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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百二十八話

 嫁ちゃんをピゲットに渡すと近衛隊に捕まって病院送り。

 もう何度目かわからねえや。

 なんか半分意識飛んだ状態で【ゾークの野郎ぶっ殺す】ってつぶやいてたらしい。

 そりゃ俺でも捕まえて救急に引き渡しますわ。

 でも今回はナノマシンで修復できる程度の怪我だった。

 骨折れてたけど。

 入院決定。

 嫁ちゃんは俺が寝てる横に設置した簡易ベッドで寝息を立てていた。

 入院したことだけ説明したら寝ちゃったよ。

 うーん、けっこう時間経ってるな……。そりゃ眠いか。

 俺は意識飛んだせいか眠くない。

 というか肩が痛すぎて眠れない。


「レオくん起きてる?」


 妖精さんが話しかけてきた。


「起きてるよ」


 喉が渇く。

 飲み物でも買いに行こう。


「なにか飲むわ。会話はそれからでいい?」


「いいですよ~」


 起き上がって……肩を固定してる樹脂製ギプスが邪魔でなかなか起き上がれない。

 今回折れかたが良くなかったっぽい。


「ふんッ!」


 ごろん。

 今度は勢いをつけてもう一回。


「ふんッ!」


 なんとか起き上がれた。


「ぷぷー! 亀さんみたい!」


「うっせ!」


 心電図モニターを杖代わりにヨロヨロと足を引きずりながら廊下に出る。

 あれこれ、別の箇所も壊れてるぞ。

 腹筋まで悲鳴上げてるもん。

 廊下に出ると護衛してた近衛隊数人に速効で捕獲される。


「だめだろが! まだ動くな!」


「いやのど渇いちゃって」


「買ってきてやる! おとなしくしろ!」


 部屋に戻る。

 ベッドに寝るときの方が痛い。

 悲しい。


「にゃははははー! 捕まってやんの!?」


 妖精さんゲラ笑い。

 血も涙もないやつである。

 ……ねえか。


「笑わせてもらいましたし本題です。スコット准将ですが一命を取り留めました」


「よかった」


「でも大怪我です。一ヵ月は動けないでしょう」


「それでも死ぬよりはいい」


「で、レオくんですが。棘が心臓近くまで来てたそうですよ。いやー、大手術」


「え? なんで俺生きてるの?」


「あれ? 気づいてなかったんですか? レオくんは常時ヒーリング発動してるんですよ。自動回復ってやつですね」


 おー……化け物じみてきたな。

 これ賢者だからじゃないだろ。

 スロウもサイコキネシスもジェスターの能力の範囲内だし。

 RPG縛りがない状態でのジェスターの能力は異常である。

 ないのは火力だけ。

 器用貧乏の極みである。

 賢者はそこに火力を与えるクラスチェンジだしね。


「それ老化進んだりしない?」


「常に遺伝子欠損なく若い細胞に変わってるんで、逆に老化が遅いと思いますよ」


「人間やめてね?」


「強力なエスパーはそんなもんです」


 レアだけど初級クラスなんだけどなー。

 いわゆる【あそびにん】だし。

 数もそんなに少なくないだろうし。

 ただ自分がジェスターである事に気づく人が少ないだけで。

 ほとんどの人は検査受けても残念超能力者だと判定されたはずだしね。


「俺が倒したゾークは?」


「ゾークは女性型。検査の結果、公爵会の佐藤公爵の長男と判明しました」


 佐藤公爵の長男が女性化したってことだろう。

 ケビンは元気にやってるけど、野郎がいきなり女性になったらショックで無敵に人になるだろう。

 しかも人外成分まである。

 殺されかけたけど少しだけ同情の余地があると思う。

 普通に女の子やってるケビンがおかしいだけだからな!


「佐藤公爵は?」


「遠征で行方不明に。おそらく死亡してます」


「アレクシアは?」


 あいつ、俺に殺気飛ばしてやがった。

 クソあやしいけど証拠がない。

 いやいいのよ。

 証拠なしに捕まえても。

 もう余裕ないしやっちゃうか!

 ……あー、でも、街中で無差別に暴れられたら嫌だな。

 それかクーデター起こすとか。

 向こうも何か企んでるんだろうけど。

 嫌がらせの方法は無限に残されてるんだよな……。

 なに考えてるんだろ?


「アレクシア一派がなに企んでるかわかる?」


「さあ? 不合理すぎてわかりません」


「じゃあさ、妖精さんだったらどうする?」


「そうですね。いったん負けを認めてすべてのゾークを撤退させます。そしたらレオくんかその子孫に女性型ゾークをあてがってジェスターの血統をゾーク因子で汚染します。そしたら産めよ増やせよでひたすら待って、汚染されたジェスターが帝国全人口の1割程度に到達したらジェスターによる新人類軍を作って旧人類絶滅作戦を……」


「悪辣すぎる!!!」


 一番敵に回しちゃだめなの妖精さんじゃね?

 危険すぎるわ!


「問題はこの案だとゾークも人類の血統受け入れなきゃダメなんですよね。そうなるとどうしても弱い旧型は利己的遺伝子的に淘汰されるわけで。つまり実質ゾークも絶滅……」


 どちらも滅亡である。

 鬼か!


「どう考えても人間と交配できるようにしちゃったゾークの戦略ミスですねー」


 妖精さんがゲラゲラ笑う。


「そう考えるとこの戦争の結末って、ゾークと人間のどちらかが滅びるって戦争じゃなくて、ゾーク型の人間か人間型のゾークが生き残るかの戦争ですね」


 うっわ……ひでえ話だ。

 でもこいつは妖精さんの思いつきだ。

 かなり誇張されてると思いたい。


「で、戦争の結末は置いてアレクシアは?」


「ウォルターと夜の夜会に出てますよ。でもさすがに慰霊式の事件のあとなんで方々から怒られてますね」


 アホの極みかな?

 こうまで空気読めないっても逆に恐ろしい。

 アホの子にしてもそろそろ見限られるターンじゃないかな?


「おーっす、入るぞ」


 近衛隊が飲み物を買ってきてくれた。

 スポーツドリンクが飲みたかったでゴザル。

 中に紛れ込んでるおしるこはネタ枠だろう。

 スポーツドリンクを口に含むとむせる。


「あ、バカ! ゆっくり飲め!」


「げほ! へーい」


 騒ぎに気づいた嫁ちゃんが目を開けた。


「婿殿?」


「あ、ごめん起こしちゃった?」


「婿殿!!! このおバカ! いつもいつも死にかけおって!」


 泣かれてしまった。

 近衛隊のおっさんどもが「ヒューヒュー」とかはやし立ててる。

 お前ら小学生か!!!

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― 新着の感想 ―
アレクシア、ケビンみたく意識覚醒させた上でゾーク遺伝子持ち人類なの知った上で皇帝の座目指して策謀してたら厄介だなぁ。
本当によく死にかけるな。何処ぞの不幸だ!が口癖の0levelな奴みたいw
さすがにお汁粉は取らんか
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