表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/533

第百三十三話

 人間がゾークに変わっていく。

 それは心が絶望に染まるには充分な光景だった。


「か、確保おおおおおおおおぉッ!!!」


 この異常な光景に最初に反応したのは警察だった。

 恐慌を起こしたのを気合で持ち直した。

 いや、単にやけくそだったのかも。


「警察を守れええええええええ!」


 軍の少尉だったか中尉だったか忘れたおっさんの怒号で俺たちも我に返った。

 ゾークと戦い慣れてる俺まで雰囲気にのまれていた。


「俺たちも行くぞ!!!」


 変身してカニになったゾークがいた。

 あるものは触手型になり、肉になり、なり損なってその場で絶命した者もかなりの数に及んでいた。

 消耗品扱いですらない。

 本当に人間を駆除するつもりだ。

 変身した男(たぶん女性も)の半分は女性化していた。

 ケビンみたいな胸が大きくてスタイルの良い女性に。

 女性も体型が変わっていた。

 顔も元の素体を美形にしたような顔に。

 なんらかの法則があるのか、それとも運なのかはわからない。

 人型戦闘機でカニを蹴飛ばす。


「レオくん! 今ので確信しました!」


「なにをよ!?」


「ジェスターの現実改変能力です! 地獄なのは変わらないんです!」


「どういう意味よ!」


 触手が飛んできた。


「スロー!!!」


 トゲの対処と同じだ。

 スローのフィールドを張って遅くなった触手をつかむ。


「オラァ!」


 思いっきり引っ張って、バランスを崩した触手型の顔面にヒザ蹴りをぶちかます。


「レオくん! 世界の難易度は変わらないんです! だけどレオくんは仲間が誰も死なない結末を引き寄せられるだけで! 現実改変されて冗談みたいになるのはレオくんの周囲だけなんです!!!」


「はい?」


「最初の襲撃で生き残ったはジェスターの能力に覚醒したから。その後も冗談みたいな展開で生き残ってますけど本当だったら何回も死んでるんです! 私だって本当だったら力を貸しませんでした。リニアブレイザーだってそうです! 本当はゾークが奪ってみんな死ぬはずだったんです! 暗殺後はトマスが死んでウォルターが勝利するはずだったんです!」


 たしかに俺がグズグズにしたシナリオの数々だわ。

 あー……そうか。

 最初だけだわシナリオ知ってて先回りしたの。

 やっぱりジェスターは最強じゃねえじゃん!


「今回も運命をねじ曲げた結果、敵が一箇所に固まりました! チャンスです!」


 そうなの?

 結託してるし待ち構えてるしで不利な気がするんだけど!

 でもやるしかない!


「それで、運命をねじ曲げられる俺は何すればいい?」


「アレクシアを倒してください!」


 俺はアレクシアが消えたあたりに急ぐ。

 チェーンソーでゾークを一刀両断していく。

 警察も軍の歩兵も必死だった。

 ただ助かったのは女性型ゾークだ。

 ケビンと同じく急に体のバランスが変わったせいでコケてた。

 警察は女性型を中心に捕縛していく。

 戦車がカニに体当たりした。

 ここは庭園から一歩出たらすぐに繁華街が広がってる。

 こんなところで主砲は使えない。

 男子たち、通称ハウンド隊はなれたもの。

 実弾兵器でゾークと果敢に戦っていた。

 メリッサも近衛隊も必死に戦う。

 俺はアレクシアの消えた場所へたどり着いた。

 穴の奥は地下に続いている。


「逃げやがったか……」


「レオ! エネルギー反応を確認!」


 そのとき突如として地震が起きた。

 地鳴りをさせながら庭園が割れていく。

 土砂が穴に飲み込まれていく。

 俺の中で危険を知らせるセンサーが全力で鳴り響く。


「撤退! 全軍撤退!」


 穴から巨人の手が伸びてきた。

 黒く染まったボディ……いや違う、無数のゾーク、肉片型のゾークが機体にへばりついていた。

 それはゾーク化したリニアブレイザーだった。


「レオ・カミシロ……忌まわしきジェスターよ。貴様の拳は神になった我に届くかな」


 届かねえよボケが!

 まるっきり機体のサイズが違うじゃねえか!

 デスブラスターはある。

 でもここじゃ使えない!

 敵の手が俺をつかもうとする。


「クレア! 照準頼む!」


「了解!」


「スロウ!」


 敵の手のスピードが遅くなる。

 俺はその手に向かってチェーンソーで斬りつける。

 クレアも砲撃を浴びせる。

 主砲は使えない。だから対空用のガトリンガンを撃つ。


「うおおおおおおおおおおお!」


 何度も何度も斬りつける。

 肉がちぎれていく。

 だけど中のフレームには届かない。


「レオ! 質量が違いすぎる!」


「クソ!」


 俺は転がって回避。

 敵の手が地面を叩いた。

 ずうううんっと地面が揺れた。

 穴から台がせり出してきた。

 黒く染まったリニアブレイザーが外に出てきた。


「おいおい……どうすんだよ……」


 俺がつぶやいた瞬間だった。

 空から光の槍が飛来した。

 それが超高速で飛来するミサイルだと遅れて気づいた。

 ミサイルがリニアブレイザーの頭部に着弾する。


「レオ・カミシロ大尉! 領主混成軍が助太刀する!!!」


 空を埋め尽くす軍艦。

 宇宙港で詰まってた地方領主や軍の船だ。

 さらに嫁ちゃんの空中戦艦から飛び降りてくる機体が見えた。


「レオ! 今助ける!」


 エッジのカスタム機だ!

 それにアリッサのジェスター専用機だ。

 アリッサの完成したのか!


「クレア! 市民の避難は?」


「まだみたい!」


「二人とも! 敷地の外の避難が完了してない!」


「了解!」


 エッジが剣を抜いてリニアブレイザーに斬りつける。

 アリッサもハルバードで斬りつけた。

 おう……やはりジェスターは脳筋の呪いがかかってるようだ。

 そういやさっきのミサイルは大丈夫なのだろうか?

 ……もう撃っちゃったししかたないよね!


「レオくん! もう一機近くにあります!」


 妖精さんがボイスチャットに割り込んできた。


「なにが!?」


「リニアブレイザーです! 庭園の地下にもう一台!」


「敵?」


「まだ起動してません!」


「なんで皆殺し兵器を地下に置いてるのー!!! 公爵ってバカしかいないの!?」


 どいつもこいつも隙あらば政権ひっくり返す準備してやがって!


「隠したんです! 地下を遺跡扱いで譲渡して、遺跡に興味のない帝国が存在を忘れるのを見越して……」


 宇宙戦艦のミサイルが一斉に降り注ぐ。

 ミサイルがリニアブレイザーに次々と着弾していく。

 リニアブレイザーの弱点だった耐久性。

 それをゾークは克服していた。

 無限に増殖する肉。

 肉がすべて爆発を受け止めてしまう。

 今まで何人の市民が肉に変えられたのだろう。

 外道としか言い様のない所業だった。


「ふははは! 我は無敵! 宇宙最強也!!!」


 あんなの反則だろ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
えーとつまり… ゾークの手が伸びすぎてて世界が詰んでるので、この先生きのこるには 「レン中心に隊行動して、ジェスター能力で「胸糞展開」を「ドタバタ喜劇」に変えるしかない」 って事ぉー?(汗
公爵一同「俺達は悪くねぇ!これも全てアレクシアってヤツの仕業なんだ、俺達は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ