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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百八十八話

 やけにクレアが大人しいなあとは思ってた。

 ゴソゴソなにかやってるのにようやく気づいた。


「クレアなにやってるの?」


「爆弾セットしたよ」


 それはとてもいい笑顔だった。

 すべて消し去るつもりである。


「あ、うん、大丈夫だ、問題ない(キリッ)」


 すると男子から通信が入る。


「レオ。触手型無力化。だけど問題発見した」


「やだ怖い。なによ?」


「地下に大量のカニがいる。ピクリとも動かないけどな」


 おうふ。

 もう終わりだよ。この惑星。

 嫁ちゃんに連絡。


「嫁ちゃん、カニを大量に発見。避難指示頼んます」


「……呪われてるのか? この惑星は……わかった。避難指示を出す。村の方はケビンとニーナに頼んでくれ」


 ういーっす。

 今度はケビン。


「ケビン、カニを見つけた。ここを爆破する。避難指示頼む」


「了解!」


 後ろでニーナさんの声がした。


「戦車と自走砲の総攻撃準備しとくね」


 はいゾーク死んだ。


「レオ! 人質と外に脱出した! あとは好きにしろ!」


「了解ッス」


 クレアが笑顔になった。

 神は言っている。ここで死ぬさだめでは無いと。


「爆弾強いのにする?」


「一番いいのを頼む(キリッ)」


 爆弾を設置しながら中佐のところを目指す。

 俺たちと班が違う男子も女子もゾークを見かけ次第ボコボコにした。

 もはや生身の戦闘力も近衛隊レベルである。

 動けなくなった連中は拘束して外に運び出す。

 外にあった物資運搬用のトレーラーのコンテナに雑に押し込める。

 当初こそ重機や大型車両のオペレーターは俺くらいだったけど、みんな通信講習とシミュレーターで免許を取得。

 今すぐ軍を辞めても就職先に困らない資格数だ。

 ……辞めないでね。

 俺たちだけは居残りで中を進む。

 廊下は古く、むき出しのコンクリに床は樹脂製の塗床だ。

 工場とか古い病院みたいだ。

 壁に樹脂の案内板があった。

 たぶん接着されてると思う。

 案内板は油性ペンの手書きで【指令部→】と書かれていた。

 涙ぐましい。

 軍のやり方はいつもこうだ。

【わかればいい】とか【なるべく安く】とか【前例では】とか。

 だから食堂は雑に紅白幕壁に張ってるだけだし、軍の建物は病院や学校みたいなのだ。

 スプレーで直書きじゃないだけまだ良心的なのか……。

 なんかイラッとした。

 クレアもレンもメリッサもイラッとしたみたいだ。

 大股で指令部に向かう。

 指令部の部屋は簡素な無線機器が並べられていた。

 そこで待っていたのは軍服を着た女性だった。

 いままでの女性型ゾークとは違う。

 筋肉質で背が高く、そして性格の悪そうな顔をしていた。

 こいつと比べたらタチアナなんてかわいいもんだ。


「来たか。新しい公爵閣下。佐藤臥琉磨だ」


 なんか騙されて殺されそうな名前だ。

 あまりの佐藤の多さにゲシュタルト崩壊起こしそうである。

 どこから情報を得たのか微妙に間違ってる。

 俺は公爵ではなく大公である。

 似たようなものであるが違う。

 いや地位にこだわってるわけじゃないけど、どこから情報仕入れてきたんだ?


「我が一門が潰え、私は突如女になったあの日……神の声が聞こえた。私こそが真の佐藤であると! この惑星の真の統治者はこの私であると!!! 神の軍を指揮し帝国を支配しろと!!! 神は仰った!!!」


「おうふ」


 名前通り思いっきり騙されてる!

 ……つまりだ。

 中継ノードとしての能力はあるんだけど、本人の能力が低いから神に見えたわけだ。

 いや、すでに精神が乗っ取られたのかも。

 原種のワンオーワンは能力の高さから正しく相手を見ることができたので、恐ろしいものに見えた。

 精神を乗っ取られまいと抵抗したから恐ろしいものに見えたのかもしれない。

 恐ろしいものの正体はおそらくマザーだ。

 ……待てよ。抵抗できてるってことはワンオーワンはマザーと同等の能力があるんじゃ?

 戦い方を知らないだけで。


「神の威光にひれ伏せ!」


 ゴゴゴゴゴゴと建物が揺れた。

 嫌な予感がした。

 いやもうわかっていた。

 地下のカニの群れが起動したのだ。


「あはははははははは! 私が新時代の神になるのだ!!!」


「ならねえよバカ!!!」


 上位存在のマザーがいるのだ。

 使い捨ての中継ノードごときが神になんかなれるはずがない。

 完全に騙されている。

 狭い世界で生きてきたバカが自分に都合の良い情報に振り回されてる。

 どうして人類はかくも愚かなのか……。


「偽りの公爵よ! 貴様の首を一族に捧げてくれる!!!」


 殴ろう。

 そう思ったときだった。

 バーンッと銃声がした。

 佐藤の足の肉が爆ぜた。

 レンがライフルを構えていた。


「うるさいです。旦那様の苦労も知らない有象無象が! 旦那様は、いつも自分の命をかけてきた! そうですよね! クレア!」


「そうね」


 クレアは爆弾のリモコンのスイッチを入れた。

 表示からすると三分後に爆発する設定にしたようだ。

 メリッサも刀を臥琉磨の肩に突き刺した。

 容赦ないね。みんな。


「なー、おばさん。聞けよ。うちの隊長はさ、何度死にかけても、どんな地獄みたいな状況でも逃げなかった。仲間との約束は守ったし、嘘は言わなかった。そりゃさ、まだ仲間の実家は全部解放できてないけどさ。でも努力はしてる。約束を守るために権力の階段を駆け上がってる。でもさ、おばさんはなにをした? なんの努力した? ただゾークの言われるままに動いただけでしょ?」


「ぐ、ぐう!」


 臥琉磨がうなった。


「器が違うんだよ。うちの隊長とあんたじゃさ!」


「ならば! 器を見せてもらおう!!!」


 臥琉磨が叫ぶのと同時に体が硬化した。

 ワンオーワンと同じだ。


「これが神からもらった力だ!!!」


 顔まで硬化した臥琉磨。


「死ねええええええええ!!!」


 臥琉磨が突っ込んできた。

 俺はカウンターで剣で斬りつける。

 だけど剣は表面を滑る。

 傷一つつかな……ッ!

 持ち上げられた!


「ふはははははははは! 死ねい!!!」


 俺はそのまま放り投げられた。

 だが甘い!!!

 Gのように舞い! Gのように刺す!!!

 ガンダムじゃなくて黒い悪魔の方。

 俺は投げつけられた壁にはりつきススススススっとよじ登った。

 あ、アタイはコックローチ。

 華麗なる夜の蝶!


「喰らえ!!!」


 そのままGダイブして剣を突き刺した。

 やっぱ刺さるじゃん。

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― 新着の感想 ―
何処の天然戦士さん?(苦笑)
ローチなのかバタフライなのかw
戦い方がカッコいいのか気色悪いのかわからん、強いて言えばパタリロ!みたいなギャグ漫画みを感じる。。
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