテル船みたいな外装だった。
木造船みたいな外見で女神の船首像が着いている。
船首像の下に巨大な主砲があった。
見た目9割。
俺たち軍とはまったく逆の設計思想で作られた船だった。
しかも無駄にでかいのな。




