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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百三十話

 謎の街宣車やら変な集団がひっきりなしにホテルの前で演説する。

 それを見て警察が止める。

 一ミリも俺と関係ないのに俺の名前使ってやがるの、あいつら。

 おまけに帝国の上層部からのリークで人型ゾークの情報が漏れてしまった。

 さすがに慰霊式で暴れたから帝国も発表する方向で検討してたんだけどね。

 帝国の一部も危機感が芽生えてきたのだろう。

 リークで帝国を動かそうとしたのかな。

 そりゃねー、二つの種族の絶滅戦争だから焦る気持ちはわかるんだよね。

 でもさ、それで暴行事件が発生しまくってるのよ。

 性がつかない方の暴行ね。

 そこらじゅうでリンチが行われてる状態。

 そりゃ人と見分けがつかないから怖いんだけどさ。

 刑務所襲撃して放火するのはやりすぎだと思うのよ。

 本物の人型ゾークは犯罪なんかしないでジェスター見つけては暗殺してるんだと思うんだよね。

 だから帝国も今さらジェスターの保護に乗り出した。

 そのついでに帝国は人工超能力者の存在を公に認めた。

 本当は子孫を残せないのに子孫がいることもね。

 帝国の恥部中の恥部を認めたかたちである。

 さらに皇女ルナの問題も明るみに出た。

 これは嫁ちゃんが記者会見した。(俺は横でアホ面さらして立っていただけ)

 当時の皇帝が永遠の命欲しさに養女に迎えたエスパーを生きたまま解剖したんだって。

 やだ怖い。

 そういや妖精さんの本名もルナだっけ?

 そういや妖精さん、マザーAIの中の人って言ってたな?

 ……まあいいや、妖精さんは妖精さんだ。

 嫁ちゃんはトマス義兄さんと連盟で謝罪した。

 この謝罪によって皇女ルナは正式に皇籍に復帰した。

 まるで今も生きているかのような措置である。


「妖精さん、妖精さんって皇女ルナ?」


「違いますよ~。私の正体は宇宙怪獣ルナラ。身長960メートル、体重1480万トン。必殺技はバス●ーウルフですよ」


「おおー!」


 アホなやりとりでごまかされてしまった。

 あまり言いたくないのだろう。

 それにしても……暇になってしまった。

 アレクシアも動きがない。

 領地も書類出したから大丈夫だ。

 完全に待機状態である。

 ひーまーだー!!!


「婿殿、帝国中央電算室に行くぞ」


 サーバーなんかが管理されてる区画だ。

 横に発電所が併設されている。

 帝都襲撃でも半分は無事だった施設だ。


「なんかあるの?」


「皇女ルナを迎えに行く」


 儀礼服に着替え嫁ちゃんについていく。

 なぜか儀礼服の士官学校生に近衛隊が玄関ホールで待機してた。

 俺たちは士官学校で本当に死ぬほど練習させられた儀礼用の行進で外に出る。

 外ではメディアがスタンバイ完了していた。

 ものすごい勢いで撮影される。

 バスで電算室へ向かう。

 外からずっと撮影されてるので姿勢正しく座る。

 途中でメリッサを拾う。

 こちらも儀礼服だ。

 メリッサは俺たちの近くの席に座る。


「ニュースはこの話題で持ちきりだよ」


「俺はなにをしてるのかすらわからんのだけど」


 そもそも内容を聞いてない。


「皇女ルナの体が電算室に補完されてるんだって。軍のお偉いさんにおトマス殿下も来るみたいだよ」


 電算室の駐車場で下車。

 駐車場には大量の坊さんがスタンバイしてた。


「有力宗派の偉い人がそろってるよ……」


 さすがメリッサ、侍だけあって詳しい。

 俺? ぜんぜんわからない。

 俺たちは電算室前で待機。

 このときも【休め】である。


「レオ・カミシロ大尉! 前へ!」


 レイモンドさんに呼ばれて前に出る。


「ヴェロニカ様と御一緒せよ!」


「はッ!」


 嫁ちゃんのところに行く。

 嫁ちゃんは喪服だった。

 トマスも義兄さんもいる。

 よく見るとトマスの護衛の兵士に混じってサイラス義兄さんもいる。


「婿殿も関係者じゃ。共をせい」


「はッ!」


 ここは公私の【公】である。

 いつものアホな俺ではいられない。

 嫁ちゃんの横で背筋を伸ばして歩く。

 周りは近衛隊とサイラス義兄さんの部隊が護衛する。

 さらにその後ろには施設の管理者のおっさんがいた。


「最下層にルナがいる」


 エレベーターで下へ。

 管理者のおっさんがマスターキーでエレベーターを操作する。

 隠されてた最下層が表示された。

 最下層までかなりの時間がかかった。

 地下何階というよりも地下何キロという単位だ。

 エレベーターの外に出ると寺院があった。

 なぜか先ほどから背筋が冷たい。

 ゾクゾクしてる。


「遺伝子認証の扉じゃ。開けるぞ」


 嫁ちゃんが採血用の針を指に刺す。

 ボタンを押すと針が出てくるヤツ。

 それで指に傷をつけて血を絞り出してセンサーに吸わせる。

 認証が通り扉が開く。

 中には祭壇があった。


「ここは私が開けますね」


 妖精さんが祭壇のロックを外す。

 すると透明な板に挟まれたなにかがせり出してきた。


「おおー! 久しぶりに見た。私の体ですねー」


 眼球、神経、脳の一部。

 それは分解された人体のパーツだった。

 それが古い基板に繋がっている。


「やっぱ妖精さん、皇女ルナじゃん!」


「へへーん」


「あのさ痛くない?」


「肉体は完全に捨ててるんで痛くないですよ。人の体ジロジロ見られてる状況に多少イラッとするくらいですね」


「ごめん。デリカシーなくて……」


「レオくんのお願いですからぁ! 許してあげましょう!」


 なんかすごい恩を売られたっぽい。

 あとになに要求されるかわからんな。

 ……たぶんゲームソフトだと思うけど。


「嫁ちゃん、メディアにはなんて発表するの?」


「このままじゃ。あとはメディアが判断するじゃろ」


 ノーガード作戦かよ!


「妾の世代は知らなかった歴史の闇だしな。それに妾はルナとは姉妹みたいなもんじゃ」


「そうですねー。ヴェロニカちゃんは妹みたいなもんですよー」


「では供養を執り行うかの。僧侶とメディアを入れよ」


「妖精さん、生きてるんじゃないの?」


「体は復元実験が開始されてる。成功して生き返ったらめんどうなことなる。政治的にも宗教的にもな。ここでいったん死んだことにする」


「マザーAIが停止したら死人出ますしねー」


 なるほど……。


「それにだ。わざと失態を演じておればそのうちアレクシアが焦ってボロを出すだろう。ふふふ、我らが弱ってるように見える。ここを攻めたいという狩猟本能に勝てるかな?」


 なんでこのタイミングで帝国の失態さらすんだろうと思ったけど、そういう作戦だったのね。

 つまりスキャンダル出しまくって弱ってる感を出す。

 で、アレクシア一派が尻尾を出すのを待っていると。

 目的のためなら弱点もさらす。

 ゾークちゃんは人間の純粋な悪意にどこまで耐えられるかな?

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― 新着の感想 ―
ハンターの薔薇思い出すわ
妖精さん妖精さん、テリーもうちょっと強くなりませんか? バスターウルフはかっこよくて強いんですが、コンボの火力が…… バーンナックル頼るとやってること初期の本田になっちゃうんですわ
AKIRAか… なら復活しないとね
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