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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百九十二話

 数日後、回復した俺はまだカミシロ本家にいた。

 というか帝都からすぐ近くの惑星なので嫁の移動が楽なのである。

 嫁ちゃんは儀式のたびに帝都へ移動する。

 俺の側にいた方がセキュリティーが安心なんだって。

 敵対勢力に雇われた殺し屋なんかもこの惑星には来ないんだって。

 いまはカミシロ本家にいる。

 現在、俺たちはゆとりある生活を送っている。

 領地経営も申請書の山は始末した。

 領地への移民と追加の兵くらいかな。

 惑星カミシロ本家は佐藤公爵が好き放題しすぎて開発なんてされてない。

 土地が余ってるのは不安しかない。

 俺は貧乏性なのだ。

 移民を募集したところ応募が殺到。

 銀河一安全な惑星との評価を頂いた。

 だって俺がいるし、カミシロ一門の総本部があるわけだ。

 ゾークも来ないし、そもそも俺やサム兄の内政評価は高い。

 搾取する気ないしね。

 不景気になったらどうなるかわからんけど。

 なので前科のない人から受け入れる予定だ。

 その書類を書いて提出。

 時間ができたのでとりあえず風呂。

 南国リゾートにもムリヤリ露天風呂をつけるのは日系民族特有の感性だろうか?

 天然温泉にゆっくりつかる。

 え? ラッキースケベ?

 温泉イベント?

 そこの男子の裸でも視姦してくだせえ。


「うぇーい! レオ、仕事どうよ!?」


「ようやく終わったよ」


 手の骨折のせいで俺だけ提出が遅かったのだ。

 もう、死ぬほどがんばって終わらせたよ!

 人がゆっくり使ってると肉体自慢の連中が鏡の前でポージングしてる。

 ……暑苦しい。

 サウナにでも入るか。


「お、おう! レオ!」


 苦しそうな表情で暑さに耐えるバカども。


「あ、妖精さん。男子のバカどもがサウナで熱中症になりかけてる」


「ピゲットさんに言いつけますね! もー、バカなんだから!!!」


「ノータイムでチクるな!!!」


「うるせえ! 我慢比べしてんじゃねえ! バカなの? 本気でバカなの?」


 その後、ピゲットと近衛隊に捕まって連行されていった。

 風呂から出ると休憩所で嫁ちゃんがところてんを食べてた。


「食べるか?」


 入り口で配ってるようだ。


「うん、取ってくるわ」


 入り口でもらってくる。

 俺が食い物を手にすると飛んでくるのがタチアナとワンオーワンのコンビである。

 二人は俺をじっと見つめる。

 なんか相手にすると負けた気分なので無視して……。

 じい……。

 オーケーオーケー、俺の負けだ。


「……食うか?」


「はいであります!!!」


「くれ!!!」


 なぜか俺が取ってこさせられた。

 二人に渡す。


「美味しいであります!!! 隊長殿ありがとうなのであります!!!」


 いい子なので頭なでなで。


「うみゃい! もう一個取ってきて」


 悪い子の頭はぐりぐり。


「あー! 暴力反対!!!」


「一人一個ですぅ! この悪い子!」


「タチアナは隊長に頭をなでて欲しいのであります!」


「な、や、やめろ! そういうのやめろ! な、なでるな!!!」


 なでなで。


「タチアナよかったでありますな!」


「ワンオーワン!!!」


 顔真っ赤にしてるのでなでなで。


「お、おま! 嫌がらせモードだろ!!! さわんな!!!」


 手を払われた。

 嫁ちゃんたちと別れて廊下を歩いてるとクレアが待ってた。


「どうしたん?」


「来て」


 体育館裏に喚び出されるかと思ったら資料室だった。


「見て」


 クレアは紙の資料を開く。


「周辺国併合構想……?」


「ここで資料見てたら見つけたの。データで残ってない紙だけの資料。樹脂コーティング処理されてて風化しなかったみたい」


 ってことは何百年も前の資料だ。

 状態がいい。


「妖精さん!」


「はいはい、スキャンします! ページ開いて」


 一ページ目からスキャンしていく。


「うーんこれは……」


 要約してくれる前に妖精さんは考え込む。


「クレアちゃん、ヴェロニカちゃんにも共有していい?」


「うん、そうだね。共有して」


 二人で納得してる。

 俺だけ中身を知らない状態だ。


「なにが書いてあったの?」


「その……600年前は統治可能面積が、いまよりもずっと小さかったんです」


「ほう、そりゃそうだね」


 現在の方が食料生産技術や建築、テラフォーミングなんかの技術は上だ。

 軍事だけ退化してるけど。

 だから物流距離の限界があったんだろうと思う。


「なんで帝国はあちこちで独立運動を起こされてたんです」


「へー……そりゃそうなるわな」


 統治できなきゃ独立されるのは当前だろう。


「それを併合する計画みたい」


 へー。

 ってことは共和国もそのときに併合されたのか。


「最後の章を見て」


 うん?

 ペラペラめくる。

 お、あった。


「人類改造計画」


 嫌な感じである。

 中を見るとおなじみのクロレラ処理にビースト種の計画書。

 まー感じが悪い。

【労働専用種】だの【人間に従順】だの文章に悪意がある。

 書いたやつ殴りてえ。

 でも数百年前の人間なんてこんなもんか。

 現在でも公爵会みたいな組織だとこの程度の倫理観だしな。


「その先のページ見て」


「うん?」


 先のページにあったのは【外宇宙探索型人造人間計画】。

 ワンオーワンの仕様が書かれている。

 他にもいままで遭遇した女性型の情報が書かれていた。


「ゾークか……」


「たぶん」


 嫁ちゃんにこのページを送信と。

 先を読む。

 と言っても【ボクの考えた未来】って程度の内容だ。

 どこの誰かわからんやつの思いつきで、大量の人間の人生がおもちゃにされたと思うと気分が悪い。

 さらに読み進めていくと、帝国側の改造人間のページがあった。

 ま、ここはわかってる。


「平和の戦士ね」


 人為的に改造した超能力者どうしの交配ね。

 その結果が俺って……。


「ヴェロニカちゃんからメッセージが来てますよ」


 なんだろう?

 見てみると思わずプッとふいた。


【妾とそなたとの子が未来の皇帝じゃ。開発者どもも支配される側に回るとは思ってなかったじゃろうな】


 そうなりますよねー!

 結局さ、外来種は外に漏れるし、品種改良した人間は交配するのよ。

 ま、ここまでは既に知ってた情報ではある。

 問題はその先だった。


「マザーゾーク計画ね」


 甲殻類を操る女性のイラストがあった。

 アホが……。

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― 新着の感想 ―
人がゆっくり「使」ってると肉体自慢の
この手の話はロボタの創作当初から言われてるけど、永遠のテーマなんでしょうね
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